民生委員児童委員試論 第8溝『消えない疑問』

民生委員児童委員になってから今日まで、私の中でくすぶり続けている疑問があります。今日は、批判覚悟でその内の一つについて皆さんに問います。その内容に入る前に、なぜこの様なことについて気をもみ葛藤を続けているのか、その元になっていることについて書きます。

昨年12月は、3年に一回の改選期に当たり約30%に相当する人数が新たに厚生労働大臣から委嘱を受けています。私も其の一人で、頂いた委嘱状は三枚になりました。この時期に新聞紙上では民生委員児童委員のなり手不足と欠員が報じられます。しかし、それは一時のことだけで、一瞬にして其の課題は忘れ去られます。

hp地域福祉研究所の第二月曜に『民生委員児童委員試論』を掲げているのは、この課題に私なりの方法で出来ることをやりたいと思ったからです。強く意識していることは二つです。其の一は、現職の民生委員児童委員の負担を軽減したい。これは、現職の民生委員児童委員さんの活動を見ていると、使命感を持って一生懸命活動しています。このことは、何からの課題を持ちながら地域生活をしている皆さんの安心安全に関わる「良き隣人」として賞賛される振る舞いだと思います。しかし、限られた時間の中でそのことを行うには余りにも負担が過重だと思います。この為、地域の皆さんは、「とても助かっています」と「あんな大変なこと、とても私には出来ない」が並列的に異口同音に語られるのです。

こうした認識が一般に広がり、民委員児童委員の改選期は、後任探しが困難を極めるのです。志のある方もこうした現状を見たとき、どうしても二の足を踏まざるを得ないのが現状だと思います。そこで其の二は、「そんなことはありません。それほど気負わなくても十分役に立てます」と、具体的に方法等をお示しして、新たな人財の参画を促したいのです。

ここで御批判を覚悟して提案する内容は二つです。其の一は、日常的見守り対象者の優先順位化です。其の二は、日常的見守り対象者の範囲についてです。以下に、其の概要と理由を付します。

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其の一『優先順位化』民生委員児童委員が関わり人々は、担当地域の全ての人が対象です。この原則はとても大切です。困っている人だけが対象ではなく、全ての人です。理由は簡単です、困っていない人はいないからです。また、困らないように早期に対応を促すのが民生委員児童委員の役割です。

しかし、民生委員児童委員の能力(時間・体力)には限りがあります。私が居住する長命ヶ丘団地の例に取ると、人口7,294人(3,537世帯)に対して7人の民生委員児童委員です。長命ヶ丘団地で一人の民生委員児童委員が関わる人数は1,042人(505世帯)です(平均値)。この方々の生活の様子を把握して対応することは不可能です。ましてや個人情報保護やプライバシー保護が行き過ぎるまでに意識されている中では、尚更難しいのです。

この為、全ての方々を対象にしつつも、日常的の支援の対象とする方は、優先順位を設ける必要があります。私考える優先すべき対象者は、75歳以上の独居及び老老二人世帯です。以下は、其の理由です。尚、お子さんに関わることについては、別の機会に書きます。

医療介護ニーズは年齢が上がるにつれて高まり、特に75歳以上の後期高齢者に差し掛かると急激に増加するとされています。「年齢階級・性別国民医療費」(令和5年度国民医療費の概要)でその状況を概観してみます。65歳以下95,848億円/構成割合41.1%/一人あたり医療費214.1千円。次に65歳以上を見ます。137,389億円/58.9%/874.3千円。再掲ですが75歳以上では一人あたり医療費が跳ね上がります。84340億円/36.2%/1,056.2億円です。実際に地域生活をしている方々の様子を見ると、何らかの医療にスーズを持ちながら暮らしている方々がとても多いことに気づかされます。

また、75歳以上の後期高齢者は、要介護状態になるリスクや慢性疾患の割合が急激に高まるため、医療・介護サービスの需要が飛躍的に増加します。厚生労働省のデータによると、75歳以上全体の要介護認定率は31.0%です。85歳以上でさらに顕著になり、要介護認定率は57.7%と大きく上昇します。これにより、医療と介護の両方を必要とする「複合ニーズ」がさらに高まる傾向にあります。

健康寿命2022年では男性81.05歳、女性87.09歳です。これに対して、2022年の健康寿命は、男性が72.57歳、女性が75.45歳です。現在の日本では、平均寿命と健康寿命の間に男性で約8〜9年、女性で約11〜12年の差があります。この期間は、日常生活に制限がある「不健康な期間」とされています。この為、「不健康な期間」に入る前の対応がとても大切で、できるだけ平均余命と健康寿命のギャップを小さくすることが求められます。

この様な理由から、定期訪問などの日常的対応は『75歳以上』を優先的に対象としたいと考えています。また、高齢者一人世帯及び「老老二人世帯は、65歳以上高齢者のいる世帯の63.7%(出典:内閣府令和7年度版「高齢社会白書」)です。この方々の多くは『遠くの親戚近くの他人』の中で暮らしています。この為、何らかの公的サポートの併用が地域生活を維持する上では必須なのではないかと考えています。

この様な、医療介護ニーズ及び社会関係の脆弱性の二つの視点から、日常的見守り対象は『75歳以上の単身・老老二人世帯』と、考えます。

次に其の二『対象者の範囲』です。75歳以上といっても、その暮らしの様子や様々な社会保障制度での見守られ具合(制度の網の有無)は異なります。ここでは、他の社会保障関連制度でしっかり見守られている方々については、75歳以上であっても日常的な見守りは、そちらに任せて良いのではないかという提案です。その主な方は介護保険認定者でケアマネージャーが着いている方(介護サービスを利用している方)です。大まかな言い方をすると31%の方がこれに当たります。

ケアマネジャーは、ケアプランが利用者さんの実際の生活に合っているか、目標が達成されているか、新たなニーズはないかなどを定期的に確認します。これにより、利用者さんの状況の変化に合わせたサービス提供が可能になります。在宅ケアマネには、『訪問の義務』『プランの評価』等が義務づけられ、其れを持って報酬を得ています。

訪問義務:居宅ケアマネジャーは月に1回、利用者さん宅を訪問してモニタリングを行うことが義務付けられています。モニタリングでは、利用者さんやご家族の視点を最も大切にし、専門用語を使わずに分かりやすい言葉でコミュニケーションを取るように指導されています。聞き取り内容は、サービスがケアプラン通りに提供されているか、利用者さんやご家族の満足度、新たな要望やニーズの変化がないか等々が行われます。

また、モニタリングのポイントとしては、利用者の心身の状況や取り巻く環境は、日々変化します。

現行のケアプランを作成したときとは、解決するべき課題が異なっていることも珍しくありません。

新たな要望やニーズへの変化の有無を確認するのも、モニタリングの目的の一つです。

尚、2024年度の介護報酬改定により、居宅介護支援においてもテレビ電話などを使ったモニタリングが可能になりました。ただし、少なくとも2か月に1回は利用者さんの居宅を訪問することが義務付けられています。

プランの評価:ケアプランの短期目標の達成状況を評価するために行われます。状況の変化への対応が主な役割です。利用者さんの状態や生活状況は常に変化するため、モニタリングを通じてケアプランが適切かを確認し、必要であれば修正するのです。

こうしてみると、介護保険を使って暮らしている31%の方々は、私たちと同じように、いや私たち以上に、直接面接をして対象者の身体状況や家庭の状況を詳細に把握し記録しています。渡したとは比べものにならないほど詳細に把握しているのです。こうした対象者に対して二重に訪問して見守りを必要とするのでしょうか。ケアプランは、狭い意味での介護だけを観ている訳ではありません。家族の介護力等々も把握してプランをつくっています。代替できる制度systemがある場合はそちらに任せ、限られた時間を効果的に生かし、福祉のアンテナ(支援対象者の情報収集の能力)の役割を担う為に、其の時間を回しても良いのではないかと考えるのです。

結論です。其の一:民生委員児童委員は、日常的に定期訪問をする等の対象者は、75歳以上高齢者の単身世帯、老老世帯を主たる訪問対象とする。其の二、対象者で他の態度で訪問等が行われている方(例:介護費年サービス利用者)は、その制度に任せる。この様に、選択と集中によ、民生委員児童委員の負担軽減を図り、『良き隣人』としての役割の充実を図る。これが私の考えで有り提案です。皆様のご意見感想をお待ちしています。

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

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