肺炎患者の4割が誤嚥性(河北新報)

今朝(9月9日)の新聞に、東北大学大学院医学系研究科の調査結果をまとめた「肺炎患者4割が誤嚥性」の見出しを見つけました。肺炎による入院治療を受けた患者1,800人の約4割(38.4%)が誤嚥性肺炎で、その内80代が半数近く(45.2%)を占めていると言います(2021/09/09河北新報)。

日本人に多い死因は、がん、心筋梗塞(虚血性心疾患)に次いで、肺炎・気管支炎が挙げられます。高齢者の肺炎は、口の中の細菌などが誤って肺に入って発症する「誤嚥性肺炎」の割合が高いと言われます。食べ物や唾液などが誤って食道ではなく気管に入り、肺に流れ込んで細菌が繁殖することで起こる肺炎です。高齢者や脳血管疾患の後遺症があり、飲み込む機能(嚥下機能)が衰えると起こしやすくなります。

誤嚥性肺炎は、嚥下機能の低下した高齢者、脳梗塞後遺症やパーキンソン病などの神経疾患や寝たきりの患者に多く発生します。肺炎球菌や口腔内の常在菌である嫌気性菌が原因となることが多いとされます。また、高齢者の肺炎の原因は、気づかないうちに唾液や胃液などが肺に入る、「不顕性誤嚥」が多いと言われています。

高齢者や神経疾患などで寝たきりの患者では、口腔内の清潔が十分に保たれていないこともあり、この場合、口腔内で肺炎の原因となる細菌がより多く増殖してしまいます。また、高齢者や寝たきり患者では咳反射が弱くなり嚥下機能が低下します。その結果、口腔内の細菌が気管から肺へと吸引され、肺炎を発症します。また、栄養状態が不良であることや免疫機能の低下なども発症に関与してきます。

誤嚥性肺炎の治療は、抗菌薬を用いた薬物療法が基本です。呼吸状態や全身状態が不良な場合は入院して治療を行います。同時に口腔健康管理の徹底、嚥下指導も重要となります。また、嚥下機能に悪影響を及ぼす薬物を内服していないかチェックし、その上で、嚥下反射を改善する効果が確認されている薬剤などの適応を検討することがあります。高齢者や中枢神経系障害などで寝たきりの患者に発症し、慢性的に繰り返し発症する場合もあるので、予後不良の場合も少なくありません。

現職の時、歯科保健を担当していたことがあります。当時(1995年頃)は8020(80歳で20本の歯を残す)等が施策の目標になっていました。そのような中で東北大学歯学部の先生と仲良くなり、歯学部の勉強会などにも参加していました。その際に教えて頂いたことで今でも記憶に残っていることがあります。

それは、カプサイシン(capsaicin:唐辛子の辛味をもたらす主成分)が誤嚥防止(嚥下機能の強化)に極めて有効であるという論文です。漬け物、味噌汁など普段の食事に、唐辛子など辛みのある食べ物を少し加えることを勧めていました。お年寄りが、お漬け物に唐辛子をふって食べているのを見ることがありますが、この食習慣は誤嚥防止という意味で理にかなっていると言えます。

高齢になったら、カプサイシンと歯磨き(口腔ケア)!意識して取り組みたいです。また、親を介護している方々は、試してみるのも良いのではないでしょうか。

今朝の新聞を読みながら、こんなことを思い出していました。

出典:埼玉県歯科医師会:https://www.saitamada.or.jp/wp-content/themes/saitamada/pdf/go8020/2018goenyobo.pdf

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

肺炎患者の4割が誤嚥性(河北新報)” に対して8件のコメントがあります。

  1. welfare0622 より:

    ハチドリさん、早速のご教示有り難うございます。鈴木さん、是非試し見て下さい。

    私は、hpがプラットホームになり、この様なやりとりが出来ることを望んでいたので、今回のやり取りはとても嬉しいです。こうやって小さな話題が広がり、様々な思いがけないことを引き出す場になって頂けたらとても嬉しです。

    ハチドリさん、鈴木さん、有り難うございました。

  2. 鈴木郁子 より:

    わ~い!
    永久保存版レシピにします。
    季節の野菜の出盛りを待っての仕事ですね、毎年の仕事にしたいと思います。
    ハチドリさま、早速ありがとうございました。

  3. ハチドリ より:

    鈴木郁子さま

    ありがとうございます。
    柚子胡椒は材料さえあれば、とてもシンプルにできます。柚子と聴くと黄色を思い浮かべるかもしれませんが、黄色になる前の緑の柚子を使います。

    材料 : 適宜量は加減してください。
    ○緑の柚子10個⇒緑の皮の部分を剥いて75gくらい
    ○青とうがらし⇒ヘタと種を取って75gくらい
    ○塩⇒柚子の皮ととうがらしを合わせた重さの20%
    作り方 :
    ①青とうがらしの皮を剥きます。白い綿の部分は苦味があるので出来るだけ入れないようにします。おろし器でおろしてもオッケーです。
    ②青とうがらしのヘタを取ります。激辛が苦手な人は種を取った方が良いです。辛いのが平気なら種も入れてオッケーです。
    ③①②をまな板の上でとにかくとにかくなめろうを造るみたいに細かくするか、フードプロセッサーに入れて細かくするか、私はミキサーでやっています。
    ④③に塩と柚子の果汁を少し入れて(最初から塩を入れてもよい)さらによく混ぜます。

    これで完成です。
    小瓶に入れて保存します。
    すぐに食べれますが、数日~一週間くらい寝かせてからの方が美味しいかもしれません。

    鍋、おでん、お刺身、鶏肉の生ハム、ステーキなど、何にでも合います。そろそろ青柚子が手に入る時期ですが、是非ぜひ、作って見て欲しいです。

  4. 鈴木郁子 より:

    辛いものがあまり得意ではなくつい避けておりましたが、もっと心がけて食べようと思いました。
    ハチドリさん!どうか柚子胡椒のレシピご伝授くださいませ。
    先生、お願いしてください。

  5. welfare0622 より:

    コメント有り難うございます。
    高齢者介護の経験のある方は、誤嚥性肺炎については日常的なリスクとして、特に関心が高いと思います。ご指摘のように、「口腔ケア」はとても大切ですね。自分で又は介護者が出来る最も大切かつ日常的にできる予防策です。是非現場で、広めて下さい。

  6. 鈴虫 より:

    誤嚥性肺炎は怖いです。
    歳を重ねても口から食べることの楽しみが脅かされないように、口腔ケアの大切さもっとひろめなくては。

  7. ハチドリ より:

    興味深い情報をありがとうございます。

    カプサイシンが誤嚥防止に有効なんですね!?
    嚥下反射が良くなるのでしょうか。私も辛いものを食べる時はササッと飲み込むと言うより、食べ物をたくさん口に入れられないから、よく噛んでしっかりゴクンと飲み込んでいるような気がします。
    私の畑では、今年初めて植えた唐辛子が元気に顔を出していて、いろいろな料理に使っています。青柚子と青唐辛子で柚子こしょうを作るのも楽しみです。鍋に最高なんですよね~。上手に唐辛子を使っていきたいと思います。
    そういえば、辛みがあると薄味でも美味しく感じられるとか。健康的ですよね。

    誤嚥性肺炎は特に寝ているときに起きやすいと聴いたことがあります。朝はスッキリ気分爽快のために、日中は口腔内を潤し、寝る前は歯周疾患や誤嚥性肺炎の予防をするためにもしっかり歯磨きをすることは大切ですね。

    いつから?今でしょう!!(古っ)

    1. welfare0622 より:

      ハチドリさん、コメント有り難うございます。自家製の青唐辛子と青柚子でつくるゆず胡椒、最高ですね。其れを使って鍋とは何と風流な!おまけに嚥下反射が鍛えられます。加えて日常的な口腔ケア、正に「今でしょ!」

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