これから食べたくなる『かき氷』
最近、テレビで『かき氷』が話題になることをしばしば目にします。私は、そんなに食べたいと思う方ではありませんが、旬の食べものや流行に敏感な方々、特に女性には気になり始める食べものかもしれません。そこで、そもそも考えてみれば極めてシンプルな『かき氷』に、どんな仕掛けや秘密があるのかを紐解いてみました。
若干の期間、研究者として過ごしていたこともあるので、その習性かもしれませんが、かき氷の歴史から入ってみます。
かき氷のはじまりは平安時代と言います。平安時代の随筆『枕草子』(平安時代中期に中宮定子に仕えた女房、清少納言の随筆で、1001(長保3)年にはほぼ完成したとされている)には、「あまづら」(ブドウ科ツタ類の樹液を煮詰めて作る甘味料。サトウキビが日本に入ってくるまで古くから使われていた)という甘味料をかけた「削り氷」が登場している。貴族の宴のごちそうで、氷は「お氷様」として特別扱いされ、ごく一部の人だけが楽しめるぜいたく品だったようです。当時の氷は、冬に山中の「氷室」(ひむろ)で保存し、夏に朝廷へ献上される貴重なものでした。
奈良時代⇒平安時代(794ごろ〜12世紀末)⇒鎌倉時代⇒室町時代⇒安土桃山時代と時代が進み江戸時代(17世紀初め〜19世紀後半)になると、かき氷に「きな粉」や「砂糖」をかけて食べた記録が出てきます。しかし、まだまだぜいたくな食べ物でした。
明治時代(1868年〜1912年)に入り、函館の五稜郭で作られた天然氷が船で東京や横浜に運ばれるようになり、氷が少しずつ身近になります。今から157年前の1869(明治2)年には、横浜・馬車道で「氷水店」と呼ばれる店がかき氷を売り始め、日本初のかき氷専門店が誕生しています。
戦後から昭和にかけて、製氷技術と冷蔵庫が普及すると、氷が家庭でも使えるようになり、縁日や海の家、喫茶店でかき氷が定番化します。いちごやメロンなどのシロップ、練乳、小豆をのせた「宇治金時」などが人気になり、夏の風物詩として定着しました。私が知っているかき氷は、ここに例としてあげられている様なものでした。私が子どもの頃には、イチゴのシロップをかけると舌が赤くなってしまったような記憶があります。着色料の入ったシロップもどきだったんでしょうね。
更に時代が進み、平成に入ると、製氷技術がさらに発達し、「純氷」や「天然氷」を使った『ふわふわ食感』や『雪のような口どけ』にこだわる専門店が全国に登場し話題になります。また、旬の果物を丸ごと使ったソースや、抹茶・和三盆など高級素材を使う店など、見た目も味もとても華やかです。
平成後半には、都心を中心に一年中営業するかき氷専門店が増え、「行列のできるかき氷店」が話題になる様になり、かき氷の専門店も登場してきました。じっくり時間をかけて凍らせた天然氷や、不純物の少ない純氷を使い、「頭がキーンとしにくい」「口どけがよい」という点を売りにする店が各地にあります。地方の氷屋さんが自前の氷を使ってかき氷店を併設するケースも見られます。
令和に入ると、かき氷は「夏の一時的なもの」から「通年楽しむスイーツ」へと変化していきます。こうした流れの中での最近の傾向は、①素材と手づくりシロップ②天然氷・純氷ブームの定着③見た目の華やかさとコラボ④専門店の多様化が挙げられます。
素材と手づくりシロップ:旬の果物をふんだんに使い、ソースやシロップ、練乳も自家製にこだわる店が出て来ました。国産の果物をたっぷり使った「果物主役」のかき氷専門店も増えています。
天然氷・純氷ブームの定着:じっくり時間をかけて凍らせた天然氷や、不純物の少ない純氷を使い、「頭がキーンとしにくい」「口どけがよい」という点を売りにする店が各地にあります。地方の氷屋さんが自前の氷を使ってかき氷店を併設するケースも見られます。
見た目の華やかさとコラボ高さ20センチ級の「山盛りかき氷」や、富士山を模したビジュアル系かき氷、カフェや紅茶ブランドとのコラボメニューなど、写真映えを意識したかき氷。これが結構テレビで取り上げられる頻度が高いように思います。
専門店の多様化:小さな席数で、かき氷だけを提供する専門店も全国的に増加。「わざわざ行きたいスイーツ」として定着してきている。
ヘルシー志向や通年メニュー:砂糖控えめフルーツソースや甘酒を使ったもの、ナッツやチーズクリームを合わせたものなど、「甘さより素材感」や「大人向け」を意識したメニューが特徴。
最近のかき氷は、純氷と天然氷が何かと話題になります。この為、この二つの氷の違いに触れてみます。
『純氷』は、人工的に作られる氷です。きれいにろ過した水を大型の製氷機で、約48〜72時間ほどかけてゆっくり凍らせます。不純物や空気の気泡が少なく、透明に近い固い氷で、雑味がなく溶けにくい氷になります。純氷は、安定して手に入り、味にクセが少ないので、シロップの味をはっきり出したい店でよく使われます。
『天然氷』は、自然の寒さだけで凍らせた氷です。山あいなどに作った「氷池」に湧き水や地下水を張り、冬期間外気だけでじっくり凍らせるもので、人が雪かきや水面の管理をしながら、厚さを出していきます。春先にノコギリで切り出し、氷室と呼ばれる蔵で夏まで保存します。昔ながらの製法とも言えるかもしれません。自然の温度変化の中でゆっくり凍るので、きめが細かく削ったときにふわっとした口どけになりやすいといわれます。天然氷は、「自然の氷」「頭がキーンとしにくい」「口どけがやわらかい」といったイメージで看板にしているお店が多く、特別感のあるかき氷として人気があります。
記憶にある範囲では、近場の店で食べたのが『天然氷』を売りにしたものでした。確かに、ガリガリ君を食べたときのような頭が痛くなるようなことがありませんでした。もう一箇所が、宮城県ではなく何処かに行ったときに、記憶はあいまいなのですが、神社を参拝(金刀比羅宮;香川県)した後に階段を下ってきた所にかき氷の専門店があり、そこで食べました。然氷なのか純氷なのかは覚えていませんが、美味しかったことだけは確かです。私の記憶にあるかき氷はこの二箇所くらいです。
今後も、人気のあるお店や映えるかき氷を探して食べるということは多分ありません。食べるなら、果物がいっぱい入ったパフェを食べたいです。そういえば四国八十八ヶ寺歩きお遍路から帰ってきた仙台空港で真っ先に食べたのがもりもりのパフェでした。あれは上手かった!

