この時期になると思い出す母の笑顔

母と一緒に暮らすようになったのは、2005(平成17)年9月からです。2ヶ月前の7月に父が他界したので引き取りました。当時、宮城県庁地域福祉課に勤務していました。しかし、まもなく、高い確率で発生が予測されていた宮城県沖地震を想定して、大河原町そして大崎市に単身赴任しています。そして、退職したらゆっくり親孝行をしたいと考えたのですが、2011(平成23)年3月に退職して、直ぐに被災地南三陸町に向かってしまいました。この為、ほとんどは妻に任せっきりの同居でした。妻には頭が上がりません。

季節の良い、花が咲く頃や若葉が眩しいときなどは、日頃の罪滅ぼしに近所を散歩したりしていました。こうしたことがあったので、この頃になると、桜やチューリップを見ながら母の笑顔を思い出します。ほんのわずかな親子の時で見せてくれる母の笑顔です。母は田舎育ちなので、野菜を育てたり、草花を育てたりするのが好きでした。実家にいるときは、畑を借りて野菜をいっぱい作っていました。食糧確保という実用的な面が多々ありますが、畑仕事が苦にならない働き者でした。そのような生活をしていたためか、庭に出ると雑草取りをよくしていました。

母とは、同居したといっても、日中独居状態でした。実家にいるときは、父のお世話で忙しい中にも役割を持って過ごせていました。しかし、こちらに転居して同居するようになってからは、それもなくなってしまい、一人ポツンとしている時間だけになってしまったのです。この為、介護保険でホームヘルプサービスを使い、身の回りのお世話という名目で、一時の話し相手をお願いしていました。身の回りのことは、妻がしっかりやってくれていたのでほとんど必要は無かったのです。

そんな母を少しでも外の空気に触れ、四季を感じながら生活してもらいたいという思いで、よく散歩や鳴子の温泉に連れて行きました。元住んでいた場所では、温泉といえば「鳴子温泉」です。硫黄の臭いが漂う温泉街は、古き良き時代のお楽しみの場です。今更ながらではありましたが、何度か二人で行っていました。

二人で散歩しているときや食事をしている時などにみせる母の笑顔は最高です。母の戒名は「瑞雲慈香清大姉」です。この名を授けてくれた和尚さんは「優しい慈悲の気持ちが香るように広げてくれた人」と、説明してくれました。母は、いつも笑顔を絶やさない人だったので、「慈香」は笑顔で他者を優しく包んでくれた人、と私は解釈しています。時期になるとこの様なことをこの良く思い出すのです。

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

この時期になると思い出す母の笑顔” に対して5件のコメントがあります。

  1. いくこ より:

    花にかこまれたお母さまの写真、素敵ですね。私もこんな写真を撮ってあげればよかったなぁと思っています。はて、うちは何年から同居したのだったかと指を折って考えましたら、2004年のようです、短くはない時間を一緒に過ごしましたが、日々の暮らしに追われて楽しませてあげる配慮を欠いていたようにも思います。スマイルさんも書かれていますが、自慢の息子さんだったのではと思います、向こうできっと自慢をなさってますよ、幸せなお母さまです。

    1. 鈴虫 より:

      いくこさん、私もそう思いました!「私もこんな写真を撮ってあげれば良かったなぁ」って!
      ほんとに素敵な写真ですよね〜。
      先生はカメラの腕も上級者ですから講習会してもらいたいくらいです📷

  2. スマイル より:

    『母は、いつも笑顔を絶やさない人だったので、「慈香」は笑顔で他者を優しく包んでくれた人、と私は解釈しています。時期になるとこの様なことを良く思い出すのです。』お母さんをそのような気持ちで思い出せることは、どんなことより幸せなことです。(それは決して当たり前のことではなく、もしかしたら稀有なことかもしれないのです)母にとって子どもの幸せ以上の願いはありません。ですから、本間先生のお母様は世界一幸せな方です。

    どうか悔いよりも、さらに先生ご自身の人生を幸せで豊かなものにすることで、お母様をさらに幸せにしてさしあげてください。

    親の功徳は子どもに引き継がれ、子の幸せは親を永遠に幸せにする。そう考えると、今自分がどう生きたら良いのかも見えてくるなあ、と思いながら記事を読ませていただきました。

    今日も素敵な記事をありがとうございます。

    1. ハチドリ より:

      スマイルさん、いつも素敵なコメントありがとうございます。
      『子の幸せは親を永遠に幸せにする』に、120% 共感します。
      先生は今、ご家族の皆様ととても幸せなのではないでしょうか。だから、いっぱいいっぱい親孝行をしていることにつながっていますよ‼️

      お母様、天国からさらに優しい笑顔で見守ってくださっていることでしょうね😉

  3. 鈴虫 より:

    お母さま、沢山の花々を愛でながらのお散歩で、とっても穏やかなひとときを過ごされたのですね。オロナミンCでひと休みも、定番の一服ですよね!
    もし、私が独りで居ることに不安な歳になった時に、子供達の家に呼び寄せてもらうってどんな気持ちだろうと考えてみました。
    住み慣れた家を離れる寂しさ、知らない土地への不安が頭を過ぎりますが、それを上回る感謝と嬉しい気持ちになりそうです。
    せっかくの誘いに身を任せてみよう、子供や孫達の何か手伝いでもしてやろう。そんな気持ちになるのではないかなと思います。
    お母さまの晩年は、家族に見守られて温かく感謝の日々だったことでしょう。
    穏やかな笑顔の写真から、その様に伝わってきました。
    私も自分の母の思い出と重なって、とても温かい気持ちになりました。
    今日もありがとうございました😊

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