認知症学びの講座(中学校編)
認知症学びの講座が地元中学校の3年生5クラス176人を対象に行われました。実施主体は富谷市(長寿福祉課保健福祉総合支援センター)で、地域包括支援センター「わかば」(社会福祉法人永楽会)及び地域福祉研究所がお手伝いする形で進められました。
今日(7月6日)は、日中の気温が30度になる中で、体育館を会場に2回に分けて行いました。認知症学びの講座は、二部編成で、第一部は私が担当する認知症の理解を深めるための講義、第二部は地域包括支援センターによる「寸劇」で、不安そうに道を歩く高齢者への対応の仕方を中学生に参加してもらって行いました。
中学生は、不安そうに歩いている高齢者を見つけると、近寄っていき、「こんにちは」と挨拶から入り、その次には自分の名前を名のって、具体的な対応に入っていました。最終的には、「ではお家まで一緒に行きましょう」とか「家まで案内します」「家はあっちの方です」と手で指し示しながら並んで歩いています。短い講義時間でしたが、大切な事をしっかり学習し、そのよう内容を生かした対応をしていました。
寸劇では、2回とも二人の生徒に具体的な対応を自分の言葉で行って頂き、その後にその対応内容に対するコメントを加えて対応のポイントを全員で共有しました。中学生の吸収力の凄さを目の当たりにしました。包括の方々による寸劇は、とても工夫された素晴らしいものでした。こうした学びの「場」のあることの大切さを改めて感じてきました。
保健福祉総合支援センターに戻ってから、今日の授業の振り返りを行い、講義、寸劇、解説の三本立てで進めることの効果を確認し、今後もこうしたやり方に磨きをかけVersionを上げていこうと意見が一致しました。
認知症の人及び家族への対応は、地域を挙げた関わりが大切だと思っています。「地域で住み続けることを支える社会」を築いていくためには、地域住民の参加及び地域にあるコンビニ・郵便局・理美容院等々の社会資源の参加が求められます。こうした中で、地元の中学生は、認知症に対する正しい知識を持ち具体的に対応していく地域環境が整えられことことに大きな役割を果たせるものと考えています。
体育館内の暑さと緊張とで汗が背中を走る充実した時間でした。多くの学校で、こうした取り組みが行われると、その分だけ地域の「安心安全」が高まり、地域力の向上につながっていく機会になると思います。それはひいては「地域共生社会の構築」お互い様の社会の醸成につながっていくのではないかと考えています。
また、この授業は、官民協働という側面も持ちます。行政と社会資源が協働して中学校の教育に関わる。生徒を真ん中に据えて、学校、地元社会資源及び行政のそれぞれが役割を果たし、よりよい学びの場を築こうとしている。本来の協働の姿とはこの様なことをいうのだと思います。
そして、それは同時に「地域力の向上」にもつながっていきます。この様な地域社会を見るのはとても楽しいことです。これを見るためなら、私は労を惜しまない。そのような意を新たにした機会でした。