大学教員だった証(あかし)

春分の日が過ぎ、一層春めく3月24日東北学院大学を卒業する学生の卒業お祝い食事会を一足先に自宅で行いました。来てくれたのは2年前(令和2年度)に地域課題演習(通年)を履修した3人です。私にとっては、大学教員として関わった最後の学生です。特に、今日来てくれた学生は、私が担当した地域教育4科目中、必修科目だけではなく選択科目2科目を含む3科目を履修してくれた数少ない学生です。地域教育科目3科目履修は、今年の3月に卒業する学部生約2,400人いる中で3人だけです。

地域課題演習は、本ゼミよりもゼミらしい授業だったと言ってくれました。私にとっては最大級の褒め言葉です。とても嬉しい言葉です。彼らは、地域課題演習(通年)で「荒町商店街活性化の事業提案」を執筆してくれました。2023(令和5)年4月に開学する五橋キャンパスに先立ち、大学と地域社会との関わりが円滑なものになるように、大学との関わりの中で荒町商店街が活性化するための具体的な提案を考えてくれました。地元商店街を対象に質問紙調査を行い、それを下にして商店街のキーパーソンにインタビュー調査をしています。

彼らが具体的に商店街の活性化として、個々具体に提案してくれたのは、「荒町の歴史と文化に根付く麹文化」「子育て饅頭と満福寺のコラボレーション-毘沙門様のいわれを若者に広めて」及び「荒町地区へのマイクロツーリズム-旅人の目線から魅力を発信する試み」の3編の論文です。これらの論文は、地元商店街を始め、行政、関係団体に配られ、大きな関心を呼びました。また、最終報告書でもあるこれらの論文は、担当教員が言うのもおかしいかも知れませんが、大変出来が良いので、東北学院大学学長にも直接報告しています。学長は、論文を手にしてとても喜び、学生に対して想定外の質問をいっぱい投げかけて頂き、とても驚きながらも嬉しい時間を過ごしたことが思い出されます。学生にとっても、学長室で学長と直接お話しができたという経験は、とても印象深かったようです。

学長報告(2021/03/15)

卒業お祝い食事会には、2年次の選択科目「地域の課題Ⅱ」で参与観察の場を提供してくれたNaritaマルシェの代表の方お二人も駆けつけて頂き、卒業のお祝いや参与観察時から更にVersionを上げた最近の事業の様子などを語って頂きました。お話をしていると、一気に二年前に戻り、それはそれは楽しい時間になりました。

大切な宝物になる写真です
学長の報告に応える学生
就職予定企業の内定者事前研修で参加出来なかった学生が研究室を訪れお祝いを頂く

私は、大学教員を卒業して1年になろうとしています。この間、今日という日をとても楽しみに待っていました。今日は、大学教員だったことの証を持てた日です。ほんのわずかな時間関わっただけなのですが、彼らがそこから何かを学び、それを持って社会の出て行く、そこに関われたことがとても嬉しいのです。彼らの旅立ちをお祝いできる機会を持てたことがとても嬉しく幸せに感じています。

私は、また別の機会に彼らと会えるかも知れないという期待を持たせて頂きました。こうした期待や会える楽しみを持てると言うことは、とても大きな喜びです。教員であった時の関わりが、形を変えてもなお持てると言うことは、人生の先が見えつつある私にとって、希望を持てることに通じる大切な関わりです。彼らの人生の節目ふしめを、お気に入りの書斎で珈琲でも飲みながら思い浮かべたいものです。

国際信号旗「K」でお出迎え

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

大学教員だった証(あかし)” に対して5件のコメントがあります。

  1. いくこ より:

    本間先生とご縁ができて、学生さんとお会いする機会を頂いて本当に幸せです。
    親族でもない若い方が、真剣なまなざしでさもない話を聞いてくださいます。
    年を重ねてきて、これほど暖かな時間があるでしょうか。
    頑張っている若い人には、いつも希望をもらっています。
    嬉しくて笑みがこぼれているのです、お褒め頂いて恐縮です。
    若いかたの傍らで「はな」というより葉っぱくらいになれていたら幸せです。

  2. ハチドリ より:

    おはようございます。
    うっわ!なんて巡り合わせ~( *´艸`)すみません、個人的な出来事に驚いています。

    なぜかと言いますと、田舎生まれ田舎育ちの私が初めて就職したのが仙台市荒町だったんです。そして今、毎朝楽しく見せてもらっているのがNaritaマルシェさんのWebページ✨、さらに学生さんとマルシェさんを繋いだのが本間先生であり、その本間先生のホームページの愛読者という巡り合わせに、小さな胸がときめいています。

    学生さんたちが荒町商店街の活性化として考えてくれた論文、「荒町の歴史と文化に根付く麹文化」「子育て饅頭と満福寺のコラボレーション-毘沙門様のいわれを若者に広めて」及び「荒町地区へのマイクロツーリズム-旅人の目線から魅力を発信する試み」、どれも聴いてみたいですね。あの荒町がどんな風に??

    先生、人数が大切なのではありません。どのように学んだのかが大切なのだと思います。学生さんたち、先生との出会いは今後の人生に大きな影響を与えてくれることでしょう。先生もこの学生さんたち、Naritaマルシェさんとの出会いも同様かと思います。

    『今日は、大学教員だったことの証を持てた日です。ほんのわずかな時間関わっただけなのですが、彼らがそこから何かを学び、それを持って社会に出て行く、そこに関われたことがとても嬉しいのです』感慨深いですよね。本当に嬉しいことかと思います。

    学生さん、3人のはずなのに5人いらっしゃいませんか?笑顔の可愛いお二人もとても素敵です。

  3. S.M より:

    「大学教員であった証」を読んで、平成3年度東北学院大学学部卒業生約2400人のうち、地域教育科目の4科目中3科目を履修した学生は3名とのことでしたが、この3名が社会人として世の中に出ることの意義はとても大きいと思っています。
    地域の課題に向き合って、自分ならではの解決策を見いだそうと挑戦した経験が、社会に出てどれだけ力になるかと想像しただけで頼もしく感じます。
    先に、気仙沼市のアクティブコミュニティ塾の報告がありました。そちらでは6名の卒業生があったとのことでしたか、共通して言えるのはその数では無いということだと思います。
    その数名が学んだことを社会で実践した時には、それぞれの場所で思いを共有できる人達とさらなる発展があるものと思います。そう考えると、とてもワクワクします。
    伝えたい大切なものがある教育側と、そこに志しを持って席を置いた学生の居る場は、とても純粋な教育の現場であり、尊敬のできる居場所だと思います。

    私もその様な場にしっかりと志しを持って参加し続けていきたいです。
    素敵な報告をありがとうございました。

  4. Naritaマルシェ より:

    本間先生が私たちの活動を学生さんたちの実習フィールドにしてくださり、たくさんの素晴らしい若者たちと知り合うことができたことは、Naritaマルシェの活動を立ち上げて良かったと思うことの大事な一つです。久しぶりに学生さんたちにお会いできてとても嬉しく、実習で関わった若者、というよりは小さい頃から良く知っている子が大学を卒業し社会に旅立つような気持になりました。

    指導してくださった先生のご自宅で、心づくしのお祝いをしていただいたことは一生忘れられない想い出となったことだろうと、同席させていただき何度も胸がいっぱいになりました。

    「本ゼミよりもゼミらしかった」という学生さんに、隣の学生さんも深く頷いている姿を見て、鈴虫さんがおっしゃったように「本物の先生」に出会えた喜びを感じました。

    Naritaマルシェに実習にきてくださった時は、まだコロナ禍前でしたが、翌年「演習」を履修した時はほぼオンラインでの授業だったとのこと。でも「本当に工夫した授業を考えていただきました」という感謝の言葉も聞くことができました。市長さんや学長さんに報告する機会を作っていただいたことも本当にありがたいことだったという言葉もありました。(普通はその部屋の周辺に立ち寄ることさえないまま卒業するものなのに、と)

    学生さんたちは、これからも嬉しい時も大変な時も、本間先生のことを思い出し、報告したくなったり相談したくなったりすることでしょう。そういう支えがあることはどれほどの宝でしょうか!若者たちのために、私も心から感謝したい気持ちです。

    私たちNaritaマルシェも、これからも変わらずここにある存在でいたいと思っているので、時々遊びに来てもらえたらとても嬉しいです。みなさんの人生が輝いたものとなりますよう心からお祈りしています。貴重な瞬間に立ち会わせていただき、本当にありがとうございました。

  5. 鈴虫 より:

    卒業生お祝い会、とても素敵な時間だったことが写真から伝わってきました。
    先生の知見を受け継いだ学生達も『本物の先生』と巡り会えた幸せを噛み締めていることでしょう。
    この若者達の将来像が私もいまから楽しみです。

    そして祝いの席に華を添えたNaritaマルシェのお姉さまがた、笑顔がとても素敵ですよ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です