カーボンニュートラル下の原子力発電
日本における発電の割合は、2020年度で化石燃料による火力発電が76.3%を占めています(総合エネルギー統計)。内訳は石油6.3%、石炭31.0%、LNG(液化天然ガス)39.0%です。火力発電は化石燃料を燃焼する際に温室効果ガスを排出しており、地球温暖化に影響を及ぼしています。一方、温室効果ガスを発生しない原子力発電の割合は3.9%、再生可能エネルギー発電の割合は、18.1%で、その内訳で多いのは水力発電7.7%、太陽光発電6.7%、その他地熱発電等となっています。
現在はパリ協定により世界でカーボンニュートラルに注目が集まり、日本でも近年、エネルギー基本計画が見直しされ、2050年カーボンニュートラルを目指すことが宣言されましたが、日本における2020年度の再生可能エネルギー発電の割合は19.8%に留まっています。
この日本の状況を第二次世界大戦後、日本と同じような立場で奇跡の復活を遂げたドイツの例と比較してみます。
1990(平成2)年頃は、総発電量の3%台だったドイツの再生エネルギーは、2020(令和2)年には44%まで増えています。日本の19.8%と大差があります。ドイツでは、30%近くあった原子力発電を10%ほどに減少させ、更に化石燃料による発電も半減させています。
私が最も注目したのは、2011(平成23)年の東京電力福島第1原子力発電所事故の直後、当時のメルケル政権は、2022(令和4)年末の脱原発を宣言していることです。2021(令和3)年に誕生した新政権(オラフ・ショルツ政権)は、2030(令和12)年までに石炭燃料発電をやめ、再生可能エネルギーの比率を80%まで引き上げる目標を打ち出しています。また、気候変動対策における国際協力を視野に入れ、排出量削減にもっとも意欲的な国を集めた「気候クラブ」を提案して前進させています(出典:河北新報2023/01/04)。
ロシアのウクライナ侵攻により、計画は遅れていますが、太陽光発電の大幅拡大等の目標を掲げ、2035(令和17)年頃には脱炭素を実現する姿勢を堅持しています。
一方、日本の動きはどうなのか。2020年10月26日の所信表明演説で菅前内閣総理大臣は、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする。すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しています(カーボンニュートラルとは、「炭素中立」と訳され、温室効果ガスの排出量と吸収・除去が同量となり、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを言います)。
この演説の中で、カーボンニュートラル達成に向けた政策として、「再生可能エネルギーを最大限導入するとともに、安全最優先で原子力政策を進めることで安定的なエネルギー供給を確立する」と語り、更には「電力需要の増加が見込まれるが、再生可能エネルギー、原子力など使えるものを最大限活用する」と発表し、日本政府は脱炭素への政策の1つとして「原発を推進する」ことを表明しているのです。
日本のカーボンニュートラル時代におけるエネルギー政策では、「運転期間の延長など既設原発の最大活用」や「新型炉」の推進です。新型炉は、具体的には、小型モジュール炉(SMR)、高温ガス炉(HTGR)、核融合炉です。経済産業省は20年12月、既存の原子力発電所の再稼働と並行してこれら三つの新型炉の開発を推進するとしています。
3つの新型炉のうち、最も開発が進んでいるのは小型モジュール炉(SMR)です。SMRは、文字通り小型の原子炉にモジュール化の発想を取り入れたもので、使い勝手がよく安全性も高いと言われています。現在、原子力発電所の主流である軽水炉の出力が1基当たり1GW(ギガワット)前後なのに対し、SMRは300MW(メガワット)以下と約3分の1程度です。
SMRはその小ささゆえ、主要な部品を工場で製造してから発電所の予定地に運び込め、現在の原発よりも、工期の短縮や初期投資を抑えられる。さらに、電力需要に応じて原子炉の数を変えれば、電力出力を柔軟に変更できるというメリットもあると説明しています。
東京電力福島第1原子力発電所事故で、これまでの安全神話は崩れたのですが、今度は「小型なので安全」や既存原発を長く使って経済性を高める等々、様々な方法で原発の推進を図っているのが日本の姿勢です。この現状を福島の原発被災者はどう見るのでしょうか、そして私たちは福島のことだけと済ませていて良いのでしょうか。原子力発電所の問題は、決してよそ事ではなく極めて身近で避けては通れない問題です。注意深く見ていく必要があると思っています。
忘れてはいませんか。東京電力福島第1原子力発電所事故では、関東から東北地方のほぼ全ての地域が「避難地域」になる可能性があったのです。内閣府原子力委員会は、公にはされていませんが250㎞圏内5,000万人を避難対象とする試算が策定されていたのです(門田隆将,2012『死の淵を見た男』PHP研究所.259頁)。勿論、私たちが住む宮城県も含まれています。皮肉にも、奇跡的な構造的瑕疵(問題)によって原子炉格納容器の爆発が避けられただけなのです。
今日の記事、知らなかったことがたくさん載っていたので、とても驚いています。
その中でも、そうなんだ~!と思ったことは以下の3つです。
①日本は、石油、石炭、液化天然ガスなどによる火力発電が76,3%を占めていて、それが地球規模の問題になっている温室効果ガスを発生させ、地球温暖化に影響を及ぼしていること⇒きっと単純な話ではないはずですが、脱炭素と叫ばれている今、石炭を燃やして発電をしてるんだ!とホント驚き。石炭大国なんだ、日本は😅
②温室効果ガスを発生させない再生可能エネルギーとは何だろうと改めて調べてみたら、風力、バイオマス、太陽光、水力、地熱などがあり、ドイツはその比率を80%まで引き上げる目標を打ち出しているようですが、日本は18,1%とのこと。⇒何故に管前総理大臣なのかわかりませんが、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするとおっしゃっていたのですね。うんまあ😲(驚き)!⇒一律のよく訳のわからないお金をバラまくより、家庭の太陽光発電の設置等にもっと補助金出すとかがあってもいいと思います。自分の家の電気は自分の家に蓄電したのも使うようになったらな~。
③温室効果ガスが発生しない方法として原発による発電もあるけど、東日本大震災前の2010年は25%だったのが今は3.9%になっていること⇒現在これくらいの割合なら、なんとか使用しない方向にならないものかと思いますよね。その小型のSMRの話も初めて知りました。
「温室効果ガスを発生させない、原発も使わない」で発電させていくために、再生可能エネルギーだけで大丈夫なのかと正直心配になります。他に考えられることは何かあるのだろうか、やはり最後の砦として最大限の配慮をしたSMRのようなものは残しておいた方がいいのか!
とても勉強になりました。今度、ニュースなどで流れたら、内容がよくわかるようになると思います。
管前総理大臣とは、「すが」さんですね。私は「かん」さんと読んでしまったので、なぜ??と思ってしまったのです😅
昨日、すが前総理大臣がテレビに出てるのを見て、私の大きな勘違いに気づきました。タハ!😆
どうして世の中は望まない方向へばかり向かうのでしょうか。こんなにたくさんの原発で海を暖め続けているのに、廃棄物の処理も追いつかずどうにもならないのに。
ウクライナで起きていることは他人事ではないのに。
いつか胸をはって子どもたちに後をよろしくと言って、旅立つ日をむかえたいのに。