このような素敵なProjectを知りました〜未来への種まきプロジェクト〜

その方は、「自分が暮らす地域の中で、地域のつながり創出と、子どもの居場所づくりを目指している」と、いいます。頂いたメールの全文を引用してご紹介致します。

【昭和のある雪の朝の景色】冷んやりキリッとする朝の空気。カーテン越しに見える白い光。カーテンを開けると辺り一面の雪。シャッシャッと音のする方にふと目を向けると、どこまでという境なく、いつも雪かきをしてくれているおじさんがいる。そのおじさんが作ってくれた一本道を、白い息を吐きながら友達と一列になってワイワイ通った小学校。私の幼い頃の記憶には、こんなほっこり温まるようなエピソードがいくつか鮮明に残っている。その頃の自分が何を感じていたかまでは思い出せないが、今でも子どもの頃のこういう記憶は、あったかいものとして自分の中に確かに残っている。見えるもの、見えないもの、いずれにせよ人のつながりというのは、そういう温かいぬくもりのようなものとして、時を経てもなお、人に届き残ることがある。

【令和のある雪の朝のこと】息子たちがよく通る近くのちょっとした公園がある。雪の多かったある朝。登校する時間。きれいに雪がよけられていたそうだ。聞けば、近所のおじさんが早朝に雪かきをしてくれたのだと。息子とその話をした。小さな子どもがいるわけでない、ご夫婦2人で住まわれているおじさん。いつも家の目の前の公園で小さな我が子たちが遊んでいて、迷惑をおかけしていることも多々あるだろう。「あったかいね、ありがたいね。」息子が言った。彼にも何かあたたかいものが届いているんだろうな。そう思った。

【今年、いよいよ寒さが厳しくなってきたある日の朝】息子がこんなことを言ってきた。「今年さ、雪が降って雪かきが必要になる時があるじゃん?そしたらさ、自分ちの前もだけどさ、お向かいのおばあちゃんちの前とかさ、学校までの道、雪かきしてもいい?」。彼が頂いた、感じたつながりが導き出した一つのアクションなんだと思う。「いいんじゃない?」ーそんなやりとりをした。

無理はなくていい、全然いい。安全が第一。できる時でいい。私も地域の子どもたちの見る景色の中に、そんなあたたかさやつながりを描きたいなと思う。自分の家の前に一本道を、通学路に一本道を。そこに未来への種まきをしていきたい。そんな地域をつくれたら、いいな。(ここまで引用)

以下の写真はNaritaマルシェ(富谷市成田地区)で行われている活動の際の一コマです。とても素敵なので参考に掲載します。

みんなで五丁目会館前の公園掃除(Naritaマルシェ)
大人と子どもの連携(Naritaマルシェ)

私は、このメールを頂いて「社会化」(socialization)とう言葉を思い出しました。社会学や心理学の分野でよく使われる言葉です。

「人間が、集団や社会の容認する行動様式を取り入れることによって、その集団や社会に適応することを学ぶ過程をいう。」(日本百科全書)。

「子供や、その社会の新規参入者が、その社会の文化、特に価値と規範を身に付けることを指す。遺伝子により先天的に獲得されたものではなく、学習により後天的に獲得されるものである。」(Wikipedia)。

「人が自分の属する社会や集団、またはこれから所属しようとしている社会や集団に共有されている流儀作法を学習して、自分のものにしていくプロセス」(社会学がわかる辞典)。

「個人が他者との相互作用の中で、彼が生活する社会、あるいは将来生活しようとする社会に、適切に参加することが可能になるような価値や知識や技能や行動などを習得する過程」(新社会学事典)等々と説明されています。

尊敬の眼差し(Naritaマルシェ「流しそうめん」)
見よう見まねで!(同上)
はじめてのおむすび(Naritaマ「ルシェおむすび会」)
自主的なお手伝い
(Naritaマルシェ「まかないつき寺子屋」)

子どもは、周りの大人の振る舞いを見て、その振る舞いを模倣する(まねぶ→学ぶ)ことで、その社会の持つ流儀作法を学習し、いつしか大人と同じような振る舞いをするように身につけいていきます。上記にあった「今年さ、雪が降って雪かきが必要になる時があるじゃん?そしたらさ、自分ちの前もだけどさ、お向かいのおばあちゃんちの前とかさ、学校までの道、雪かきしてもいい?」この言葉の中に、社会化過程を読み取ることができると考えます。この子は、とても大切な学習をしています。この子の親はとても大切なフォローをしています。地域の大人、親そして子ども達は、地域社会の営みに軸足を置いて互いの学び合いの中で育っている、とても素敵なお話しです。未来への種まきプロジェクト、応援しています。

私が通う(使われている?)Naritaマルシェという「地域の縁側」「地域の居場所」ともいえる空間(場)は、この「社会化」の場ということもできます。ここでは楽しく温かな雰囲気の中で子ども達が、本来の子ども達の姿で遊び食べています。遊び道具は特に必要とせず、目に付く全てをおもちゃにして遊んでいます。彼らの想像力は私たちの想像をはるかに超えて豊かです。Naritaマルシェという場は、そんな豊かな想像力・創造性さえも生み出す、「心の安全基地」(ジョン・ボウルビー)になっています。ここでのカギは、女性の包容力と笑顔、男性陣の時としてにらみを利かす毅然とした姿です。それぞれがそれぞれの役割を果たす大人の本気です。少し前まで地域社会にあった普通の「大人の振るまい」がここにはあるのです。

「社会化」過程を生み出す場といえる地域社会という視点で、自分の住む地域社会を見渡してみるのも良いのではないでしょうか。

地域の縁側(Naritaマルシェ活動場所)
大人の本気(Naritaマルシェ「竹取物語」)
どちらも真剣
(Naritaマルシェ「まかないつき寺子屋」)

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

このような素敵なProjectを知りました〜未来への種まきプロジェクト〜” に対して6件のコメントがあります。

  1. 鈴虫 より:

    昨夜からの雪で今朝はいよいよ雪かきをしました。
    今回は、お隣の老夫婦の家の前と融雪剤置き場まで。
    おばあさんがいつでも我が家に来られるように、凍らすわけにはいかないと念入りにかきました。
    菊池さんのお話を聞いたおかげです。
    ありがとうございました⛄️

  2. 鈴虫 より:

    「未来への種まきプロジェクト」良いですね!

    私の母が生前、家の前から大通りに出るまでの草取りを習慣にしていました。母が亡くなった後、一時草ボウボウで残念な様子も有りましたが、又キレイに気持ちよく歩けているようです。
    キレイな事があたりまえではなく、誰かがキレイにしてくれていたんだと気づいた人がいてくれた、それが嬉しく思いました。

    誰かのためにという行為は尊い行為だと思います。雪かきに限らず、様々な場面で大人から子供たちへの素敵な贈り物になっていくのでしょう。

    この冬、我が家からも一本道繋げていきたいと思います!
    なんだか雪降るのが楽しみになってきました♪

    1. 菊池 より:

      鈴虫様

      想いを繋いで頂き、とても感動しております。
      鈴虫様のお母様が、通る道を綺麗に照らしてくださっていたように、こうしてできていく一本道が、子どもたちの歩む道となり、踏みしめ進んでいく力を与えてくれるのだと思います。

      さりげない日常の景色の中で、誰かにホッとあたたかい何かを届けられたら、それが連鎖していけたら、そんな想いを感じ取る感性が溢れていたらな。そんな地域をつくっていけたらいいなと感じています。

      タイヤ交換がまだ済んでおらず、いつ雪が降るかハラハラして過ごしておりますが、繋いで頂いた想いに、改めて想いを巡らせ、私も雪が降るのが楽しみになりました♪

      1. 鈴虫 より:

        菊池さま
        コメント頂きましてありがとうございます。

        私の母に関しては、特に次に繋げるといった意図は無かったように思います。
        それでも、自分のことだけでなく、みんなが気持ち良く歩けるようにとの想いからの行為であったことは間違いないと思っています。

        雪かきをしてくれたおじさんも、次世代にバトンが受け継がれようとしていることを喜んでくださるでしょう。

        かっこいい大人の姿から真似ぶ。この様な心温まる交流を経験することで、子供達には地域への愛着が確実に育くまれていくのだと思います。

        だれかの地道な行為が、かっこいいと気づける感性を磨きたいですね!

  3. 『未来への種まきプロジェクト』なんて素晴らしいのでしょうか!

    「今年の寒さが厳しくなってきたある日」の息子さんの言葉に心打たれました。こういうことこそ、子どもたちの心に育んでもらいたい宝だと思います。

    このプロジェクトに一番共鳴したところは、「ご自身の子どもの頃の温かな想い出」や、「お子さんたちが感じた感謝と恩返しの気持ち(自分も雪かきをしようという気持ち)」などを原点の動機になさっているところです。「とてもよくわかる」と、なんだか胸がいっぱいになりました。

    心をいつまでもほっこりと温めてくれる「想い」や「想い出」こそ、実は最強の核になると実感しています。「北風と太陽」という物語がありますが、あれは真実をついているなあ、といつも思います。心を暖めてくれるものこそ、持続可能なエネルギーとなりますよね。

    Naritaマルシェを始めた時の気持ちを振り返ってみると、娘たちが近所の方達に本当に大切にしていただいたことへの感謝が大きな動機のひとつとなっています。周りの人たちが自然な関わりの中で大切なことを娘たちに教えてくれました。親だけではなし得ないことはたくさんあると思うのです。そう、子どもたちは地域で育まれてこそ豊かに育っていけると思います。また、大人の温かなまなざしは子どもたちの安心につながるだけでなく、これから年を重ねていく自分たちへもエネルギーは循環し(返ってきて)、安心して住み続けられる環境を作ることにもなると思います。

    「未来への種まきプロジェクト」が、素敵な連鎖となることを心から応援しています。時々想いを共有する時間を持てたら素敵ですね!わくわくしてきました。「わくわく」を大切にしていきましょう!

    1. 菊池 より:

      Naritaマルシェ様

      「未来への種まきプロジェクト」に対して、あたたかい共鳴と、その先に描く想いを汲み取って頂き、ありがとうございます!心強い励みになりました。
      このプロジェクトを発信しております、菊池です。先日は素敵なやきいもCafeにお邪魔させて頂き、ありがとうございました。とても素敵な時間でした♪

      自分が幼少期から見てきたもの、感じてきた空気、地域から学んだつながり。個の時代だからこそ、本当の意味で個が活きるとはどういうことか、体現できる大人・地域でありたいと、そう願っております。どんな時代になろうとも、人が心を持った人であり続けるためには、日常のあらゆるところに転がっている、人のつながりゆえの種をいかに探せるか、気付けるか。そんな種を地域の大人たちが地域のあちらこちらにまいていけたらいいな、子どもたちにそんな景色を見せられたらいいな、そんな想いでおります。

      ぜひまた、共に想いを持ち寄れる時間を過ごせますことを、楽しみにしております!

      初雪も舞い、いよいよ冬本番ですね❄︎どうぞ、ご自愛ください。またぷらりと寄らせてくださいね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です