SDGs 目標13 「気候変動に具体的な対策を」
気候変動は世界的にも問題視されており、先進国や開発途上国といった枠組みを超え、全世界が取り組むべき喫緊の課題となっています。2030年までの目標ではあるものの、すぐに具体的な対策を講じなければ、未来の地球は取り返しのつかない姿となってしまう恐れがあるのです。天候の変化や海面水位の上昇、異常気象にいたるまで、気候変動の影響は顕在化しているといわざるを得ません。この変動は私たちの生活に大きく影響してきます。そのため「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」を目指し、5項目のターゲットを定め、早急に対策を講じることを求められています。(出典:国際開発センター「気候変動に具体的な対策を」,2018)
13.1 すべての国々において、気候変動に起因する危険や自然災害に対するレジリエンスおよび適応力を強化する。
13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略および計画に盛り込む。
13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減、および早期警告に関する教育、啓発、人的能力および制度機能を改善する。
13.a 重要な緩和行動や実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同動員するという、UNFCCCの先進締約国によりコミットメントを実施し、可能な限り速やかに資本を投下してグリーン気候基金を本格始動させる。
13.b 女性、若者、および社会的弱者コミュニティの重点化などを通じて、後発開発途上国における気候変動関連の効果的な計画策定や管理の能力を向上するためのメカニズムを推進する。
※国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が、気候変動への世界的対応について交渉を行う一義的な国際的、政府間対話の場であると認識している。
最近、カーボンニュートラルと言う言葉をよく聞きます。チョットその言葉を解説してみましょう。
カーボンニュートラルとは「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことです。 温室効果ガスにはCO2・メタン・一酸化二窒素・フロンガスが含まれます。
「全体としてゼロ」の意味は「排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする」ということです。温室効果ガスの排出そのものを大幅に削減することが、カーボンニュートラル実現の大前提となりますが、排出を完全になくすことは現実的ではありません。
そのため、排出した温室効果ガスと同じ量を「吸収」または「除去」することで「実質ゼロ」を目指そうというのが「カーボンニュートラル」の内容です。
近年、地球の温暖化が関係していると言われる自然災害が世界中で増えています。温室効果ガスの排出量は1990年と比較して50%以上も増え、今すぐに対策をしないと取り返しのつかないことになってしまいそうです。地球の平均気温上昇を産業革命以前の水準から2℃以内にするため、政治と技術を活用しより一層各国が協力して温室効果ガスの削減を実行していく必要があります。
海面上昇の主な原因は、海水の温度上昇による膨張と氷河や氷床の融解であると言われています。1901-2010年の約100年の間に19cm海面が上昇しました。このままでは、21世紀中に最大82cm上昇すると予測されています。すでに、フィジー諸島共和国、ツバル、マーシャル諸島共和国など海抜の低い多くの島国で、高潮による被害が大きくなり、潮が満ちると海水が住宅や道路に入り込んでいます。
さらに、海水が田畑や井戸に入り込み作物が育たない、飲み水が塩水となるなど生活に大きな影響が出ています。平均海抜が1.5mしかない ツバルでは、2002年7月からニュージーランドへの移民も始まり、ツバル政府は「環境難民」であることを国際社会に訴えています。今すぐ対策をとらなければ、2050年にモルジブやミクロネシアなど島国の被害額は、これらの国の国内総生産(GDP)の10%を超えると言われています。
これらの国々は、概して発展途上国で二酸化炭素排出量も少ない国であるにもかかわらず、主に工業化した先進国が排出した二酸化炭素によって引き起こされている地球温暖化の影響を最も深刻に受けています。
日本では、1m海面が上昇すると、日本全国の砂浜の9割以上が失われると予測されています。海面が1m上昇すると大阪では、北西部から堺市にかけて海岸線は、ほぼ水没します。東京でも、堤防などを高くするなどの対策をとらなければ、江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区のほぼ全域が影響を受けます。47都道府県のうち、39都道府県が海に面する日本沿岸の平均海面水位は、30年前よりも、既に8.7センチ上がっています。日本の浜辺にも、消失の危機が迫っています。
このままの対策で2030年を迎えると、日本全国で600万人もの人が浸水や冠水の影響を受ける可能性があることがわかりました。東京をはじめ、人口や産業が集中する大都市圏の名古屋や大阪の沿岸付近に広がっているゼロメートル地帯や低地において、大きなリスクが懸念されています。特に東京では、台風に伴う高潮などによって生じる極端な海面上昇で、約83万5,000人(23区の人口の9%)が浸水・冠水の影響を受けると予測されます。
学校では、普段の学習の中でSDGsと関連のあることを知識として学んでいます。目標13.「気候変動に具体的な対策を」に関わりが深いのは理科や社会、家庭科や総合的な学習による、社会の仕組みや現象を学んだりモノや食品を作るのに何が使われているかを学んだり考えたりすることではないでしょうか。学校によっては、ユネスコスクールに登録していて世界中の加盟校と交流をしながら持続可能な開発のための教育(ESD(Education for Sustainable Development))を通してSDGsの先の社会の担い手となっていく子どもたちの育成をしているところもあります。
私たち個人ではどんなアプローチができるでしょうか?・部屋の電気を使ったら必ず消してから部屋をでる。・防災の知識をもって備える。・活発に動き徒歩や自転車での移動が多くできるような体つくりをする。こういったことも私たちが「気候変動に具体的な対策を」へのアプローチになるのではないでしょうか。