SDGs 目標6 「安全な水とトイレを世界中に」
世界では、今も安全な水と衛生的なトイレを確保できていない地域が数多くあります。しかし、それは水が不足しているなどの理由ではありません。
人々は循環する水の約1割しか農業、工業、飲料水、生活用水に使用しておらず、十分に存在しているのです。では、なぜ確保できないのか、それは水の季節変動や地理的に偏った場所に存在することなどに加えて、富の偏在を原因としています。
富さえあれば、それによってインフラを整備することができます。しかし、貧困な地域などでは、上下水道の整備や維持する体制、技術、予算がなく、安全な水はもちろん、衛生的な施設を確保することができないのです。(出典:国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所「目標6:安全な水とトイレをみんなに」)
《参考》日本の乳児死亡率の劇的低下には「水」の影響が大きい。
終戦間もない1947(昭和22)年の乳児死亡率は76.7で、諸外国と比べて高い水準にあった。1950年代後半から60年代にかけての高度経済成長期を経て、衛生環境(衛生的な水が大きく影響した)や栄養状態が大幅に改善したことで乳児死亡率は漸減。さらに、1948年にスタートした「母子手帳」制度の効果も大きいとされています(1966年から「母子健康手帳」制度)。現在、2017(平成29)年の生後1年未満に死亡した乳児死亡数は1761人で、乳児死亡率(出生1000対比)は1.9となり、2015年と並び過去最低となっています。生後4週までの新生児死亡率(出生1000対比)は0.9。乳児死亡率、新生児死亡率ともに、世界的に見て日本は有数の低率国で、赤ちゃんの健康にとって望ましい国と言えます。
6.1 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。
6.2 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性および女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を向ける。
6.3 2030年までに、汚染の減少、有害な化学物質や物質の投棄削減と最小限の排出、未処理の下水の割合半減、およびリサイクルと安全な再利用を世界全体で大幅に増加させることにより、水質を改善する。
6.4 2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取および供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
6.5 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合的な水資源管理を実施する。
6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。
6.a 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、廃水処理、リサイクル・再利用技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力とキャパシティ・ビルディング支援を拡大する。
6.b 水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。
「SDGs 6.安全な水とトイレを世界中に」が掲げられた背景には、安全な水とトイレが使用できない場合のリスクがあります。
・トイレを衛生的に保つための上下水道の施設が整っておらず、トイレとして衛生的な場所がないため、2015年時点では9億人近い人が野外排泄を続けていて不衛生な状況が見られます。
・管理された水道施設がなく自宅に水が届かず、近くの河川や池、湖までわざわざ往復して飲み水や生活用水を確保しなければならない地域があります。
・不衛生な水を飲んで、感染症や下痢嘔吐、脱水症状が起こり、命を落とす可能性があります。特に、大人に比べて免疫のない子供は体に大きなダメージを受けます。
・世界のおよそ7億8,500万人の人々は、安全な水が手に入るサービスを受けられていない。
・20億人もの人々は、深刻な水ストレスに悩まされている。
(参考:SDGs報告2019|国連広報センター)
上記のようなさまざまなリスクが問題になっています。水は人が生きていくうえでは必要不可欠なものです。安全な水・トイレの設備が整っていない国や地域では、命を落としかねない危険と常に隣り合わせなのです。実際に毎日5000人もの子供が安全な水が飲めず命を落としています。安全な水とトイレがないリスクは、命に関わる大きな問題です。だからこそ、「SDGs 6.安全な水とトイレを世界中に」を達成することが重要なのです。
世界の大きな目標になっているSDGsは、身近な場所から考え行動できる目標です。自分さえよければ、自分一人くらいは、といった意識をやめましょう。そのために自分は社会や地球とつながっているんだと意識することが重要です。身近で手に取るものの背景やつながりを知ることがまずは大事です。今がよければいい、自分たちがよければそれでよい、など次の時代や世代のことを考えず行動していては、持続可能な社会の実現はありません。
水を無駄遣いしない、水資源を大切にする、緑のダムの価値を認識する等々、身近なと場面で関われること、意識すべき所は沢山あるようです。おかえりモネの舞台になっている気仙沼市唐桑地区では、「森は海の恋人」というキャッチフレーズで、植林などを行い、大川経由で海に流れ込む水資源を大切に守っています。
わたしたちのほんの少しの行動が多くの人の命を救い、暮らしをより豊かで便利なものにするはずです。SDGsの主人公はわたしたちなのです。
震災は、「当たり前の日常」をもう一度考え直してみる、とても重要な機会でもありました。トイレ、水は、当たり前の日常の中でも特に考えさせられたことだったとお思います。
貴重な体験からの学びのコメント、有り難うございました。
私達の地域でも震災後には水とトイレが最大の課題でした。この課題は生活の質に大きな影響を及ぼします。
このふたつが整わないのは、それが文化だと受け入れざるを得なかったり、良い環境を知る術のない教育環境であったりするのかもしれません。
私達の当たり前である安全で美味しい水が、世界中隅々まで行き渡ります様に、私には何が出来るのか感心を持っていきたいと思います。