SDGs 目標10 「人や国の不平等をなくそう」

不平等というのは人だけでなく国にも起こります。一国の中における不平等はもとより、国家間の不平等に関する問題は深刻であり、性別や年齢、障がい、人種、民族などを理由とする差別は、所得格差を大きく広げる要因にもなり、是正を進める妨げにもなります。また先進国と開発途上国との経済格差を生む原因にもなります。

これらを是正するためには、機会均等を測る取り組みとともに、途上国輸出への特別な待遇や資金流入の促進が求められています。(出典:国際開発センター「人や国の不平等をなくそう」,2018)

10.1    2030 年までに、各国の所得下位 40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。

10.2    2030 年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。

10.3    差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、並びに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。

10.4    税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。

10.5    世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。

10.6    地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。

10.7    計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。

10.a    世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。

10.b    各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接 投資を含む資金の流入を促進する。

現在、世界では大きな所得格差があり、世界の富裕層の10%が世界の総所得額の約40%を占めているといわれています。豊かな生活を送る人がいる一方で、1日米2ドル以下(仙台市最低賃金853円/時)の貧困生活を強いられている人たちが大勢います。現在の金融システムやグローバル経済は資産を持つ富裕層に有利に働き、富裕層はさらに裕福に、貧困層は貧困のまま辛い生活を送っています。

このような現状は個人的な不平等だけではなく、国と国の間の平等性にも影響します。例えば、貿易は不平等の上に成り立っている部分があります。開発途上国が先進国に対し優位、または対等に貿易を進めるには、安い労働賃金を武器に安い製品や作物を作り輸出する必要があります。

しかし、先進国は高い関税をかけ、自国の企業を守ろうとしています。また、買い手はより安い売り手へと流れていくため、不当な価格での取り引きを余儀なくされる場合もあります。これでは、生産者は十分な利益や労働に見合った報酬が得られず、生活水準の向上は望めません。

体を酷使し働いても貧困から抜け出せず、技術向上のための教育や健康サービスを受けることもできません。結果、貧困層は十分な所得を得ることが難しく、富裕層との資産、生活格差がさらに開いてしまいます。同じ国に住んでいるのに、性別や人種など様々な理由で、就労や教育、医療へのアクセスに不平等が起きています。

また、グローバル化や政府の規制緩和政策により、富裕層への恩恵は大きくなりましたが貧困層にはほとんど恩恵がなく、両者の生活を取り巻く環境に大きな格差ができています。中国やインドのような新興国も、経済成長とともに格差がさらに大きくなりました。中国では農村部は都市部に比べ、学歴や賃金が低くなります。中国の戸籍制度が賃金の高い都市部に移住することを制限しています。中国政府は農村部への支援を行っているものの、所得格差は拡大しています。インドにおいては、IT関連の労働者は質の高い労働環境と所得を得られます。しかし、教育を受けるチャンスがなく識字もままならない人々は質の高い職に就けず、インドの所得格差は拡大する一方です。

経済大国である日本でも、格差社会の問題が大きくなっています。また、人口減少に伴い国外からの働き手が必要になり外国人労働者も増えています。貧困家庭で育つ子どもや外国人がクラスにいることも当たり前になりつつあり、教育現場ではそのような子どもたちが平等な教育が受けられるような配慮が必要です。

日本でも被災した方への支援や年末チャリティーイベントなど、様々な支援活動に触れる機会があります。TVやポスターなどで見かけたら、子どもと話し合ってみてはどうでしょうか。日本でも支援が必要な人がいること、世界中で起きている不平等について親子で関心を持ち、具体的な誰にでも出来る取り組みとして、次のようなことから始めてみてはいかがでしょうか。このことは、別の機会の投稿でも触れられていましたね。

(フェアトレードの商品の購入)フェアトレードとは、発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に取引することです。生産者や労働者への適正な賃金の支払いや労働環境の改善と児童労働を撤廃し、より良い生活が送れることを目指します。フェアトレードマークがついたコーヒーやチョコレートなどを扱うお店も増えています。珈琲やチョコレートを買おうとしたとき、フェアトレード商品であるか否かを選択の基準にするのは如何でしょうか。

(募金や寄付)人道支援団体への募金や寄付は団体の活動資金となり、多くの人を救うことに繋がります。寄付はおこずかいの中から100円、お年玉の中から1000円というような金額で充分です。子どもが100円出したら親も100円、200円なら200円というようにマッチング制度にすると、子どもにプレッシャーを与えずにできます。日本では寄付文化がなかなか根付いていません。24時間テレビや赤い羽根共同募金(戦後間もない1947(昭和22(1947)年に、市民が主体の民間運動として始まりました。当初、戦後復興の一助として、被災した福祉施設を中心に支援が行われ、その後、法律(現在の「社会福祉法」)に基づき、地域福祉の推進のために活用されています。)等、馴染みのある募金や寄付から始めて見るのも良いかもしれません。

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

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