一日目(4月19日)香川県高松市から徳島県阿波市まで

初日は、一番札所 竺和讃一乗院霊山寺から始まり十一番札所金剛山一乗院藤井寺までの11ヶ寺を巡拝しました。宿泊は、七番札所光山院蓮華院十楽寺にある宿坊でした。

弘法大師空海と何らかの縁のある寺を巡るお遍路(巡拝)は、拝礼の作法や所作があります。納め札というのがあって、住所と名前を書いてお寺に納めます。また、写経をしている人も納めてきます。拝礼は本堂と太子堂の二ヶ所にそれぞれお線香とろうそくを立て、その後に、先達や経験者の後を続いて読経します。なんといってもこの読経を主とした勤行が難しい。

勤行は、祈願文(きがんもん)から始まり(毎朝はじめの札所でだけ唱える)、開経偈(かいきょうげ)、懺悔文(ざんげもん)、三機(さんき)、三竟(さんきょう)、十善戒(じゅうぜんかい)、發菩提心真言(ほつぼだいしんしんごん)、三摩耶戒真言(さんまやかいしんごん)、仏説摩訶般若波羅密多心経、光明真言(こうみょうしんごん)、ご本尊御真言(ごほんぞんごしんごん)、高祖寳号(こうそほうごう)、回向文(えこうもん)で終わります。10分から15分くらいの時間をかかります。

本堂と太子堂の二ヶ所で約20分から30分になります。お線香を立てたり読経したりで平均一ヶ寺約30分程度の拝礼になります。読経はとても早いスピードで読みます。さらに、ひらがなで書かれた御真言は思うように読めず、私の場合は、最後までしどろもどろでした。

この為、様々な拝礼の作法に気が取られ、周りを観察する余裕は全くありませんでした。また、持ち慣れない金剛杖を忘れないように気が気ではなく、駆け足での拝礼になっていました。

とはいえ、読経を終えたその後に、それぞれのお願いをすることになりますが、その時間だけは、心静かに、これまでの人生やお世話になった方々への感謝、そして残り少ない人生へのお願いをすることができました。

第一日目で印象にあるのは一番札所霊山寺(りょうぜんじ)です。お遍路の長い旅が始まる最初のお寺ということと、本堂の天井に埋め尽くされた灯籠が荘厳な気持ちにさせてくれました。

徳島県(阿波国)の巡礼は「発心道場」といわれています。巡礼の旅の始まりで、巡礼の旅を踏み出す動機や願いの根底にある様々な想いを思い起こし、長い時間をかけて手を合わせました。

霊山寺の縁結び観音、二番札所極楽寺(ごくらくじ)の樹齢1千100年以上の長命杉、十番札所切幡寺(きりはたじ)から十一番札所藤井寺(ふじいでら)に向かう遍路道には、川が大雨で増水したときには、橋が川に潜ってしまう幅員約3mで欄干もない潜水橋があります。十番札所切幡寺(きりはたじ)は、山麓の山門から境内までをつなぐ333段の石段が周りの環境に溶け込み、周辺の自然環境に包み込まれたお寺といった感じがしました。また、このお寺には、弘法大師に衣を提供し観音となったというきりはた観音があります。

一日目の宿泊場所は、七番札所十楽寺(じゅうらくじ)に併設された宿坊「光明会館」です。この宿坊は、民宿とビジネスホテルの中間といった感じで、これまで持っていた宿坊のイメージよりは遙かに快適な宿泊施設でした。朝6時半からのお勤めは、これまで経験がなかったのでとても新鮮で、お遍路をしていることを実感させてくれました。私達のお遍路(巡礼)の旅の安全を祈願して頂きとても心強く感じました。また、堂内で焚かれているお香は、身体全体を包み込んでくれるような感じがして、心が癒やされました。

慣れていないからあたりまえなのかも知れませんが、追われるように歩いている感じで、まだまだ祈りの境地には至っていない感じのまま一日が終わりました。

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

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