食欲の秋と食糧自給率38%
豊富な食材に恵まれている東北の秋は、正に食欲の秋。東北地方は、人口規模では6.7%に過ぎませんが、コメの生産量では28.5%(2019年)で、文字どうりコメどころです。東北の食糧自給率(カロリーベース)は、最も低い宮城県で72%(全国11位)、秋田県は200%(全国2位)です。これらの数字はコメが大きく寄与していることを物語っています。一方、国民一人当たり消費するコメの量は51.2㎏(2021年度)です。1962(昭和37)年度が118.3㎏だったのに比べると実に57%も減っています。食生活の変化は、様々な課題を我々に突きつけています(参考:河北新報2022/10/13)。
農林水産省は2022(令和4)年8月5日、2021(令和3)年度の食料自給率を公表しました。それによると、日本の食料自給率は38%(カロリーベース)です。農林水産省が試算した資料によると、世界の主な国々9カ国の食料自給率(カロリーベース)ランキングは、1位 カナダ(233%)2位 オーストラリア(169%)3位 アメリカ(121%)…9位 日本(38%)
と、断トツ・桁違いの最下位です。
「食料を自給できない人たちは奴隷である」とホセ・マルティ(キューバの著作家・革命家)は述べ、詩人・彫刻家の高村光太郎は「食うものだけは自給したい。個人でも、国家でも、これなくして真の独立はない」と言っています。
狭い国土に人口が多い現在の日本は、世界でもトップレベルの豊かな食生活が実現されています。この豊かな食生活は、国内で生産された食料だけでは難しく、輸入食料により支えられています。国内で生産できないものは輸入に頼るほかありません。加えて、輸入品の方が安いために、国内で生産するより輸入した方が利益が大きくなるという理由で、輸入量が増えている食品も少なくありません。また、豊かな食生活の反面、「食品ロス」などの問題も深刻になっています。
命を守り、環境を守り、地域を守り、国土・国境を守っている産業を国全体で支えることは、欧米では常識ですが、その常識が成り立っていないのが日本です。食を握られることは国の独立を失うことです。国は不測の事態のセーフティネットと出口対策に財政出動が必須という考え方もあります。
例えば、コメ1俵1.2万円と9千円との差額を主食米700万トンに補填するのに、3,500億円あればこれで国民の命が守れます。約5,000億円あれば、全国の小中学校の給食無償化ができ、これで子供たちの未来を守れます。2020(令和2)年度のGO TOトラベル関連予算額は1兆6,794億円。2022(令和4)年度の全国旅行支援関連予算額は5,600億円です。
経済対策の名の下に血税が一時の享楽に費やされます。食料の安定共有という「食糧安保」と一時の享楽。私たちは、後者を選んでいるのです。もっと、足下をしっかり見つめ、国の進むべき道筋について考えてみても良いのではないでしょうか。
「『食を握られることは国民の命を握られ、国の独立を失うこと』だと肝に銘じて、国家安全保障確立戦略の中心を担う農林水産業政策を再構築すべきである。国民が求めているのは、日米のオトモダチ企業のために際限なく国益を差し出すことではなく、自分たちの命、環境、地域、国土を守る安全な食料を確保するために、国民それぞれが、どう応分の負担をして支えていくか、というビジョンとそのための包括的な政策体系の構築なのである。」識者はこの様に語っています。出典:東京大学大学院農学部生命科学研究科教授。NPO法人「農の未来ネット」理事長
それでは、食料自給率を上げるためにはどうすればいいのでしょうか?
①旬のものを食べる:国内で作られた旬のものを食べることは、食料自給率を上げるきっかけになります。旬の食べ物は、その季節の気候で余分な手間やコストをかけず、美味しいものを作ることが可能です。その季節ごとに作りやすい食べ物の需要が高まることで、生産者側の負担が減ります。また、味がいいことに加えて栄養価も高く、旬のものを食べることは健康面でも良い効果が得られます。
②バランスのよい食事を心がける:バランスのよい食事を心がけることは、国内生産の食べ物の需要を高めることにつながります。近年では冷凍食品・加工食品など脂肪分の多い食べ物の摂取量が増えており、これらの原料のほとんどが輸入によるものです。つまり、冷凍食品や加工食品の需要が高まると、国内で生産できる食材の需要が低くなってしまうのです。国内で採れる米や野菜を中心とした、身体に優しい食事をとるようにしましょう。
③国産の食べ物に興味を持つ:国産の食べ物に興味を持って、意識的に摂取することも大切です。先述の「旬のものを食べる」ことも国産の食べ物や地域の特産品などに目を向ける良い機会になります。そのほかにも、その食材の産地・その食材の栽培方法・おいしい調理の方法・伝統的な食べ方など、食べ物に興味をもって知ろうとすることは、あなたの生活の豊かさにもつながります。
食料自給率が低いと、国際情勢などの影響で輸入ができなくなることは容易に想像できます。私たちは、現在の食糧自給率の現状やその背景をしっかりと理解し、困る前に対策をとることが大切です。
食料自給率を高めるためには、私たちの食生活をはじめとして、様々な事柄について見直しや考えてみるべきことが沢山あります。でも、上記の①②③を実践しただけでも、相当状況は変わるように思います。さらに、これらの取り組みは、難しいことではなく、私たちの意識レベルで対応が可能です。
どれか一つでも実践してみては如何でしょうか。出典:https://spaceshipearth.jp/
先生のお宅の畑、すごいですね。何を植えていらっしゃるのでしょうね。愛情込められた野菜がすくすく育つことでしょう。
私は、休みの日は大きな皿にいろんな食材を盛り付けたちょっとお洒落な感じにすることもありますが、平日は、一つの器にいろんな物を入れ、野菜もたんぱく質も炭水化物も入れて、そこに薬味や味付けするのを工夫して食べるのが好きです。それでも旬の物をバランスよくになっているかもしれません。
食べることには興味津々の私、それが心の栄養にもなっているかもしれません。