孫の夏休み(プチ温泉旅行)
あるとき、何を思ったのか、孫が私たちと温泉に行きたいと言ってきた。「夏休みになったら行こうね」って適当に応えていました。その内に忘れるだろうと思っていたのですが、小学校が夏休みに入ると、「いついくの」と何度も聞いてくるようになり、これは本気だと慌てて温泉旅館の予約を取りました。お母さん(娘)は行かず、孫と三人で、8月6日(金)一泊二日で遠刈田温泉に行きました。
温泉に直行では子どもはもの足りないと思い、温泉宿に入る前に蔵王牧場に併設されている様々な体験をさせてくれるところに寄りました。そこでは、動物とのふれあいやアイスクリーム作りができます。
夏休みの宿題に絵日記があるので、絵日記の材料になるかと思い、アイスクリーム作りに参加してみました。氷に塩を加えると-20℃まで冷たくなるそうで、そのような氷の中でミルクをひたすら振るという作り方と、そうした氷で冷やしながらかき混ぜるという、二通りのアイスクリーム作りを楽しみました。なかなか重労働であることに加え単純な作業を続けるので、少々飽きてしまう感じもありました。そうしたなかで二種類のアイスクリームをつくり食べ比べをして楽しみました。
それを終えてから、ヤギが放し飼いになっている場所でヤギへの餌やりなどをして楽しみました。臆病者の孫は怖々(こわごわ)ヤギに近づいて、近くの草をむしっては放り投げるようにして餌をやっていました。私が直接手の平で食べさせるのをやって見せたり、本人も何度かやっているうちに慣れてきたのか、手のひらで食べさせることが出来るようになりました。
この成功体験は、自信になったようで、ヤギの背中をなでたりしっぽをつかんだりと、これまで見たこともないような動物との触れ合いでした。家に帰ってから、娘に聞いたら、これまでも動物と触れあう機会を持ったことがあるけれど、全く動物に触ることができなかったらしく、今回のことを驚いていました。
子どもにとって成功体験は、とても大切だと改めて感じました。上手くいって自分でも楽しいし、周りからも「良く出来たね」って褒められる。こんな小さな積み重ねが「自己肯定感」を育むのではないかと、孫の様子を見て感じました。
日々の生活の中では、褒めることよりも叱ることがついつい多くなるようです。そうした中にあっても、先ずは褒めてその上でダメな部分を叱る、そんな関わりを持ちたいものです。私が子育てをしているときは、そんな余裕もなくただただ時間に追われ子どもを追いまくっていたように思います。今、その反省を孫との関わりでやっている感じがします。
温泉宿に着いてからは、お風呂に入ったりウルトラマンと怪獣の戦いをやったり、フル稼働でした。孫の付き合いは大変です。そうはいっても、孫から一緒に温泉に行きたい等といわれることは嬉しいことなので、痛めた右脇をかばいながら、怪獣になりきって付き合いました。「手をかける」そのものです。
子どもとの接し方には三段階あると言われています。「手をかける」「目をかける」そして「気にかける」です。始めの「手をかける」は、子どもが小さいときに、細々としたことまで手をかけ育てる、そのような時期の関わり方です。「気にかける」は、子どもが大きくなって、親の手を煩わせなくともある程度のことはできるようになった時期で、普段から注意深く子どもの様子を見て、必要な時の助言や支援を行う時期を指します。最後の「気にかける」は、子どもが大きくなり自立心が身につき親元を離れる又は親との関わりを持とうとしなくなる時期での関わりです。そのような時期には、なんだかんだと手を出したり口を出したりせず、子どもを信じ遠くから「元気でいるかと」見ている。この様な時期の親は、子どもを気にかけ、元気でいることをひたすら祈っている、そのようなことしか出来ないのです。でも、そのような待っている、気にかけている親(人)がいることは、子どもにとって大きな支えになっているのです。
たまに忘れたことに母の顔を見に行くと、安心と嬉しさの入り交じった笑顔で言葉少なに迎えてくれる母親を思い出します。親不孝だった私は、今、孫との関わりをとおして改めて母の優しさや寂しさを感じています。