7月29日からは未来への借金で生活(「オーバーシュートデイ」)

コンビニの店頭に「恵方巻き」の旗がはためく様になりました。恵方巻きとは、節分(今年は2月2日)に恵方を向いて無言で食べると良いとされる巻き寿司のことです。恵方巻きを食べるときに向くと良いと言われる方向を「恵方」といい、今年(2022年)は「北北西」です。

恵方は、「歳徳神」(としとくじん)という神様がいる場所で、その年の中でも特に縁起の良い方向とされています。恵方巻きと言えば、大量廃棄で社会問題にもなりました。そのようなこともあって、恵方巻きの旗を見たときに、「アース・オーバーシュートデイ」という言葉が思い浮かびました。

「アース・オーバーシュートデイ」とは、地球の資源を使い切る日のことです。1年間に地球が生産できる資源の量を、人間が使い尽くしてしまう日を「アース・オーバーシュート・デー」として、毎年、国際シンクタンクのグローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)が発表しています。

この人間による消費の量が、自然が生産する供給量を上回る「オーバーシュート」が始まったのは1970年代のことです。それ以来、人類は地球の生態系サービスが生産する「原資」を過剰に消費し「赤字状態」で生活をしていることになります。つまり、アース・オーバーシュート・デー後に人類が使う自然資源はすべて、未来の世代が使う資源を前借りし、その赤字分は未来の世代につけ回しながら消費を続けているのです。

地球は人間にとって、食物などさまざまな恵みを生み出し、また有害な排出物を吸収してくれる存在です。でも、1年間の生産・処理できる量は限られています。人間の活動がこの枠内にあれば問題はないのですが、地球のキャパシティーを超えてしまった場合、その赤字分は未来の世代に回ることになります。そして、2021年のオーバーシュートデイは7月29日です。つまり私たち人類は、7月29日から12月31日までの約5ヶ月分を、未来への借金(資源不足・環境汚染)で過ごしていたという事です。

日本のオーバーシュートデイは、世界のオーバーシュートデイ7月29日よりも、約3ヶ月の早い5月6日です。2021年の平均的な日本人は、1月1日から5月5日までは自分達の住む日本で生産される資源で生活をし、5月6日から7月28日までは同じ時代の他の国の人々の資源を借り、7月29日から12月31日までは未来への借金で生活していたということです。

当たり前の様にして過ごしている私たちの生活は、地域や時間を超えて多くの人に影響を与えています。もし、現在の日本の消費活動全てを日本国内で賄うと仮定した場合、7.8個の日本が必要という計算があります。もちろん日本は1つしかないので、残りの6.8個分は他の国からの資源や地球の借金を使って今の日本の生活を維持しているのです。以下は、先進諸国の実態です。先進国と胸を張る名だたる国々の多くは、自分の国が生産する何倍もの資源を消費して「豊かな生活」?を謳歌しています。

地球上の生態系に存在する資源は、人間の食料、住居、暖房に使われています。そのために人はどれだけの地球の資源を消費しているのでしょうか。銀行の明細書で収入と支出を比較するように、自然生態系が提供してくれる資源(供給)と人間が必要とする資源(需要)の収支を測っています。これを「エコロジカルフットプリント」といいます。例えば供給側では、都市、州、国の森林地、放牧地、耕作地、漁場、造成地など、生物学的に生産可能な土地と海の面積を計算します。また需要側では、植物由来の食品や繊維製品、畜産物や水産物、木材やその他の森林製品、都市インフラのための土地利用、化石燃料から排出される二酸化炭素を吸収するための森林に対する需要を測定しています。

この需要と供給側のバランスがきちんと保たれていることが、健全な地球を維持していくことに非常に重要です。人間の消費活動が、地球の生産活動を超えないようにすることが大切です。「オーバーシュートデイ」は、先に学んだSDGz等と共に意識して生活したいキーワードの様に感じます。「恵方巻き」を食べる習慣が、単に消費戦略に乗せられるだけではなく、自然の恵みや神仏に他者の幸せを祈る機会として大切に守り続ける習慣として根付いていくことを願っています。

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

7月29日からは未来への借金で生活(「オーバーシュートデイ」)” に対して7件のコメントがあります。

  1. 栗原市住民  より:

    ご返信いただいた皆様
    ありがとうごさいます。 
    明日からの3連休は、また蕎麦打ち修行に専念します。
    今回は大石田からそば粉を5キロ入手しました。
    更に腕をあげて、機会があれば、ご希望あれば素人の手打ち蕎麦を是非お振舞したいです。  
    無駄にせず 美味しくいただきましょう。 
    蕎麦を茹でた時の蕎麦湯 捨てないでお正月のあんことお餅で作った
    蕎麦湯ぜんざい(おしるこ)は最高ですよ。 
    これで、風邪を追い払って下さいませ。 お大事に。

  2. いくこ より:

    栗原市住民さん、声の交差点読みました。私も80歳になった時に、やりたいことがあって大切な友人がいて感謝を忘れず暮らしているようでありたいと思いました。
    私が「幸せ~」とつぶやくのは、親族や友人が集まり皆で笑顔の食卓を囲むときです。
    母の実家でのきりたんぽの思い出と、遠足や会社のメンバーで囲んだ山形の芋煮、食と笑顔が分かちがたく結びついているからのように思います。お蕎麦と鴨!良いですね。
    S.Mさん、未来のために身近な食卓から整えていこうということ、大事ですね。
    今年もどうぞよろしくお願いいたします、風邪が早く治りますように。

    1. S.M より:

      いくこさま
      ありがとうございます。
      フゥフゥしながら美味しいきりたんぽを食べたら、風邪など直ぐにも治りそうです!

  3. ハチドリ より:

    S.Mさん
    お風邪引かれたのですか?
    大丈夫でしょうか。
    実は私も3日の午後辺りから鼻の奥がツーンとし、少し頭痛もしてきて風邪引いたみたいです。もともとのコロナ菌の風邪かなとか思いながら、市販の風邪薬を飲み、だいぶ良くなってきました。
    フードロス、もったいないと思いつつ、私はよくやってしまいます。でも、今年はおせち料理がいい感じに無くなり、とても気分が良かったです。やはり鍋の大きさは大切ですね。いつも作りすぎるお煮しめ、小さいので作りました。

    栗原市住民さんの蕎麦打ちのお話を聴いて、私もやってみたくなりました。蕎麦、大好きです!作り過ぎても残さないで食べれる自信がありますp(^^)q

    本間先生、栗原市住民さんのコメントにあった、ちよのさんの大親友同級生の鈴木一枝さんの5日の河北新報 声の交差点のアップお願いします🙇‍♀️⤵️

    1. S.M より:

      ハチドリ様
      風邪大事にしましょう🤧
      コロナ禍でもあり周りに迷惑をかけては申し訳ないと、恐縮の毎日です。

      作ったお料理の売れ行きが良いのは本当に嬉しいですよね!

      コメントありがとうございました😊
      今年も宜しくお願いします。

  4. S.M より:

    お正月から風邪をひいてしまい、葛根湯を飲み生姜湯をすすって温まっています。
    みなさんはお元気そうでなにより、今年も宜しくお願いいたします。

    オーバーシュートデイを1日でも先延ばしにするには、食への感謝を忘れず家庭からフードロスを減らす努力が必須ではないかと思います。
    食材を丁寧に使い切るとか作り過ぎないようにしただけでも大分減らせると思いますので、今日から意識してみます。

    わが家では、家族が減ってもお鍋がそのままなので半量の調理が未だに難しい。
    先ずは小さなお鍋にとりかえましょうか。

    栗原市住民様の蕎麦打ちや味噌煮、昨日まで水辺にいた鴨をしめた話には豊かな食文化を感じます。
    鴨をしめることはお話だけ伺っておき、蕎麦打ちは今年やってみたいことリストにあげておきます。
    お話ありがとうございました。

  5. 栗原市住民  より:

    二回目のコメント 栗原市住民です。
    初コメントに、ご返信いただきました、スマイルさん ハチドリさん
    ありがとうございます。出逢ったことのない方々でありながら、身近に感じられました。
    先生のこのブログでの繋がり力はすごい! 
    さて、返信に感謝をこめて何を書こうかと、もたついているうちに新年を迎え失礼いたしました。
    そこで、今回は私の年末年始の様子をこのコメントに書いてみようと思います。
    テーマは、「食」と「コミュニティ」です。
    30日、年越し蕎麦を自分で打ってみました。 初チャレンジです。
    そば粉は山形尾花沢より直買い。水は栗原の水源 花山の湧水。
    十割は素人が打つと中々つながらず、切れて短めの蕎麦。
    細く長く長寿を願って食べる年越しそばにならず、次に二八を打ちました。
    ようやく、すすれる長さの蕎麦が出来上がりました。 
    年越し蕎麦は、ぼつぼつと切れるからこそ、食べる意味があるとの。
    一年の苦労を断ち切り、新年を迎えられるように切れやすい蕎麦を食べるとのこと。
    さて、十割にしようか、二八にしようか…
    そこに、やってきたのは真鴨です。前日まで水辺にいた鴨がそのまんまの姿で
    届きました。(伊豆沼の鴨ではないです。許可ある方からの頂き物)
    意を決し、共同作業で鴨肉にしました。 かなり時間がかかります。 
    作業しながらも、あんこのおまじないのように、鴨に話しかけました。
    「美味しく 無駄にしないで大事にいただきますからね~」
    お正月ともなると、どの家庭でも豪華おせちをはじめ、いつもより贅沢な食事。
    鴨の姿を見て、毎日 当たり前にいただく「食物 命」にこれほどまでに感謝を
    した日はなかったです。 ありがたく、美味しくいただきました。

    蕎麦打ちの腕も上げ、美味しく出来た鴨そばを友人にお裾分けしたく、2日蕎麦初打ち
    新年会をしました。(50~65歳メンバー 4人でお酒ものみ)
    新年早々 酒飲みで出た話はこんな話題です。 寒いこれからは味噌煮たね。
    共同で作る味噌煮作業も、メンバーが居なくなってきてね。 
    3日間もよその姑にも気をつかいながらの作業はかなり辛いらしい。
    そこで、思い出したのが、 本間先生の講話資料の中にあった一言。
    地域(コミュニティ)つくりとは、ほんの少しの「わずらわしさ」を共有することだと。
    酒飲みの話しは、味噌づくりから次に続きます。
    「古峯さん」(こみねさん)と呼ぶ、栃木県にある古峯神社信仰です。私の暮らしには、
    無く、はじめて聞いた「こみねさん」。
    友人の地区は、地区を5班に分け、当番班の男性が必ず地域代表としてお詣りして、
    地区全世帯分の御札を頂いてくるそうです。それも2泊3日出かける旅です。
    地区の豊作と安全を祈願することを目的として行われている「こみねさん」
    地域(コミュニティ)つくりとは、ほんの少しの「わずらわしさ」を共有すること。 
    面倒くささや、煩わしいことを楽しみに変えること。
    それが、安心・安全という贈り物と交わり地域社会となります。 と本間先生が言っている
    ことは、このことだぁ~。 と納得した日でした。
    昔から引き継がれてきたこのような伝統行事・文化。 地域を守りたいとの神への
    信仰心を意図的にかりて、実は住民が守りつくりたかったことは、今の昔も「コミュニテイ」
    だったのでは。 私は実は社協の職員です。 住民主体の地域づくりを側面支援するのが
    使命と思っています。 あらためて、地域づくりの学びは、ここに暮らす地域住民からだと
    思った、大事なことに気づかされた、新年早々の酒飲み会でした。 

    テーマを「食」に戻します。
    このブログで先生が何度か紹介した、80歳で夢をかなえた 鈴木ちよのさん。
    ちよのさんの常に近に居て支えている、大親友同級生の鈴木一枝さんがいます。 
    その 一枝さんが、本日 5日の河北新報 声の交差点に掲載されています。
    お題は「食べ物への感謝を忘れず」 私のまとまらないコメントはこの辺で終わりにして、
    是非 一枝さんの声の交差点をお読みくださいませ。 

    では、このブログで出逢った皆さま 引き続き共に学んでいきましょう。
    頑張ってついて行きます。   

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