1分タイムスタディー(開設から1年を前に活動内容の見直し)

南三陸町被災者生活支援センターは、2011(平成23)年7月19日に活動を開始しました。巡回型支援員、滞在型支援員及び訪問型支援と、その内容に応じての3タイプ支援員を擁した200名を超える支援体制です。

常に、現状から目を離さず、被災者に寄り添うべく支援活動を展開していますが、時間の経過と共に慣れやマンネリ化が付きまといます。また、時間を重ねれば重ねるほど、もっと被災者ニーズに応えたいと言う想いや避難生活の長期化に伴う生活課題の多様化・深刻化も顕著になってきていました。

開所から1年を目の前にして、改めて自分たちが行っている支援活動を客観的に見る機会を設け、何処に見直すべき所があるのかを把握しようと考えました。そこで、今やっていることを科学的に計測し、見直しの基礎データにしようと行ったのが「1分タイムスタディー(time study)」です。

タイムスタディーは、仕事(作業)に要する時間を正確に測定するための分析手法の一つで、もっとも伝統的な方法で広く普及し、世界中の工場で使われているものです。この手法を応用して、勤務時間内の8時間にわたって「いつ(時間)」「何処で(場所)」「何を(仕事の内容)」の測定要素で1分毎に把握しました。480測点を上記の三つの要素で記録したのです。

6つのサテライトセンター全ての2組について行いました。測定はCSR(企業の社会貢献)として南三陸町に入っていた富士通の職員に手伝ってもらいました。私の役割は結果の分析とそれを下にした業務改善の提案です。

タイムスタディー結果によって多くのことが可視化されました。記録にとても多くの時間が割かれていることや活動時間の開始、終了に差があること、移動や打合せ時間も無視できないほど割かれている等々が浮き彫りになりました。

この為、これらの間接支援に要する時間を出来るだけ少なくし、直接被災者と会ってお話を聴く時間を確保するように、様々な課題の整理が検討の俎上に登りました。

こうした過程をとおして、記録様式の見直しや記述式とチェック式の併用、そして本部への報告の仕方(FAXからE-mailへ)等々、様々な改善が検討されました。

これを進めに為に、新たに「様式検討委員会」等を立ち上げ、生活支援員のアイデアを日々の訪問活動に反映したものになるようにしています。これらを行うことにより、2年目に入る段階では、「慣れやマンネリ化」に陥ることなく、更に精度の高い支援活動に進めたように思います。

生活支援員は、その時々に、自分の経験を生かし更なる高みを目指して仕事と向き合っていたように思います。そして、それ自体が彼らのモチベーション維持や向上心の確保に影響を与えていたように思います。

彼らは、被災者支援を「仕事」ではなく「使命」と捉えていたからこそ出来た取り組みだったと思います。そんな彼らがいたからこそ今の南三陸町があると私は思っています。

経験だけに頼らず、常に科学的・客観的データを持って事に当たる。そのような極めて当たり前なことを丁寧にやっていたのが南三陸町被災者支援活動です。

打合せにも同席して計測・記録
行っている業務の確認
訪問に同行して計測・記録
調査結果の検討

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です