中山平温泉で湯治、しかし・・・。

退職したら、やりたいと思っていたのが、四国八十八ヶ寺巡拝と湯治です。四国八十八ヶ寺巡拝は、今年の4月に無事結願してきました。今回は、もう一つの念願だった「湯治」を中山平温泉(旧鳴子町)で7月17日(土)から25日(日)までの8泊9日の日程でしてきました。

湯治の場として選んだ温泉宿は、あすか旅館(宮城県大崎市鳴子)です。飲める温泉の宿として全国に知られている旅館で、泉質はアルカリ性単純泉です。湯治している間、多くの人が飲める温泉を求めて来ていました。

あすか旅館には、「旅籠」(はたご)と呼んでいる食事付きの部屋のある棟と私のような湯治をする人向けの自炊棟があります。自炊棟には、各部屋に冷蔵庫を備えた台所が付いています。その台所には、上水道と熱い飲める温泉が付いています。部屋は6畳ほどで冷暖房設備が整っています。相当、経年変化がありますが、私には何の問題も無く快適に過ごせました。

湯治の最大の関心事である温泉は、前述のように無色無臭のアルカリ性単純泉です。若干肌がしっとりする感じがあります。今回は、湯守の方が体調を崩してお休みしており、急遽呼び出された方が番頭をしていました。この為、温泉の温度管理は不慣れな様子で、熱かったりぬるかったりで、丁度良い感じで湯につかれたには、片手で済む程度でした。その意味では、少々残念な湯治でした。

一方、毎日の過ごし方は、ひたすら食べて寝ていました。いわゆる三食昼寝付きの極楽のような時間です。食事は、朝に取れた山菜が食卓に並び、五穀米で炊いたご飯に新じゃがや大角豆(ささぎ)等が入った具沢山のお味噌汁。それに、メインのお魚やハーブで香り付けしたお肉が加わり、夕食には赤ワインがつき、毎食ディナー状態です。お陰様で、4月から始めたダイエットが、すっかり無駄になる贅沢な食事を頂きました。特に、朝取り山菜は、爽やかな苦みが新鮮さをより一層感じさせてくれます。

朝には、付近を1時間ほど散歩しました。宿から少し歩いた所に、中山遊歩道という小道が有り、杉林や雑木林の中をノルディックポールを持って歩きました。足下は、落ち葉がそのまま何の手も加えられていない状態で積み重なり、スポンジのような感触があります。早朝の空気は、真夏にもかかわらず少しだけひんやりしており、ふんだんは意識しない生まれたばかりの空気の存在を感じながら小一時間歩く散歩でした。

湯治を始めて三日目の朝、中山遊歩道に向かう途中のアスファルト敷きの散歩道で転倒してしまいました。チョットしたくぼみに左足をひっかけつまずいてしまったのです。下り坂でつまずいてしまったので、大きくバランスを崩し、強く右半身を道路に打ち付けてしまいました。両手にスキーのストックを持つようにベルトを巻き付けて長いポールを持っていたので、ポールが身体から離れず、受け身もできない状態で道路に身体を打ち付けてしまいました。転倒というより転落といった感じの転び方でした。全身に痛みが走り胸が苦しく、数分起き上がることができませんでした。その時は、両手で身体を持ち上げ立ち上がり、散歩を続け宿に帰りました。

しかし、時間と共に右腕が上がらなくなり、左手に力が入らなくなってしまいました。身体を動かすと右の肋骨付近に痛みが走ります。午前中は、「打ち身には湯治」等と楽観視していたのですが、ADL(移動・排泄・食事・更衣・洗面・入浴などの日常生活動作(Activities of Daily Living))が厳しくなり、午後に診療所に駆け込みました。左手、右腕及び右脇の三ヶ所をレントゲン撮影して受けた診断が、右肋骨の骨折でした。骨が壊れることを骨折と言いますがヒビが入ることも骨折となるようで、私はビビの入った状態のようでした。痛み止めの服薬は、薬疹の可能性があるので比較的弱めの薬、湿布は負けて皮膚が赤くただれるので塗り薬を処方してもらいうなだれて帰ってきました。

こんな状態での湯治でしたが、毎日たっぷり睡眠を取り、お昼寝付きの美味しい食事を頂き、少し痛いけど穏やかな時間を過ごすことができました。当初考えていた、これまでの出来事を振り返るということはできませんでしたが、穏やかな暮らしとはどの様な感じなのかを実感した9日間でした。非日常の中で求めていた日常を感じた、そんな印象を持った数日でした。

当初、HPは湯治の様子を現地から発信しようと考えていました。WiFi環境が整っていないことはある程度想定していたので、携帯のテザイング機能を使ってインターネットのとの接続を試みたのですが、通信状態が安定せずできませんでした。そんなわけで、長い空白の時間を作ってしまいました。

それにしても転倒して骨折、何としたことか。湯治をしながらオリンピックの開会式を観る。それも、左脇の痛みを抱えながら。色々な意味で記憶に残る湯治でした。

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です