縮小ニッポンの衝撃 其の二

【財政破綻した自治体の過酷な現状(北海道・夕張市)】

夕張市は、2006(平成18)、356億円の赤字を抱えて財政破綻し、全国で唯一の財政再生団体(当事は財政再建団体といわれた)に転落した。観光事業への無謀な投資や隠れ借金等々で、高品質の夕張メロンで全国に名が知られた夕張のイメージは地に落ちました。

かつて炭鉱で栄え、24あった炭鉱が次々と閉山に追い込まれ、1960(昭和35)年のピーク時の人口11万人は、2006(平成18)年には1万3,000人台まで急減しました。市の財政破綻によって人口流出は更に加速し、その後の10年で人口の3割を失うことになり、2017年(平成29)年5月現在の人口は8,500人台(比較;柴田郡川崎町8,654人)まで落ち込んでいます。

財政再生団体になった夕張市は、予算編成や独自の事業を行うにも、いちいち国の同意を得なければならなくなりました。市役所職員の給与は、年収ベースで平均4割カットされ、全国最低水準に抑えられました。破綻前は399人いた職員は100人と4分の1に減少。55人いた管理職は10分の1になりました。7校あった小学校、4校あった中学校は、それぞれ1校に統廃合されました。市立病院は、171床の病床が19床まで減らし、有床診療所になりました。こうした住民サービスの容赦ない切り捨てに嫌気がさした若い世代は、夕張を離れ高齢者ばかりが目立つようになってしまいました。

今の夕張の人口プラミッドは、40年後の日本の人口ピラミッドと同じだと言います。夕張の姿は、日本の未来図と重なり合います。ここには、「痛みを伴う縮小」のリアルな現実があります。この現実は「撤退戦」と名付けられ、それは、縮小していく地域の現実に正面から向き合い、それに合わせてあらゆる公共サービスが縮小していくことに他ならないのです。

人口が減っていくということは、残った住民の負担が大きき膨らんでいくということでもあります。将来世代の負担増を避けるためには、逃げることが許されない公共インフラの撤退戦が必要になる。これを住民に理解してもらうために行われているのが、現在かかっている行政コストを可視化して住民に示すことです。こうして撤退戦を住民の理解を得ようとしています。

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