全世代型社会保障構築会議 議論の中間整理(令和4年5月17日)其の二

4.家庭における介護の負担軽減

○高齢化の進展により今後、要介護高齢者が大幅に増加するととともに、単身・夫婦のみの高齢者世帯が増え、家族の介護力の低下が予想される。そのことを前提に、介護サービスについては、圏域ごとの介護ニーズの将来予測を踏まえ、サービスの基盤整備を着実に実施していく必要がある。在宅高齢者について、医療・介護連携体制の強化など、地域全体でのサービス基盤を整備していくとともに、介護予防や社会参加活動の場の充実の観点から、地域全体での活動を支援していくことも重要である。

○また、仕事との両立という点において、介護についても重要な課題である。このため、休業期間中に仕事と介護を両立できる体制を整えるための介護休業制度についてより一層の周知を行うことを含め、男女ともに介護離職を防ぐための対応が必要である。

○今後も認知症の人が増加することを踏まえ、認知症に関する総合的な施策を更に推進することとし、地域包括支援センターなどの身近な拠点を活用した認知症の方を含む要介護者及び家族介護者等への伴走型支援や、成年後見・権利擁護支援などについて議論を進めていくことが重要である。また、ヤングケアラーへの支援については、ICTも活用しつつ、その実態をしっかり把握するとともに、モデル事業の検証も踏まえた上で、効果的な支援策を講じていく必要がある。

6.医療・介護・福祉サービス

○今後の更なる高齢化の進展とサービス提供人材の不足等を踏まえると、医療・介護提供体制の改革や社会保障制度基盤の強化の取組は必須である。まずは、「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築に向け、地域医療構想の推進、地域医療連携推進法人の活用、地域包括ケアシステムの整備などを、都道府県のガバナンス強化など関連する医療保険制度等の改革と併せて、これまでの骨太の方針や改革工程表に沿って着実に進めていくべきである。加えて、今回のコロナ禍により、かかりつけ医機能などの地域医療の機能が十分作動せず総合病院に大きな負荷がかかるなどの課題に直面した。かかりつけ医機能が発揮される制度整備を含め、機能分化と連携を一層重視した医療・介護提供体制等の国民目線での改革を進めるべきである。2025 年までの取組となっている地域医療構想については、第8次医療計画(2024年~)の策定とあわせて、病院のみならずかかりつけ医機能や在宅医療等を対象に取り込み、しっかり議論を進めた上で、さらに生産年齢人口の減少が加速していく2040 年に向けたバージョンアップを行う必要がある。

○国民がより質の高い医療、介護等のサービスを享受できるようにするためには、患者のカルテ等の電子化・共有と活用が重要である。こうした取組は、医療や介護の効果的な機能分化と連携や重複検査・投薬の回避による患者等のメリットが大きいほか、医師等の従事者にとっても業務の効率化による負担軽減が期待される。また、2次的な活用により、AI等の新しい医療技術の開発や革新的な新薬の創出にもつなげるべきである。国・公的主体によって統一的に管理されるデータ(マイナンバーカードで利用できる健康データ(PHR(パーソナル・ヘルス・レコード))など)、事業者等が管理する規格化されたデータ(電子カルテ情報及び交換方式等の標準化など)の活用に向けてオンライン資格確認等の環境整備を着実に進めるとともに、健康診断等で得られる個人の医療情報を、自分で管理・活用することができる将来像を見据え、個人・患者の視点に立ち、ブロックチェーン等の技術を活用したデータ管理の議論を進める必要がある。データの連携、総合的な活用は、社会保障の各分野におけるサービスの質の向上等に重要な役割を果たすものである。こうしたことを含め、社会保障全体のDXを進めるべきである。

○このほか、サービスの質の向上、人材配置の効率化、働き方改革等の観点から、

・医療・介護・福祉サービス(障害、児童福祉など)におけるICTの活用や資格の養成課程の見直しなど

・看護、介護、保育などの現場で働く人の処遇改善を進めるに際して事業報告書等を活用した費用の見える化などの促進策のパッケージ

・処遇改善も勘案したタスクシェア・タスクシフティングや経営の大規模化・協働化も進めるべきである。

5.「地域共生社会」づくり

○孤独・孤立や生活困窮の問題は、今後、独居の高齢者の増加に伴い、大きな課題となる。また、高齢期はもとより、全ての世代において、孤独・孤立や生活困窮の問題を抱える人や世帯が増える状況にある。こうした人々が地域社会と繋がりながら、安心して生活が送ることができるようにするため「地域共生社会」づくりに取り組む必要がある。

○このため、ソーシャルワーカーによる相談支援や、多機関連携による総合的な支援体制を整備していくことが重要である。その際には、孤独・孤立対策について、重点計画が策定されて政府一体となって取組が本格化したことも踏まえ、相談支援等について分野横断的に取組を進めることが有用である。地域における支援体制については、地域によって人口やニーズ、使える資源が異なり、それぞれの実情に応じた対応が必要となるが、その場合も政策分野ごとに議論するのではなく、分野横断的な視点が重要である。また、人口減少が進み、地方自治体を含む地域のサービス提供体制にも制約が生じてくる中で、住民に身近な地域の様々な資源を活用しながら、地域課題の解決のために住民同士が助け合う「互助」の機能を強化していくことが望まれる。

○今般の新型コロナ禍においては、住居確保給付金へのニーズをはじめ、「住まい」の課題が顕在化した。まずは、こうした足元の課題への対応を検討していくとともに、将来、独居の困窮者・高齢者等の増加が見込まれる中にあって、住まいをいかに確保するかは老齢期を含む生活の維持にとっても大きな課題となるため、制度的な対応も含め検討していくことが求められる。年齢層や属性などニーズの実態を踏まえた上で、住まいの確保の支援のみならず、ICTも活用しつつ、地域とつながる居住環境や見守り・相談支援の提供も含めた

検討が必要である。合わせて、住宅の質の確保や既存の各制度の関係の整理も含め、議論を深めるとともに、空き地・空き家の活用やまちづくり、災害リスクを踏まえた防災の視点から各地方自治体において地域の実情に応じた対応を検討することが望まれる。

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