福祉って何かを考える機会になっています

今の状態を「てをこまねいていたら」どのような地域社会が待っていますか?。この様な問いから南三陸町地域福祉活動計画策定委員会の議論が始まりました。

このまま「何もせずに傍観している」と、お先真っ暗だ~・・・との意見は共通していました。この様な意見は、ほぼどこに行っても同じように聴きます。でも、南三陸町の方々は、その先が違っていました。

人口が減っていく、高齢者が増えて働き手が少ない等々は止められない。でも、人口が減るのを止められないが、町民がこれまで以上に関わりを増やしていけば活気を保てるのではないか。高齢者が増えるって給料を得るための仕事から解放され、地域に為に働ける人が多くなることだよね、等々。現状について視点を変えてみると、まだまだやれそうなことはいっぱいありそうだと言います。南三陸町の人々は前向きだ。現状を明るく変えていく力がある。

多くの場合、できないことに着目して、何とかしてそれを周りの人々が補ってあげようとする。そして、それが「福祉」だといいます。それが日常的になると、「できない」という人は、益々できなくなり依存傾向が増す。いつまでも要援護者だ。これは「福祉」なのかな~・・・、っていう疑問があります。

できないことを「補ってあげる」(代わってやる)ことは大切です。でも、もっと大切なのは、わずかでも残っているできることを「支えてあげる」(出来ることを引き出す)ことなのではないでしょうか。わずかばかりですが「やれるようになる」ことは、生きることへの希望を沸き起こさせる原動力(意欲)につながります。

福祉とは出来ないこと不足していることを支えることなのかでしょうか。百歩譲って出来ないことを支えるとしても、それは前を向く意欲形成のための体力づくりであるはずです。

私たちがやるべきことは、食べ物を口に入れてあげることではなく、「食べたい意欲」「食べて力を付けて、その先の何をしたいのか」を引き出してあげる。そこが重要なのではないかと思うのです。私が信頼する保健師は「心が動けば身体は動く」と言いました。25年も前に教えて頂いたこの言葉は、私のバイブルです。私たちがやるべきことは「きっかけ」づくりであり、その「場」を設けることのよう思っています。

誤解を恐れずに言えば、「福祉」とは、「心が動けば身体は動く」きっかけをつくり、そしてそのことを他者と共に取り組む「場」をつくることだと思うのです。このような場は、他者との関わり合いの中で、新たな役割獲得の機会になり、萎えた気持ちを奮い立たせる力を生み出します。この様な意識変容を、その方の生活の場から引き抜かないで行うことが「地域福祉」だと思います。

『置かれた場所で咲きなさい』(2017渡部和子)では、「置かれたところこそが、今のあなたの居場所です。時間の使い方は、そのままいのちの使い方です。自らが咲く努力を忘れてはなりません雨の日、風の日、どうしても咲けないときは根を下へ下へと伸ばしましょう。次に咲く花がより大きく、美しいものとなるように」と、いいます。

南三陸町社会福祉協議会が策定する『地域福祉活動計画』は、住民を励まし、住民の力を引き出す、楽しい笑顔あふれる計画になるものと期待しており、とても楽しみです。

地域福祉活動計画策定委員会のワークショップ
自治会長、民生委員の意見はとても貴重です
前を向く提案がいっぱい出されました。

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

福祉って何かを考える機会になっています” に対して3件のコメントがあります。

  1. ハチドリ より:

    自分自身を振り返って見ました。

    普段、これが福祉活動だ!とか考えて何かをしているのではないのですが、ついつい、「こんなことをしたら喜んでもらえるかもしれない」とか「できないことを補う」などの思いがきっかけになり、行動やら活動をしているように思います。

    そして、喜んでもらえたら嬉しいと思って頑張るので、実際に喜んでもらって「楽しかった」と言ってもらい、笑顔を見れば、それが自分(主催者)たちの満足となり、さらに楽しいことをと考える自分たちがいるように思います。

    喜んでもらうこと、楽しんでもらうこと、そのことはもちろんそうあった方がよいと思うのですが、今回の記事を読み、大切なことはそうではないのだと言うことを改めて考えさせてもらいました。

    これまでって、「こちらが何かやってあげる」をメインにしていたと思います。

    でも、そうではないのだと言うこと、住民さんたちが主体で生きていくとはどういうことかを考えながら、私たちは聴かせてもらう側、応援させてもらう側、手助けさせてもらう側、その人の持つ力を引き出し、使わせてもらう側・・など、そんなふうに意識をもっていきたいなと思いました。

    「心が動けば身体は動く」、懐かしくもあり、新鮮な言葉でもあります。こちらで始めた地域食堂~あがっせ~も、やっと自分たちの町に戻ってきた住民のみなさん同士が共に取り組む「場」であり、新たな役割獲得の機会になったらよいなと思います。

    そして、自分と言う花を何歳になっても咲かせて欲しいなと願います。

    毎回いろんなことがありドタバタですが、ねっぱす隊のみんなでそのことを認識し、基本設計として一人ひとりが大切にしていけたらと思います。

    福祉って何?を私も考える機会となりました。ありがとうございます。

    南三陸町の地域福祉活動計画、楽しみですね。

  2. 鈴虫 より:

    今日の記事を「そうだ、そうだ」と読みました。
    助けてあげるばかりが福祉じゃない、手を取り合って一緒に歩むことが私達の目指すところ。
    みな同じステージに立ち、一人ひとりが「私にはこれが出来る」という強みを持ち寄って最強の地域を創り上げていく。
    そういうワクワクを地域ぐるみで実現していきたいです。

    少子高齢化のモデルの様な我が町、はっきり言って人口なんて増えそうな要素は何も無い。それなら一人ひとりが濃厚な個性を発揮すれば良い。
    私はそんな想いを語り合える、希望の塊のような居場所を創っていきたいです。

  3. スマイル より:

    「福祉」というキーワードで話をするとき、たいていの場合もやもやしてしまいす。本間先生がここに書いてくださったことは「まさに!」と思うことばかり。どの地域でも、このような姿勢で「地域福祉活動計画」を考えていただきたいと願います。
    南三陸町の計画、本当に心から期待し、楽しみにしています。

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