全国から駆けつけてくれたボランティア 其の二

前回7月11日は、全国からボランティアは被災地に駆けつけてくれましたこと、そして新たに生まれた「生業ボランティア」についても触れました。この生業ボランティアについては、賛否両論ありまだまだ整理を必要としている状況にあります。

この生業ボランティアに関しては、東北学院大学在任中にも、この課題に向き合ったことがありました。山形県のサクランボ収穫期の人手不足に対応する為に、県庁の担当課の方がボランティアを出してもらいたいと、サクランボ農家の意向を受けて大学に来たことがありました。大学では、これまで何度か山形に学生を送り出し、サクランボの収穫を手伝っていたのです。そんな経緯かもあり、当然の如く「今年も宜しく」という感じの訪問でした。私は、常々サクランボの収穫の手伝いへの学生派遣に疑問を持っており、実態が「安上がりの労働力」としてボランティアがあてにされていること再考を申し出ていました。大学生がボランティアとして入るのであれば、現在の第一次産業の現状等々について学ぶ場となることが付随したものであって欲しいと願っていました。

結局、山形県では大学からの意見を持ち帰り、その年のボランティアは行われませんでした。その後山形県は、県職員の兼業を認める形で、サクランボの収穫を県職員にお願いしています。私は、これが本来の姿ではないかと思っています。もしかすると、東北学院大学の「生業ボランティア」に対する問題提起が、山形県庁の判断に少なからず影響を与えたのではないかと思っています。

さてさて、本論です。前回書けなかった、南三陸町に来てくれたボランティアの様子を人数やその内容なら振り返ってみます。

震災後,宮城県内市町村に設置された災害ボランティアセンターは、3月12日から3月28日までの間に、12市13町で最大時36か所(サブセンター等含む)です。この様な中で、南三陸町には、前回でも取り上げましたが、佐藤町長が毎日記者会見を行い、被災地の窮状を訴えたことから、被災地「南三陸町」は全国にその名が知られるようになり、多くのボランティアが駆けつけてくれました。2011(平成23)年3月から2015(平成27)年9月迄の55ヶ月(4年7ヶ月)で、148,451人(最大時2011年8月8,300人/月)が南三陸町に駆けつけてくれました。ボランティアの内容は、震災直後は炊き出しや瓦礫撤去が主でしたが、その後は田畑の堆積物除去(農地復旧)等の農業支援やワカメの収穫作業等の漁業支援に移っていきました。

人数の推移やボランティアの内容は、別添に示すとおりです。年々、ボランティア数は少なくなっていきます。その際、若い人たちの減少が著しく、年齢の高いボランティアは、人数が少ないけれども継続している様子がうかがえます。また、現在の南三陸町の様子を見ると、数字は持っていませんが、肌感覚では企業の社会貢献(CSR:Corporate Social Responsibility)が継続して行われているのも特徴的です。また、CSV(Creating Shared Value: 共通価値の創造)と呼ばれる活動にも発展しています。CSVは、経済的な価値を創出しながら、社会ニーズもそこに取り含み、社会的価値も創造するアプローチであるため、「共通価値の戦略」と名付けられたのです。

南三陸町は、東日本大震災で壊滅的な被害を受けながらも、その復旧・復興過程で様々な取組に挑戦し、新たな町づくりに邁進しています。今年の10月には、南三陸町震災伝承施設「南三陸311メモリアル」が完成します。是非、現地で南三陸町がどの様にして乗り越えようとしているのかを直接感じてもらいたいです。その中では「奇跡のおばちゃんたち」(生活支援員)の様子にも触れられるかも知れません。

参考データ

ボランティア数の推移
年代別ボランティア数
年代別減少数
ボランティア活動内容の変化
農業支援(農地復旧)2014-05-03
活動(漁業支援)の合間に住人と交流
大学生の学習支援(2014-08-01)

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

全国から駆けつけてくれたボランティア 其の二” に対して4件のコメントがあります。

  1. ハチドリ より:

    南三陸町のボランティアの話題からはそれてしまいますが、山形県庁職員のサクランボ採取の兼業を認めると言う記事を読んで、ちょうど私がよく桃を買いにいく果樹園でも、福島市職員による「カジュワーク職員制度」がこの7月から開始になりました。土日、祝日などに桃や梨、リンゴなど果物の収穫のバイトを公務員にも認めると言うものです。

    弘前市では、りんご課があるそうで、もも課が出来ないかなと福島の桃農家の方はお話していました。

    福島市職員へのアンケートでは、270人もの職員が都合がつけば参加したいと答えていたそうで、今後は学生や市民にもアプリで参加者を募り、報酬を支払う形にしていければと考えているそうです。

    東北学院大学の「生業ボランティア」に対する問題提起が、福島にも良い影響を与えてくださったのかもp(^^)q

    1. 鈴虫 より:

      ハチドリさん、私も山形県の職員がさくらんぼの収穫をする様子をニュースで見ました。
      公務員の若い女性がさくらんぼ農家に出向き、収穫の仕事に精を出していました。このような職種や立場を超えた交流は、単に人手不足の助っ人というだけでなくお互いの苦楽を理解するきっかけになり、とても意義のある事だと思います。
      この点で私の中で生業支援ボランティアと重なるところです。
      震災後の生業支援ボランティアが、タダ働きの都合の良い人手として扱われたのではないかという問題提起がありました。それを聞いて私自身は「それは違う!」と思いましたが、なかには実際にその様に扱われ、不快に感じた方もあったのかもしれないと思うと、とても残念なことです。
      私の身近でも、生業支援ボランティアにお手伝いをもらった家族がありました。当時、その家族から、普段なら殺伐とした効率優先の作業を、まるで漁業体験の学生を受け入れた様な和気あいあいとした雰囲気の中で仕事をしたと聞きました。そこでは支援する人とされる人の関係を超えた、心を通わせた交流があったのではないかと思っています。
      実際に、その後に大学を卒業した学生は、都会からこの地に移り住んでその家族の営む漁船に乗り込みました。アパートには、身ひとつで飛び込んでくれた彼の為にみんなで持ち寄った家財道具、我が家からも息子が使ったテレビと冷蔵庫を運び、別の人は格安の中古車をお世話したりと地域をあげて大歓迎でした。
      息子のすることに理解を示し応援し続ける家族を代表してお母さんがご挨拶に来てくださったこともありました。

      彼は数年間地域の漁民と一緒に努めたところで、地元で働く彼女との結婚を機に引きあげて行きましたが、有難いことに今でも時々の近況報告があり、その度にみんなの話題になっているのです。

      生業支援ボランティアには様々な課題もありますが、この様な心温かくなる展開もあることをこの場に集うみなさんには知っておいてもらいたいです。

      ハチドリさん、りんご課🍎もも課🍑イイですよね!この辺だとワカメ課?
      そこからは、目から鱗が落ちるような斬新な企画が次々と湧き上がってきそうでワクワクしますよね〜😄♪

      長くなりましたが日曜日に免じてお許しくださいな👋

      1. ハチドリ より:

        鈴虫さん、ぜんぜん、長文オッケーです。な~るほど、よくわかりました🤗

        果樹農家の方であれ、ワカメ農家?の方であれ、その収穫が大変な時期に報酬を支払い、しっかり手伝ってもらう体制を行政が作ったことがまず素晴らしいと思いました。

        そこに、鈴虫さんが書かれていたような『単に人手不足の助っ人というだけでなくお互いの苦楽を理解するきっかけになり、とても意義のある事だと思います』と言う付加価値が生まれて来たら本当に素晴らしいと思います。

        また、生業支援ボランティアに来ていた男性のお話を読ませていただき、なんて嬉しい物語が生まれたのでしょう✨と思いました。
        どんなことでも100%総てうまくいくと言うことは難しいことだけど、そこで気になったことはそのままにはせずに意見を出しあったり、意義あること、素晴らしいことはさらに多くの人に伝えていく、知ってもらうと言う行為が大切なんだと思います。

        鈴虫さん、とても胸を打つコメントをありがとうございました。

        1. 鈴虫 より:

          ハチドリさん、いつも私が遡ってコメントいれるので、それを読んでくれて、コメントまでありがとうございました😊

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