地域の課題Ⅱの延長線(Naritaマルシェ訪問)

2021(令和3)年3月迄、東北学院大学に在籍していた時の学生(4年生)とNaritaマルシェ(富谷市成田地区)の事業「マルシェCafé」で再会しました。一人は学生本人でもう一人は本人が就活等で忙しく参加出来なかったのでお母さんとお会いして、学生の様子をお聴きすることができました。

この二人は、共に2年前の2020(令和2)年度後期授業で「地域の課題Ⅱ」(選択)を履修してくれた学生です。授業は、コロナ禍にあってZoomによる遠隔授業(同時双方向型)で行いました。この為、授業中に直接彼らと会うことはなかったのですが、授業が終わった翌年にメールやNaritaマルシェメンバーを介して会うことができました。

一人は、授業で知ったNaritaマルシェを実際に見てみたいと母親にお話しし、母親のお友達がNaritaマルシェメンバーであったことから、そのつながりで、昨年、Naritaマルシェの「おさがり会」に参加してくれました。お互い、パソコン画面ごしには会っていましたが直接会うのは初めてでした。でも、授業の延長のような感じで直ぐに会話が弾み、様々な意見交換が出来ました。

学生の問題意識や地域社会への眼差しが、とても素直で地域愛に満ちていました。その学生は、最終レポートで住みやすい町づくりへの提案として『地域の高齢化-地域の人口減少』を取り上げ、Naritaマルシェ活動を例に挙げ、こうした地域の安心安全が地元T町の高齢化を防ぐ鍵になると論じています。

お母さんのお話しでは、高校進学及び大学進学ではとても苦労したようです。そんな中にあっても腐ったりくじけることなく一生懸命、進むべき道を追い求めたようです。そして東北学院大学に入って、とても大きく成長してくれたと語っていました。大学が本人にはとても合っていたのでは無いかとも語っています。東北学院大学に籍を置いた者としてとても嬉しいお話しでした。お母さんは、大学に入ることで、地域社会に関心を持ち、自分なりの課題意識をしっかり持っているなど、目を見張るような成長だと語ります。

これは決して親のひいき目ではなく、最終レポートや授業ごとのミニッツペーバーからもうかがえます。なにより、授業が終わった翌年になって、実際の現場の様子を見たいと言ってNaritaマルシェに足を運んでくれた、そのことでも、地域への眼差しの真剣さを読み取りることができます。

もう一人は、昨年Naritaマルシェ代表の増田さんのお話を聴きたい、相談に乗ってもらいたいとの連絡をもらい直接会う機会を設けことのある学生です。その後、少し間が空いていたのですが、今年に入って河北新報の記事に学生の名前を見つけたのです。「パン店活性化に最優秀賞」東北学院大生 規格外リンゴ活用、という見出しで、SDGs探求のContestで最優秀賞に輝いていたのです。そのProjectリーダーが、相談に来たことのあるその学生でした。このチームは、規格外のリンゴを生かす3件の商品開発を提案していました。

昨年お会いしたときは、何事にも自信をなくし他者と関わるのも怖がっている様子でした。そんな学生がProjectリーダー?それだけでも驚きなのに、後輩の学生を従えて商品開発を進め、なんとなんとSDGs探求アワードで、567件のエントリーがあったそうですが、最優秀賞に輝いていたのです。それに大切にしていたコンセプト(ベースとする考え方・構想で、全にブレない一貫した考え)は、せっかく生産者が手塩に賭けで生産したものが規格外と言うだけで廃棄されてしまうのはもったいなくて心が痛む(学生の表現)、生産者の気持ちを生かす方法はキットあるはずだ、というのです。この引っ込みがちだった学生は、一念発起し下級生と共にProjectを牽引したのです。

この学生は、最終レポートの最後に「私が住む地域について考える機会がなかったので、この機会に学べてよかった。もっと詳しく知るために、Naritaマルシェに実際にいって、活動してみたい」。こう書いて締め括っています。この学生は、これを実際にやってくれたのです。4月17日(日)に行われた「マルシェCafé」に、始まりから後片付けまでの全てに参加し、来てくれた高齢者や子どもと関わり、Naritaマルシェスタッフと語らい、自分の考える「幅広い世代の交流の場のつくりかた」を参与観察してくれたのです。単位とは全く関係ないのにです。何と素晴らしい学生なんだろう、この様な学生を地元企業が採用し、この能力や感性を宮城県の発展のために生かしてもらいたいと切に願うものです。

東北学院大学を卒業してから1年、授業をした時から2年を経てなお、当時の学生と関われることができる。私は、なんて幸せなのだろうと感じました。また、同時に「教材」として関わらせて頂いたNaritaマルシェの活動及び増田代表、小野副代表、鈴木事務局長をはじめとするスタッフの皆様方の持つ「大人の本気」が示す教育力に改めて感謝するしだいです。学生を優れた事例の場に立たせることが教育と考えている私は、こんかいのこの学生の振るまいがとても嬉しいのです。そして地域社会の持つ可能性が極めて大きいことを再確認す機会となりました。二人の学生そしてお母さんに感謝です、有り難うございました。Naritaマルシェスタッフのみなさま、彼らのミニッツベーパーを赤線を引きながら読み、ビデオで語りかけ、学生を育てて頂き有り難うございました。彼らは立派に成長しています。そして、いつしか私たちの地域を発展させる力となって、改めて私たちの目の前に来てくれると思います。その時をみんなで楽しみに待ちましょう。

一時穏やかな時間に浸る学生(2022.04.17)
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河北新報(2022.04.03)
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おさがりの会に来てくれた学生(2021.08.20)右側

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

地域の課題Ⅱの延長線(Naritaマルシェ訪問)” に対して3件のコメントがあります。

  1. ハチドリ より:

    19日の朝、NaritaマルシェさんのWebサイトも読み、「宮城でね、 規格外のリンゴを活用してSDGs探求のコンテストで最優秀賞に輝いた女子大学生の人がいるんですって!」と、職場の隣の人に話かけたら、「あっ、そのニュース見たわ!知ってるよ。素晴らしいよね~🤗」とのお返事をもらいました。自慢したかったのに、知ってるんだ~とビックリ!(笑)
    でも、それがまたとても嬉しくて、仕事の合間にパンを想像し、何度となく、ニンマリしてしまったかもしれません。
    私も見向きもされなくなったお野菜などもったいなくて活用していますが、いろんなSDGsがありますよね。これからもできることを楽しみながらやっていこうと思います。

  2. Naritaマルシェ より:

    今回私たちの『マルシェかふぇ』に、交流のあった学生さんが来てくれたことは、本当に嬉しく幸せなことでした。以前にもイベントに参加してくれたことがあり、その時から一途に一生懸命ものごとを考える姿勢を素晴らしいと思っていました。ですから567件の応募があった中で最優秀賞をを受賞したと知った時、「なるほど!」と思いました。お会いしてお祝いを伝えたいと願っていましたので、それが叶ったことも嬉しいことでした。
    また、学生さんのお母様を一目見た瞬間「素敵な方だなあ。このお母様にしてあの息子さんありだな」と思いました。
    本間先生、若者たちが持っている素直な感性や温かな願いには本当に心打たれますね。いくこさんも言っているように、そのような若者たちと繋いでいただけたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
    最後のオンライン授業で学生さんたちに「いつでも私たちはここにいます」とお伝えしました。人生の折々でふと私たちを思い出してくれた時、変わらずに「心の居場所」を用意して「ここにある」ようでありたいと願っています。人生は素敵だと、地域の温かなつながりは宝物だと、言葉でなく「場の力」で伝えられるようでありたいと願っています。そして、いつまでも子どもたちや若者たちの応援者でありたいと思います。
    今回は、若者たちへの愛情いっぱいの記事をありがとうございました。
    またまた、シンクロですが、今日のNaritaマルシェのウェブサイトでも来てくれた学生さんのこと書いていました。『マルシェかふぇ』の報告は5回に分けて紹介していて、今日はその2回目。すでに5回分書いてあって、今日2回目は初めから学生さんの記事の予定だったんです。ですから、このホームページを訪れて記事を読み、これはもう若者たちの願いや祈りが共鳴したに違いない、と思いました。
    これからも、共に応援者でいましょう!
    (追伸)
    いくこさんも書いていましたが、決して先生を雑用係と思っているわけではありません。ただ、先生は背が高くていらっしゃるので、ちょっととって欲しいものなどがあるだけなのです。これに懲りずにまたいらしてください。先生が撮影してくださる写真は私たちの宝物です!

  3. いくこ より:

    先日も早くからのご参加ありがとうございました。
    先生には、マルシェの活動にいつもあたたかな眼差しで伴走して頂いて感謝しています。
    そして学生さんと繋いで頂いたことも、おかげさまでなんと素敵な若い方々の笑顔に出会えています。やってて良かったと感じる時です。
    これからもたくさんの笑顔に出会う時をご一緒させて頂きたいです。
    いつも雑用の指示が飛びますが、雑用係と思っているわけではありません、決して(笑)

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