被災地の記憶を忘れない写真展「Home~あの時を刻んで」
在仙(仙台市青葉区)の写真家が東日本大震災を題材にした写真展を宮城県美術館県民ギャラリーで観てきました。南三陸町の人々や、南三陸町にあった特養の写真があると新聞記事にあったので、プロの視点は何処に向くのか知りたくて行ってみました。
49点の作品には、それぞれコメントが記載されてましたが、そのコメントから作者の意図は十分にくみ取れないでいました。そうしているうちに、写真家本人による説明があり、それを聞いて作者の意図や想いをくみ取ることができました。写真に付されていた「生と死」「祈り」「復興への願い」等々の、言葉に込めた作者の視点や何を持ってその言葉を紡いだのかを知る事ができ、さすがにプロは違うなって感じました。
3.11の慰霊祭に参列している人々の影で時の長さを表現したり、海を見つめる背中に悲しみや祈りを表現したりと、プロならでの技術と切り取る視点の鋭さを感じました。私も、同時期に南三陸町にいたので、同じ場所を見ています。でもこうはいかない、素晴らしい作品でした。
当時の私は、研究者の意識としては、しっかり記録しておきたいと思ったのですが、シャッターを切ることができずに、ただ立ちすくむだけの場合が多く残っている写真は少ないのです。特に、被災者にカメラを向けることはできず、ほとんどありません。あるのは、未来を築く子どもの笑顔を意図的に撮った記憶が有ります。
東日本大震災の記憶をしっかり繋ぐためにも、こうした方々の作品を伝え残すことはとても大切だと思います。他者の視点を感じながら、当時、自分は何を感じていたのかを思い起こす良い機会になりました。
下にあるのは、私が南三陸町で撮った2011年中の写真の一部です。