大施食会法要に参列して
お盆を間近にしていることから、少々抹香臭いのですが、仏教に関わる行事について書いてみます。
母(瑞雲慈香清大姉)のご供養をして頂いている菩提寺寶珠山壽徳寺(曹洞宗)からご案内を頂き『大施食会法要』に参列してきました。壽徳寺講の平役員をしていることから1時間早く出向き受付などの役割を担いました。大施食会法要は、毎年お盆近くに行われ、例年8月10日に行うようになっています。
施食会法要(せじきえほうよう)の「施食」とは、食べ物を施すことを意味する仏教用語です。飢えや渇きに苦しむ餓鬼道(がきどう)の衆生や、祀る者のいない無縁仏(むえんぼつ)に飲食を施し、その功徳を先祖代々の供養や生きている私たちの幸福へと回向(えこう:自分が修めた善行や読経、追善供養の功徳(くどく:よい行いによる恵み)を、他の人々や亡くなった方々、あるいは己の悟りに回して振り向けることを指す仏教用語)する重要な法要です。一般的には「お施餓鬼(おせがき)」とも呼ばれ、お盆の時期(7月〜8月)に合わせて執り行われることが多く見られます。
施食会法要の意義と特徴として挙げられるのは、一言で言い表せば、見返りを求めない「慈悲の心」です。自分の先祖だけではなく、縁のないあらゆる霊や苦しんでいる存在に対して供養を行う「利他(りた)の行」です。見返りを求めずに施すことで、大きな徳を積むことができるとされています。
法要の中では、確かに様々な災害等で亡くなられた方々へのご供養も読み上げられていました。例えば、「東日本大震災物故者諸精霊(ひがしにほんだいしんさいぶっこしゃしょしょうれい)」、「海難事故物故者諸精霊」等々で、東日本大震災によって亡くなられた全ての方々の御霊(みたま・魂)を意味する言葉で、犠牲になられた方々を分け隔てなく供養(回向)する際の題目や塔婆(とうば)の表書き、回向文(えこうもん)として用いられます。
お盆(盂蘭盆会)はご先祖様を迎える行事ですが、施食会を併せて行うことで、ご先祖様だけでなくあらゆる霊を供養し、その功徳をご先祖様へ届ける意味合いを持ち、この次期に行われるのが常です。
法華経の一説に『積功累徳』(しゃくるいとく)という言葉があります。私が、毎朝(時々サボる)読経する『修証義第三章受戒入位』の中にも出て来ます。「設い天上人間地獄鬼畜なりといえども、感応道交すれば必ず帰依し奉るなり、已に帰依し奉るが如きは生生世世在在処処に増長し、必ず『積功累徳』し、阿のく多羅三みゃく三菩提を成就するなり」
AIによる現代語訳では次のようになります。「「たとえ天界、人間界、地獄界、餓鬼界、畜生界などのどのような世界に生まれる者であっても、仏と心が通じ合い互いに応じ合う(感応道交する)ならば、必ず仏法に帰依し奉るのである。すでに帰依し奉るようになったならば、それは生まれ変わるたび(生生世世)、どのような場所(在在処処)においても心や功徳が増長していき、必ず『功徳を積み重ね』て、仏の最高の悟り(阿耨多羅三藐三菩提)を成就するのである。」
積功累徳とは、修行や善行に努め、功徳を積み重ねる、という意味です。修証義第三章受戒入位では、「仏の教えを人生の指針(戒律)として受け入れ、自己を高めながら他者のためにも生きていく誓いを立てること」と書かれています。
積み重ねた功徳は、積み重ねた私たちはもちろんですが、後世の人々にその恵み受け取ってもらうというものでもあります。功徳は、このようなことから「利他の行」でもあります。私は、毎朝お経を読み、その功徳を母(瑞雲慈香清大姉)の修行の応援をしています。
積功累徳の出てくる『修証義第三章』の「受戒入位」という題目は、「戒を受け、仏の位(仲間・境地)に入る」という意味。過去の過ちを懺悔して心が清らかになると、仏法を素直に受け入れられるようになります。仏たちの悟りの世界へ入るための最も大切な第一歩は、「受戒(戒律を受けること)」です。戒を受けることで、誰であってもその瞬間に仏の位(仲間)に入ることができると説かれています。授かるべき戒律として「三帰戒(仏・法・僧への誓い)」、「三聚浄戒(生き方の3つの指針)」を挙げています。
戒律とは「身を縛る窮屈なルール」ではなく、心を正しい方向に向け、迷いや苦しみから自分を守るための「あたたかい鎧(よろい)」のようなものです。戒を受けると、過去・現在・未来のあらゆる仏から守られ、生きている間に大きな安らぎを得て、真の幸せへと導かれます。
戒律は、堅いもの厳格なものという印象を、このような言葉で説明することで、自分自身を高めることに取り組みやすいように説明しています。よくよく、この内容を読むとそれほど大変なことではないのですが、どうしても私たちは、「厳格なルール」との先入観があり、「私は無理」と食べる嫌いの状態が私たち衆生の受け止め方のように思います。
今回、大施食会法要に参列して『積功累徳』(修行や善行に努め、功徳を積み重ねる)という言葉を知ったので、少し、この言葉を心の中で反芻し、せめて祈りに包まれる八月だけでも、それに反するような行いをしないように努めたいと思います。


