身近にあった新型コロナ感染症対策費用負担
診療所の待合室で、「お知らせ」を何気なく読んでみた。そこには、「4月から『医科外来等感染症対策実施加算』8点を加算させて頂いています」。とあった。これは調剤薬局でも同じで『調剤感染症対策実施加算』4点が加算されていた。知らなかった。
医療は、心身の安全安心を守るためには大切な社会資源だから、感染対策に対するお金の負担の加算はあってしかるべきと思っている。でも、その他のお店では、感染対策のために商品の値上げをしたという話は聞いたことが無い。銀行でも郵便局でもコンビニでも、同じように感染対策をしているが、そんな告知は聞いたことも見たことも無い。なんで医療だけが特別扱いなんだと疑問に思った。社会生活に不可欠な社会資源というのであれば、教育等も同じだろう。学校から感染症対策費用として特別徴収が始まったなど聞いたことない。介護施設等では、エセンシャルワーカーの皆さんが神経をする減らして感染症対策を頑張っている。でも介護感染症対策加算(利用者減少に対する経営支援は制度化された)は聞いたことが無いから、やはり医療だけが特別扱いだ。
社会全体が、感染対策に関する費用を負担し、できるだけ早くかかる状態を克服する社会的コンセンサス(合意)が必要なのではないでしょうか。リスクコミュニケーション(Risk Communication)という言葉があります。私たちの社会には、様々なリスクがあり、社会を取り巻くこれらのリスクに関する正確な情報を、行政、専門家、企業、市民などのステークホルダー(利害関係者)である関係主体間で共有し、相互に意思疎通を図ることをいいます(合意形成のひとつ)。
私たちは、社会生活を安心安全な中で営める為には、それを維持するための何らかのコストが必要です。租税負担という方法で国民が等しく負担するのか、受益者負担という個人に負担させるのか、様々な負担の方法があります。私たちは、負担の是非も含めて相互に意思疎通を図りながら、負担の在り方を考えていく必要があるように感じます。今回のことは、私が知らなかっただけで、多くの人にとっては周知の事実なのかもしれません。今日、診療報酬明細というのを見て、図らずもリスクコミュニケーションという言葉を思い出しました。