11年の時を経ても成長し続けている「奇跡のおばちゃん」

久しぶりで南三陸町社協のLSA、地域生活コーディネータ、福祉専門合同の月例会議に出ました。特段、何があるというわけではなかったのですが、無性に「奇跡のおばちゃん」達に会いたくなり、突然訪問しました。とは言っても、顔を見て帰るだけではもったいないので、「月例会議」に参加させて頂き、11年経った現在の様子を聞かせて頂きました。

LSAの人数が少しばかり縮小したとは言え、現時点でもLSA10名を擁している体勢は、県内広しといえどもなかなかない(多くの被災地では、既に廃止されています)。これは、南三陸町と地元社会福祉協議会のこれまでの成果をしっかり評価していればこそなのだろうと思います。

月例会後では、これまでのように各サテライト毎に現状や課題等々について報告がありました。私は、以前にハチドリさんが、生活支援員さんをテーマにした「映画」をつくったら良いのに、とお話しがあったとき、一人主役をだれにするか妄想していました。私が考える主役は「福美」さんです。その、主役と考えている福美さんの発言に、ウルルしてしまいました。

福美さんは、災害公営住宅の入居者から、「LSAはまだまだいてくれるんでしょう、あなた達がいないと困る」と、言われたと報告していました。福美さんは続けて「この様に言われて、私たちは、まだまだなんだなって思いました。もっともっと住民が主体となって物事考えられるように支援しないといけない。もっと頑張らないと」と、言うのです。

私がウルウルした理由は、福美さんは震災から11年経っても「Go to the people(人々の中へ)」をしっかり身に付け、それを下にして支援をしていたからです。被災者支援は、地域福祉という枠組みの中で行う必要があり、私たちの出口は地域だと言い続けて来ました。そして、私たちが行う被災者支援の最終目標は「用無しになること」と、採用時の一番始めの研修の時から、そのように語ってきました。

「Go to the people(人々の中へ)」は、この様に書いています。

人々の中へ行き 人々の中に生き 人々から学びなさい

人々が知っていることから始め 人々が持っているものの上に築きなさい

やってみせることで教え 自らもその過程から学びなさい

出来合いのものではなく いかにそれを作るかを重視しなさい

中途半端なものではなく システムを作りなさい

助けてあげるのではなく 人々の解放を目指しなさい

最高の指導者と共に、仕事を終えたとき 人々は口々に言うでしょう

「私達が自分でやり遂げたのだ」と。

月例会議の様子

映画「奇跡のおばちゃん」

原作 山河自然            脚本 スマイル            翻訳(海外版字幕) ライト             総監督 宮藤官九郎 依頼は栗原市民   助監督兼AD あいこ              音楽監督 ハチドリ(多分、小田和正一色かな)                美術・衣装監督 尚             ロケ地選定 華日和、鈴虫       福島ロケ 浪江ねっぱす隊       ナレーション スマイル         メイク 芳賀裕子           クラウドファンディング いくこ    エキストラ指導 高橋吏佳       エキストラ ほっとバンクメンバー210名                主役 生活支援員ふく(阿部福美)・元県職員やまかわ(北川進)

以下未定

福美さんは、「まだまだいて欲しい」と言われて「私達が自分でやり遂げたのだ」とは言われていない「用無しになれていない」から、まだまだ努力が足りないと言っているのです。

地域福祉や支援・サポートにおいて、最も大切なことを福美さんは、語っているのです。私は、心底、この様な人達と一緒に南三陸町の復旧・復興を目指したことを誇りに思います。そして彼らを誇りに思います。

また、震災から数年して滞在型支援員制度の終了を機に組織された「ほっとバンク」は、現在210名が参画し、結い里が行う様々な事業を始めとして様々な場面で活躍していると言います。これは個人の参加です。それが、更に進化を遂げて「ほっとバンク協力店」55団体と、団体のほっとバンク組織化に成長しているのです。南三陸町は震災から11年経てもなお進化を続けているのです。本当に凄いです。吏佳さんの類い希な発想と指導力そしてそれを形にするLSA等々の明るく元気な「奇跡のおばちゃん」たちの成せる技なのでしょう。

そんなウルウルしながら聞いていた中で、何とも情けないことが一つ。LSAの名前を思い出せなくて、正確にはハッキリ見えなくて「黄色の服を着た人」と呼んでしまい大ひんしゅく。直美ちゃん(漢字これだったかな~??)ゴメンナサイね。忘れていまいません、「ちあきなおみ」は永遠に不滅です(これを読んでいる人には分からない)。

私には、とても楽しくも有り、嬉しくもあった時間でした。南三陸町社協の被災者支援から地域福祉への移行は、順調に進み更なる発展を見据えていることを大変心強く感じた一日でした。この今の姿は、震災直後から支援活動に携わった全ての生活支援員の努力の上にあることも忘れないでいたいと思います。

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

11年の時を経ても成長し続けている「奇跡のおばちゃん」” に対して7件のコメントがあります。

  1. 華日和 より:

    わが町の支援員さんたちの記事に寄せられたスマイルさんのコメントに、嬉しくて一人ニマニマしておりました(笑)

    スマイルさんの清々しいお声でのナレーション!すっごく楽しみです。

    なにかとせわしい年の瀬、女性陣はことさら大忙しですが、お正月には美味しいものを召し上がって、エネルギーたっぷり充電してくださいね。

  2. 鈴虫 より:

    『奇跡のおばちゃん』たちは本当に素晴らしい成長(成熟)の途上にありますね。

    被災者生活支援員が初めて招集された時、先生は「私達は2年で用無しになる」とおっしゃいました。
    ところが、被災者支援は日常生活の復興具合に合わせて段階を踏み、一人ひとりに寄り添う支援と地域のコミュニティ構築等の全体的な支援の両輪で今現在も継続されているようです。
    その上、支援員さんはまだ頑張りが足りないと天井知らずの向上心を持ち合わせている。重ねて支援員さん達の息の長い寄り添いに、地域のひとりとして感謝の気持ちでいっぱいです。

    そしてそして、本間先生の『奇跡のおばちゃん』映画化計画がついに発表されましたので、これは必ず実現しますね!
    先生は有言実行の大御所ですもの!

    私は華日和さんとロケ地設定の役目だそうです。頑張りましょうね、華日和さん!

    1. スマイル より:

      この報告記事を、鈴虫さんはじめ南三陸の方達はどんなに誇らしくお読みになったことでしょう。素晴らしいですね。自分たちが何をすべきか、はっきりと自覚し、そのために邁進している様子が目に浮かび私もとても励まされました。

      どんなものも百聞は一見に如かず。映画化されたら何より伝わりますね。なんと私はいくつか役割があるようです。今年は世界大会で力を使い果たしてしまいましたので、まずはゆっくりエネルギーを補給しておきたいと思います。

    2. 華日和 より:

      本当に「奇跡のおばちゃん」たち、素晴らしいですね!

      息の長い活動をし続けるそのエネルギーと志に感銘を受けています。それはきっと、本間先生の細やかなご指導とそれをしっかりと受け止めることができる感性があってこそなのだと思います。

      わが町にそのような方々がいるということ、本当に誇らしく思いますし「奇跡のおばちゃん」たちの活動に触れる機会を繋いでもらえた「地域福祉研究所」に感謝しております。

      ロケ地設定のお役目!しっかり果たせるように頑張ります。

      鈴虫さん、早々に打合せしないといけませんね(笑)

      1. 鈴虫 より:

        華日和さん

        私もよその方に我が町に関心を寄せて頂き、ありがたいコメントまで頂いて感激しております。本当に嬉しくて、我が町が誇らしく思えます!

        私達に与えられたお役目を大切に関わらさせて頂きましょう。

        まずは、いく子さん達に習って打ち合わせという名のコーヒーから始めることにしましょうかね(笑)

        華日和さん、楽しいコメントありがとうございます♪

        1. 華日和 より:

          鈴虫さん、素敵な提案ですねー

          楽しみにしてます♪

          1. いくこ より:

            乗り遅れてページを開きましたら、新しいプロジェクトの発表が...私の名前もひぇーっ、聞いたのに忘れてた?聞こえなかった?試験の夢を見る受験生の気持ちになって驚いてしまいました(笑)

            華日和さん 鈴虫さん「打ち合わせという名の...」いっぱい頑張ってくださいね。

            南三陸町の様々な取り組みがよく新聞で紹介されていますね、細やかな配慮で頑張る支援員さんたちの在り様が遠く繋がっているように思えてなりません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です