桜の木が土手沿いに多いのはなぜ?

江戸時代の人々が特に困った自然災害は、大雨が降って川が氾濫することでした。川の氾濫によって土手(堤防)が決壊することもしばしばであり、そのたびに大きな被害をもたらしました。

時の政府は、土手の決壊を防ぐ為の治水事業に要する巨額の費用に頭を抱えていたある時、決壊を防ぐ為には地面を固める必要があると考え、「桜を植えてそこに人々が集まれば、自然と地面が踏み固められるのではないか」と、川沿いに桜の木を植え始めました。

こうして桜の木が生長するにつれて人々が集まり、集まってきた花見客によって、自然と地面が踏み固められ、悩まされ続けていた土手の決壊を防げるようになりました。このように、桜の木が土手沿いに多く植えられているのは、江戸時代の人たちが災害から地域を守るための知恵だったのです。

私がこの話を聴いたのは、土木事務所に勤めていた頃、建設省主催の「河川大学」という長期研修を受けていたときです。当時、先人の知恵に驚くと共に、こうした考え方は、私達の身の回りにある様々なリスク(危険)に対しても、応用が利く話だと思ったことを思い出しました。

自然災害が多い昨今、地域住民が手を合わせ、楽しみながら自分たちの地域社会を安心安全なものになるよう手をかけていく。そんな地域社会を住民みんなでつくっていきたいものです。

今日、自宅から近くの公園に足を運んでお花見をしました。今年は開花、満開が例年よりだいぶ早く、散りかけの桜を愛でながら、こんなことを思い出していました。

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

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