課外活動 『地域福祉担い手の皆さんと刺激的な時を過ごす』
昨日(8月22日)に、日本社会事業大学同窓会・同宮城県支部が主催する社会福祉セミナーin宮城に参加してきました。テーマは『東日本大震災から15年のソーシャルワーク実践を振り返り今後の取り組みを考える』です。定員30名の小さな集まりですが、熱気と活力に満ちたセミナーで、久々に刺激的な時間を送ることができました。希望者が多く、最終的には36人の参加になっています。
このフォーラムには、以前から親しくさせて頂いている日本社会事業大学准教授の北川先生からお知らせがあり、「是非参加させてください」とお返事して参加したものです。このセミナーは、同窓生だけではなく、地域福祉に関わっている皆さんにもオープンにして参加を促していました。一般的には、同窓会と言えば「飲み会」オンリーが定番のようですが、宮城県支部の企画に関わっている北川先生の意向・想いの詰まった内容になっていました。
冒頭、北川先生による『東日本大震災に於ける様々な被災者支援の実践と辿る』と題する基調講演がありました。先生がみてきた東日本大震災に於ける被災者支援の実践を振り返りつつ、私たちに対しても、これまで伝えられてきた様々な課題が、なぜ繰り返されるのかを問いかけました。その上で、実践者の苦悩は無駄にはならず、必ずや後世につながると励ましてくれました。
そのご、三名の実践者によるパネルディスカッションがありました。南三陸町社協高橋吏佳事務局長からは、被災者支援を地域福祉の枠組みで行った様々な実践を紹介されました。またこの中で、昨今の様子で家庭の機能が低下しているとの指摘がありました。
二人目は、河瀬聡一朗石巻市雄勝歯科診療所長から、震災時のご遺体から身元確認を行う活動の様子や避難所生活が著しく身体の機能低下を招いている実態を歯科医師の立場から分析していただきました。避難生活の厳しさがフレイルの温床になりかねないとの指摘には私自身の体験からしても極めて大切な指摘だと思いました。
三人目は、野田大介社会福祉法人みちのく大寿会理事特養久慈平荘副施設長からは、震災に立ち上がった「介護付き避難所・滝の家」の実践が報告されました。私自身では、介護付き避難所というシステムは初耳だったので大変興味深く聴きました。更にその発表は「エスノグラフィー」の質的調査法に基づいた報告で、その点にも注目しました。非常に簡単な表現をすれば参与観察による記録の様なものなのですが、文化人類学や社会学の分野で使われる調査手法で、特定の集団や人々の生活・行動様式に入り込み、観察やインタビューを通じて対象の視点(一人称)から事実を解明する質的調査方法です。私は、ここまでではないのですが、被災者支援に関わった生活支援員の語りを聞き書きして本にしたりしました。また、被災者自身の言葉を記録するように、生活支援員の記録には「」書きで記録するように指導していました。
三人の報告を元にして、参加者は6班でグループ討議が行われました。約1時間程の討議でしたが、地域福祉の実践者の集まりらしく非常に多様で活発な意見交換が行われました。検討の結果をかいつまんで列記すれば、「経験をつないでいくことが大切」「顔の見える関係が生きる」「震災の経験がない中でどの様な学び方があるのか」「もっと知ることが次の学びにつながる」等々がありました。
この社会福祉セミナーを総じて記せば、東日本大震災を振り返り、出来たこと出来なかったこと等々の実践を、次世代のシステムづくりに生かして行くことの大切さを改めて確認したことにあります。参加者が語っていましたが、「東日本大震災の被災者支援活動を聴く度に新たな学びがある」更には、「震災時はまだ子どもだった。今大人になって震災について語ることに一抹の不安があるものの、知らないなら知らないならでの課題意識をもてるのではないか」と。こうした意見を受け入れながら、被災者支援ひいてはソーシャルワーク実践の有り様を考えていく大切な時間を私たちは持ち続ける必要があるのではないかと思いました。
17時からは、会場を移し、第二部のディスカッションが行われました。第一部のセミナーとは一変し、それぞれのソーシャルワークとの関わりが活発に語られました。私個人としては、15年ほど前に北川先生が提案立ち上げた「ゆいっこ」のメンバーが管理職になっており、とても懐かしくそして頼もしく思いました。いよいよ彼らの時代が来たのだと思います。北川先生を頭にして彼らの福祉実践を進めていける時が来たのだと。彼らの福祉実践を北川先生の理論で武装する。こんな関係がもうすぐ宮城県で興ります。私は、この化学反応、長い時間をかけて寝かせてきたお酒が一斉に発酵する、そんな様子をみたいと切に願っています。
大変短くて雑ぱくな内容ですが、この場にいた私は、久しぶりに地域を彼らと一緒になって走り回っていたことを思いだし、同時に「市井の人」になった私に彼らを応援する術はないだろうか等々、ワクワクしながら考えたとても刺激的な時間でした。
日本社会事業大学同窓会の皆さん、このような場に立たせて頂きありがとうございました。



