神社の祭事『お焚き上げ』(どんど焼き・どんと祭)が危ない!

仙台の小正月の風物詩といえば仙台大崎八幡宮の松焚祭(まつたきまつり)です。その仙台大崎八幡宮は、仙台藩初代藩主伊達政宗が、仙台開府に当たった際に信仰の場として、瑞巌寺、塩寵神社、大崎八幡宮を主たる信仰の場に位置づけました。塩竃神社は領内の安寧と武運長久のため、瑞巌寺は戦乱や苦難の時期に散った一門、家中や領民の菩提を弔うため、そして大崎八幡宮は武士の冥加(神のご加護を得る)のために城下の北部に建立したとあります。

仙台大崎八幡宮の松焚祭(まつたきまつり)は、三百年の歴史を有する全国でも最大級の正月送りの行事で、正月飾りや古神札等を焼納する正月送りの行事です。一般的にその火の勢いから「ドンド焼き」等とも呼ばれています。1月14日の日没の頃に、近郷近在より持ち寄られた門松・注連縄・松飾り等は「忌火」により点火され焚き上げられます。この火は正月の間に各家庭に訪れていた神々を送る「御神火」として、あたると心身が清められ、一年間無病息災・家内安全の加護を得るという言い伝えがあります。恒例の裸参りは67団体1650人の登録があったとあります。

呼び名は違えでも全国各地でこうした神事は行われているものと思います。文部科学省には約8万5千の神社が登録されており、登録されていない小神社を含めると10万社を超え、宗教法人格を有さない小さな祠等を含めると日本各地には20万社の神社があるといわれています。縁側日和(宮城県南三陸町歌津田の浦地区)に来ている方々が鈴緒を新しくした神社は、この20万社の一つに数えられるのでしょう。

我が家から徒歩で20分程度の所に賀茂神社が有ります。賀茂神社では16時に打ち上げ花火が上がり、近隣から来た人々が持参する正月飾りなどが山と積まれている中に火が付けられ、焚き上げ(どんと祭)が始まりました。我が家の玄関においた小さな門松や正月飾りも焚き上げして頂きました。今年も穏やかな1年となるよう御神火に手を合わせてきました。

背景にあるのは「法改正」ではなく“運用の厳格化”。消防署から説明されたのは、令和8年1月1日施行の改正消防法の運用だといいます。発煙届を出していても、消防団と連携していても、林野火災警報が出ている場合等は、祭事であっても火気使用は不可となるという説明でした。

運用厳格化の背景には、幾つかの厳格化せざるを得ない現状があるようでした。消防法自体が近年大きく改正されたわけではありませんが、火災予防の観点から既存の法令の適用がより厳しくなっている。

①火災予防の強化: 火災による被害を未然に防ぐため、これまで以上に規制が厳しく解釈・適用されることがあります。

②林野火災警報の発令: 空気が乾燥し火災が発生しやすい状況で林野火災警報が発令されると、火気の使用が一時的に制限される。お焚き上げのような神事であっても、この影響を受ける可能性がある

③過去の事故の教訓: 新宿歌舞伎町のビル火災などの悲劇を受けて、消防機関の権限が拡大され、スプリンクラー設備の設置基準が厳格化されるなど、具体的な対策が講じられてきました。

こうしたことが、消防法運用の厳格かを招いているようでした。確かに、年活年始にかけて降雨量が少なくて乾燥した状態が続き、大規模な林野火災がありました。「どんと祭」の名のように、民家の近くで勢いよく炎をあげ火の粉を巻き散らずどんと祭は、消防署の方々には注意しても仕切れない状況であることには間違いないようです。

また、近年はの焚き上げという神事であることを忘れ、正月飾りの中に、プラ製品、瀬戸物、金属等々が混在し、氏子の皆さんは取り分けていました。無病息災の祈りお焚き上げするのを、ゴミの処理くらいにしか思っていないのではないという状況を目にしたりします。また、竹にも穴を開けるなどの処置をしないまま火に入れ大きな音を立てて破裂していたりもします。こうした伝統的な神事が守りつながるように、私たち自身の関わり方もこの際振り返って見る必要がありそうです。

「安全のため」という直接的には否定できない言葉の裏で、静かに消えていく地域文化。この問題は、決して「お焚き上げ」(どんと祭)だけの話ではないように思います。これ幸いと面倒なことはどんどん止めていくという地域文化の行く末をとても心配します。私たちは、こうした地域文化を知恵を出し汗をかき、子どもたちに守り伝えていく役割があります。今回、この「お焚き上げが危ない」ことを取り上げた理由はここにあります。

裸参り

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です