三日目(4月21日)徳島県阿南市から高知県高知市まで

三日目は、二十三番札所薬王寺(やくおうじ)から三十番札所善楽寺(ぜんらくじ)までの8ヶ寺を巡拝しました。宿泊は、高知市にあるすこしばかりリッチなホテルです。

高知のお遍路道は、太平洋を左に見ながら海岸沿いを長い時間走ります。深い青色の海と岩場に打ち付けて砕ける波の白いしぶきが、青空の下で眩しく輝きます。歩き遍路は、一日で約20㎞歩くそうです。高知では、札所の間が80㎞もある所が数ヶ所あります。車では、2時間足らずで届きますが歩き遍路では4日間を要します。歩き遍路は想いの信仰心や思いの深さが違うように思います。

高知(土佐の国)に入ると、お遍路は「修行の道場」といわれます。霊場間の距離が長くその間の自問自答がそう呼ばせているのでしょう。長い道をただひたすら何日もかけて次の札所まで歩き続ける。この長い遍路道では何を考え何を祈りながら歩くのだろう。まさにそこに「修行」を感じる時があるのだろうと思えました。たまに追い抜いていく歩き遍路の方を見ると、なんとはなしに手を合わせてしまいます。

二十三番札所薬王寺から二十四番札所最御崎寺(ほつみさきじ)迄は約80㎞、車で2時間もかかります。修行の道場を実感する場所です。この間の最御崎寺手前に、弘法大師悟りの地「御厨人窟」(みくろど)があります。807(大同2)年、唐での修行を終えた弘法大師は、再びこの室戸岬を訪れ、難行苦行を重ねて虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)の修行をしています。また、その左手にある神明窟で難行を積んだと伝えられ、その最中に明星が口に飛び込み、この時に悟りが開けたと伝えられています。

御厨人窟から見える海は、当事からするとだいぶ後退し、国道を挟んだその先にあります。当事は、御厨人窟の直ぐ近くが海岸で、この洞窟から見える風景は空と海のみで、ここから「空海」の法名を得たとされています。

二十四番札所最御崎寺には叩くと音が極楽浄土まで届くといわれる鐘石などの見所があります。何といっても今日は、移動距離が長く修行の道場を実感することが一番の印象です。また、弘法大師の悟りの地、御厨人窟と青い海と空は、当事を彷彿とさせるに十分な景観でした。

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