避難所でプライバシーに配慮した工夫?
災害が発生すると、真っ先に設置される避難所。多くの場合、小・中学校の体育館や集会所が充てられます。災害救助法で、避難所は、発災から7日以内に設置すること、炊き出しなどの食品の供与は、発災から7日以内に行うこと、仮設住宅は発災から20以内に着工することなどが定められています。
また、それらに要する費用についても定めがあります。避難所は、一人1日当たり300円以内とすること、炊き出しその他の食品供与は、一人1日当たり1,010円とあります。また、応急仮設住宅は、29.7㎡(9坪)/戸で2百401千円以内と定められています(平成25年度基準)。
この様な条件下で、私たちは災害の時に避難所や応急仮設住宅で避難生活を送ることになります。広い体育館に、毛布にくるまって雑魚寝を強いられるのは、この様な災害救助法の基準に依るためです。災害があるたびに、日本の避難所の劣悪な避難生活環境が指摘されていますが、それはこうした基準で避難所や応急仮設住宅が運営・整備されるからです。
短期間であれば、何とか「災害という緊急避難だから」と、言い聞かせられますか、数週間、数ヶ月となると相当厳しいものがあります。この様な日本の状況に対して、「欧米の避難所は一人当たり4平方メートルの広さが必要とされ、簡易ベッドを全員使用することになっています。食事はキッチンカーで作ってできる限り温かいものが提供され、トイレとシャワー付きのコンテナも備えられています」(「避難所・避難生活学会」常務理事で新潟大特任教授の榛沢和彦氏)と、欧米の様子が紹介されています。
東日本大震災以降、様々な改善や新たな取り組みが推奨されているようですが、現状は自治体単位でバラバラというのが現状のようです。
今回、私がみなさんに知ってもらいたい本論はこれからです。災害になると前述のように体育館に雑魚寝状態で、プライバシーに対する配慮が足りないと様々な識者から指摘されます。そのような中で、プライバシー対策として良く取り上げられるのが、高い段ボールで仕切った簡易個室のような空間やテントを張って個室をつくるなどの試みです。南三陸町でも、高い段ボールでの仕切りやテント設置で「プライバシーに配慮した」という避難所がありました。
実際に南三陸町でこの様なプライバシーに配慮した高い段ボールでの仕切りやテントでの避難所を設置した時の若干の懸念に触れています。確かに、高い段ボールの仕切りやテントを設置すると、「プライバシー」すなわち他者から丸見えは防げます。これにより、授乳などの時は、助かると思います。他人の目に触れないことはとても大切だとは思います。しかし、見えないことのデメリットも大きいのです。
家族複数人で避難しているとは限りませんし、家族数に応じた広さの選択肢が多く用意されているわけでもありません。また、季節にもよりますが夏場は、風通しが悪くて熱気が籠もり想像を超えるほどの暑さです。一番の心配は、中に居る人の様子が全く分からなくなるということです。熱気が籠もる熱い中で熱中症が懸念される状況下では、本当に心配が増し困ります。
災害で突然不自由な生活を強いられます。不安や心細さに襲われます。そんな時、周りとのチョットした声がけや手助けが、とても大きな支え合いとなります。高い段ボールの仕切りやテントは、プライバシー確保の代償として、こうした支え合いや気遣いの機会を弱めてしまいます。顔の見える関係の持つ「お互い様」の気持ちを弱めてしまい、個々人の自助努力で困難を乗り切ることを強いることにもなるのです。
避難所では、多くの場合、個室に籠もりそれぞれ思いおもいの過ごし方をしているのが現状です。こうした現状というものも十分理解して「プライバシー」に配慮した環境の整備を考える必要があります。この様な、「プライバシー」に配慮した避難所にするときは、朝夕の点呼や昼食時は、個室を出てオープンスペースで食べるなどのルールを設けるなど、何らかの「互いに支え合う」仕掛けを組み込まないと危ないなと感じました。しかし、なかなかこうしたルールの徹底は難しいのが現状でしたが、避難所の自主運営組織化などを進めて、プライバシーと安全の両立を図る努力が必要だと思っています。
私たちは、快適な環境とともに、リスクも併せ持つことが多々あります。こうした時には、その場を構成する住民一人ひとりの「安全確保のための制限」を受け入れる姿勢は必須です。このことは、災害に限らず地域生活を営む場合においても同様です。以前、地域づくりとは「多少のわずらわしさを受け入れること」と書きました。こうした地域生活を営むに際しての一定のルールづくりやルールの下に行動するということを平時の時から行っていくことが、有事の時の混乱を避けることに通じるのではないかと思います。
最近、地域の方々が集まって町内会館の庭づくりをしていた事例を見ました(富谷市成田地区)。こうした平時での取組が地域社会のリールを守るという意識醸成、延いては災害時の相互扶助の意識を高めることに通じ、とても大切な事業だと思っています。平時からの取組無くして有事の対応はありません。住民が話し合い、より良い環境を自ら築いていくそのような地域社会は、きっと災害にも強い地域になるものと確信しています。
避難所の映像で、体育館にテントの並ぶ光景にはとても違和感を感じました。
プライバシーに配慮しての策ということはわかるけれども、その中で息を潜めて周りの気配に耳をそば立てているのかしらと思いました。行き過ぎた個人主義には嫌悪感さえ感じてしまいます。
今、私がOOCの精神を持って切り込むならば、みんなはちゃんと生きているのか、心が閉ざされていないか心配です。
ひとりで泣いている人は居ませんか。
ちょっとお話しませんか。
何も言わなくていいから一緒に散歩でも行きませんか。
そんなことを言いながらテントを一つひとつ回って見たくなります。
避難所生活は不自由で不便で大変なことが多いでしょう。でも、いつか必ず終わりが来ます。それまでどうか、知恵と工夫でなんとか乗り切っていきましょう。私にもあなたにもきっと役割があるはず、みんなでチカラを合わせましょう!
行政には出来るならこの避難生活があとどのくらい続くのか、ほんの少し先の目標として示していただければ頑張るチカラになると思うのです。
いつか私も避難所生活をするかもしれない、その時の為に考えてみました。