敬老の日によせて

総務省は、9月18日の敬老の日にちなみ高齢者人口を17日公表しました。それによると、65歳以上の高齢者は3,623万人でした。総人口に占める割合は、前年から0.1ポイント増の29.1%で、過去最高を更新し世界一の高齢化率です。各国と比較すると、2位のイタリア24.5%、3位のフィンランド23.6%に比べ突出しています。

65歳以上の56.6%は女性で2,051万人。平均寿命の長さを反映し、男性1,572万人を大きく上回っています。80歳以上は27万人増の1,259万人で、65歳以上高齢者の10.1%と初めて10%を超えています。「10人に1人」は、80歳以上の高齢者です。

団塊の世代が大きな塊となっている75歳以上では、前年比72万人増の2005万人で、初めて2千万人を超えました。団塊の世代は、来年以降、全員が75歳以上になるため「高齢者の高齢化」がさらに進みます。いわゆる2025問題、即ち、1947〜1949年生まれの団塊の世代が75歳になる年で、高齢者人口が約3500万人に達することによって雇用・医療・福祉など、さまざまな分野に影響が及ぶと懸念される状況が現実のこととなるのです。

65歳以上の全国の高齢独居世帯は2020年に672万世帯となり、2000年の303万世帯から倍増しました。少子高齢化に伴い、身寄りのない高齢者が今後も増えるのは確実です。入院や施設に入所する際の身元保証の代行や財産管理、死亡後の火葬や遺品処理などで支援を必要とする人も少なくないといいます。この様な状況に、寿命が延びることで必然的に「認知症」の方も増えます。この為、成年後見制度の充実も急務です。

二人の亡き母

寿命が延び長寿化がよろこばれ、お祝いされるように成るためには、平均寿命と健康寿命のギャップ10年を縮める必要があります。現在行われている「介護予防」や「フレイル予防」が、今現在のような視点で行われると、高齢者に不安を与えるだけだと思います。「これをしないと要介護状態になりますよ」って、脅迫しているようなものです。それは酷すぎる。

私は、「介護予防」「フレイル予防」は、平均寿命と健康寿命のギャップ10年を縮める活動で、そのことは、子ども達、若い世代に、安心して子育てできる財源を回す、高齢者が行う「社会貢献」だと思うのです。なので、『介護予防は社会貢献』と、真顔で思っています。高齢者を支援の対象者としてだけ見るのではなく、今後の社会の安心安全を築く為の心強い助っ人と見ては如何でしょうか。

年老いて、人様に迷惑を掛けるだけだ、何も出来なくなったと、遠慮がちに暮らしている高齢者に、「そんなことはない、あなた方は大切で必要な存在です」と、励ましたいです。

『敬老の日』にあたり、改めて長寿社会の有り様を考えてみては如何でしょうか。

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

敬老の日によせて” に対して5件のコメントがあります。

  1. スマイル より:

    お母様お二人の写真を見ていると、自然と「尊いなあ」という気持ちが湧いてきます。いろんな時代を生きていらして、子どもたちを育て上げて、そのすべての経験はどんなものにも代えがたい宝となってお顔に刻まれている。今回の内容は、まさにそういうことだろうと思いました。
    人生を生き抜くというのは大変なこと。それを私たちよりもずっと長く続けていらした方達はそれだけで尊敬に値するし、何より、そのことをご自覚いただきたい、心からそう思います。
    それぞれが自分の生きた道のりを大切にできたなら、それは自然と周りへの希望の種となり、やがて敬意となるでしょう。
    まずは、一人ひとりが自分の人生を大切に生きる、周りはどうしているだろうと顔色ばかり窺うのではなく、自分がどうしたいかを真剣に問いかけながら悔いなく生きる、そう心がけていけたら素晴らしいな、と思いました。

  2. いくこ より:

    「長寿化がよろこばれお祝いされる」ほんとうにそうですね、高齢者本人も長寿を喜び暮らしたいものです。まずはテレビを消して窓の外をながめましょうと伝えたいです。保険やサプリメントのコマーシャルのなんと多いことか、心配ですよ~の大合唱のように感じます。

    1. ハチドリ より:

      いくこさん、一番下の棒グラフ、まさに私たちのこれまで暮らしてきた時代そのもの。これを見るとやはり長生きしてることを実感します。

      一番右端に私たちも入っているのですね。さあ、元気に楽しく生活をしながら社会貢献していきたいものです。

      お二人のお母様の写真、先生の方を向いて笑みが止まらない素敵な写真ですね。

      1. いくこ より:

        はい!もちろん。
        昨日の河北新報の「働くデイサービス」という記事に心惹かれました。
        大崎市松山の浦上さんが営む農産加工場で、80代を含めた中高年の女性が生き生きと働くという内容で、晩のおかずなど世間話をしながら作業をしているとのこと。
        家族を失ったときも「この地域に住む人を家族と思えばいい」と考え続けてこられたそう。Naritaマルシェの台所風景とかさなりました。できることを持ち寄り一つ事をする、働くデイサービスという視点いいなぁと思いました。

        1. ハチドリ より:

          働くディサービス?目からウロコ‼️
          なんて素敵な発想なんでしょう。あ~、トキメキました。

          そして、『家族を失ったときも「この地域に住む人を家族と思えばいい」と考え続けてこられたそう』って、今、目の前がとても明るくなったような気持ちです。

          ご紹介ありがとう、いくこさん。

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