児童を虐待から守る新制度「司法審査」の導入(改正児童福祉法成立)

マスコミ報道を見ている時に、児童虐待の通報を受け手からの児童相談所の対応がいつも気になっていいました。保護者の話より、児童の人権を優先して、迅速に家族から児童を引き離し保護できなかったのかと。多くの場合、児童が深刻な虐待を受けたり、最悪死亡してから大騒ぎしている。更には、ほとんどの場合、全くのーマークだった例は少なく、何らかの情報を得て対応しているケースです。それなのに、児童を保護者から引き離せず、最悪の事態を招いている。この様な状況を何とかなくすべく、今回の児童福祉法の改正が行われました。

最大の改正点は、改正児童福祉法の成立により、虐待を受けた子どもを親から引き離す一時保護に裁判官が関与する「司法審査」の導入が決まったことです。司法審査では、児童相談所(以下「児相」)が資料を集め、保護開始から7日以内に「一時保護状」を裁判官に請求する。事前の請求も可能としています。親の同意がある場合は、審査対象から外す。請求が却下されれば、児相は保護を解除しなければならないとあります。

これまでも、児相職員に地元警察官(生活安全課)が帯同したりすることもありましたが、毎回と言うわけには行かず、困難なケースに際して児相の求めに応じている現状でした。こうした現状に、強い権限を持つ第三者の司法の目が入れば、手続きの透明性を確保でき、児童相談所が親とトラブルになって現場が疲弊することを防げるとの狙いがあります。ただ、司法判断によっては、保護が解除されるケースも考えられます。子どもの安全を十分に確保しながら、制度を運用できるかがこれからの課題で、これまで同様に警察との連携や裁判所への的確な状況説明など、親権と児童を守る法的対応の兼ね合いを探るための制度運用の試行錯誤が続くと思います。

新たな仕組みでは、児相が保護開始から7日以内に一時保護状を請求します。認められれば、いわば裁判所のお墨付きを持って保護を実行します。これまで保護の判断は、児相のみで行い、親とトラブルになるケースも多々ありました。厚生労働省の担当者は「親権を制約する一時保護について、手続きの適正さを司法に判断してもらう仕組みが必要だ」と説明しています。新たな判断(司法判断)が加わり、より適切かつ迅速に児童の保護が出来るようになったと言えます。

新制度導入に伴い、厚労省は児相の取り組みを丁寧にサポートする方針です(そんなの当然だろう!)。保護の必要性を説明する資料の作成を支援するため、書類の様式統一を検討。また、司法に詳しい専門職員の配置を後押しし、事務負担の軽減を目指すようです。

改正法は、一時保護状の請求が却下された場合も想定しています。子どもに重大な危害が生じるのを防ぐため、児相は却下の取り消しを裁判所に請求できます。

保護が必要かどうかの基準は今後、内閣府令で示される予定です。保護をめぐる児相と司法の判断に食い違いが生じないよう、厚労省は基準をできるだけ明確に示す方針です。子ども家庭福祉が専門の関西大の山県文治教授は「児童福祉法などの精神は、虐待かどうか分からないから保護するという考え方だ。そこを司法が十分理解してくれるかどうかが分かれ目になる」と指摘しています。

私も同じようなことを危惧します。裁判所は、時として「法律の解釈」に終始し、現場感(世間的感覚)が薄いと感じることが多々あります。これまで以上に、法と生活感のズレをなくす努力が、裁判所と児相の双方に求められます。同時に、児童虐待に至らないようにするために、地域社会において子育て家族の精神的な負担感を和らげてあげる取組や子どもを家族だけではなく、地域社会全体で守る取組が必要になります。子育ては、家庭だけではなく地域社会全体でおこなうという意識が必要だと思います。子どもは家族にとって大切な事は当然ですが、「地域の宝」でもあります。そのような意識を私たちは持つ必要があるのでは無いかと思っています。

昨年1年間に警察が検挙した児童虐待は前年比1.9%増の22,174件、被害に遭った18歳未満の子どもは同2.2%増の2,219人で、いずれも過去最多を更新したことが10日、警察庁のまとめで分かりました。無理心中を含め、死亡した子どもは54人に上っています。

社会的関心の高まりや児童相談所(児相)との連携強化で警察が把握する虐待事案は増えていますが、増加ペースは鈍化している現状があります。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛生活で、被害が潜在化している懸念もあり、同庁は情報収集を強化しているといいます。

私は、コロナ禍以前からこの傾向はあったと考えています。無関心とは言いませんが、何か変!と思ったときの、その先の一歩を踏み出せていないのです。私たちができる児童虐待防止。親を犯罪者にしない取組があります。それは「おせっかい」です。

OOCに賛同していただいた皆さま。皆さまの他者や地域に目を向ける意識は、児童虐待防止や大変な思いして子どもを意味育てている親を犯罪者にしない取組にも通じるのです。是非、子ども達の、そして親たちの「心の安全基地」となる空間(場)話し相手となって下さい。遠くから応援しています。

参考資料:時事通信社 6/9(木) 7:12配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/8493f888124506e0f12c4c8422e68fb1be803b04

OOC設立に寄せて(ごあいさつ) – 地域福祉研究所 (welfare0622.org)

参考資料

マルシェCaféの一コマ
若者も参加する居場所づくり
親子の語らいの場
語らいを引き出すVaristor

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

児童を虐待から守る新制度「司法審査」の導入(改正児童福祉法成立)” に対して1件のコメントがあります。

  1. 鈴虫 より:

    身近な大人による子供への虐待事件が、減るどころか連日報道されていることに心が痛みます。

    有り難いご縁で自分のところに来てくれた小さな命を親が自ら痛めつけるとは何事か!百歩譲って、親にも同情されるべき事情があったにせよ、それが我が子を殺める理由には絶対になりません!
    子供は天からのお預かりもので、決して親の所有物ではありません。子供が自立出来るまでの間、愛情深く大切に育て、見守るのが親としての役目なはずです。
    ですから地域の大人達が、どの子にも分け隔てなく愛のある見守りを続けることは、誰に遠慮することでもなく人としてあたりまえの行為なのだと思います。
    そして、子供達の健やかな日々の成長を守るには、その親世代を温かい関わりの中に置くことが必要なのでしょう。
    孤独で、困って、追い詰められそうな時にも、誰かの一言で道を踏み外さなくて済むような、ちょっと寄り添う声がけの出来る私でありたいと思っています。
    子供達は地域の宝ですもの。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です