JA7BZU局長の遺品(鉱石ラジオ)

自宅を新築するのに合わせて、念願だったアマチュア無線局を再開しました。その際、送受信機の選定やアンテナタワーの設置について、JA7BZU局長に様々な助言を頂きました。

その方は東北学院大学在学中に「無線技術研究会」活動で多くの実績を残した方でもありました。私は、東北学院大学で地域教育科目を担当し、多賀城キャンパスにも毎週通っていたので、帰り道に何度も寄らせていただき、アマチュア無線の醍醐味や技術的な助言を頂いたりして今日に至っていました。

6月に入って直ぐに、JA7BZU局長が経営していたアマチュア無線ショップを閉じるという葉書が届きました。経営的に難しくなったのだろうか等々考えながら、これまで大変お世話になったのでお礼をしたいと思いお店に伺いました。

お店では在庫処分などが進み、箱に入ったジャンク品などが床に散らばっていました。いつものように皆さんにご挨拶をして、いつもの席にJA7BZU局長がいないので「社長はお留守ですか」と訪ねたら「亡くなりました」と。もうびっくりでした。社長がいてのこのハムショップなので、亡くなってしまったから店を閉じるとのことでした。

まだ76歳です。365日毎日休まず海外のアマチュア無線局と交信をするのを何年も続けているという世界的にも数少ない局長さんでした。突然の訃報はとてもショックでした。

帰り際に、A7BZU局長が趣味で手作りしていたという遺品の鉱石ラジオ2台を購入しました。自宅に帰ってからは、微弱な電波を受けられるように、アンテナを様々な方向に張って、イヤホンから聞こえるラジオ放送に耳を済ましています。今はただ、ご冥福を祈るだけです。

人生は長いようで短く、短いようで長い。改めて「今を大切にする」ことの重さを再確認しています。四国八十八ヶ寺歩き遍路でも感じたことでしたが、この訃報に接して更に意を強くしています。

鉱石ラジオ(鉱石式受信機)とは、鉱石検波回路と同調回路だけからなる簡単なラジオで、増幅回路はないのでイヤホーンで聞きます。

その特徴は、回路の一部に鉱物の結晶を用いた受信機であり、アンテナから拾った微弱な電波のエネルギーをそのまま利用してイヤフォンを鳴らします。電池を使わず、電波から供給される電気だけで作動するエコな端末、それが鉱物ラジオです。

鉱石ラジオ
アンテナの取り付け(2019/10/23)
タワー(h=13m)の設置工事

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

JA7BZU局長の遺品(鉱石ラジオ)” に対して3件のコメントがあります。

  1. スマイル より:

    いつもいる場所に、その人がいない・・・そのぽっかり空いた穴は他の何でも埋められないものですね。どれほどのショックだったことでしょう。
    走馬灯のように人生を振り返った時、局長さんの心に世界中からの声がいっせいに聞こえたのではないでしょうか。不思議とすべての言葉を同時に理解できたのではないかな、と想像します。
    「鉱石ラジオ」と共に「今を大切にする」ということを遺してくださったのですね。

  2. 鈴虫 より:

    ハムショップのいつもの席に、いつもの姿が無いというのはもの凄く寂しいものでしょうね。

    ご縁のある方の形見となる小さな鉱石ラジオを求められたのは良かったですね。
    男の浪漫を引き継ぐ人があること、何よりの供養になると思います。
    どうぞ大事に、その小箱から微かな音を拾ってください。

  3. いくこ より:

    楽しい趣味も人との繋がりや共感があってこそなのだと改めて感じました。
    高齢者と呼ばれる枠に入りましたから、誰かと会えることその時間を大事に過ごしたいと思いを深くしています。
    ありがとうございます。

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