希に見る画期的な判決
旧優生保護法による不妊手術に対する最高裁判所大法廷で統一判断が示されました。旧優生保護法は違憲とし「国を免責することは著しく正義・公平に反する」として、国に賠償を命じています。
この判決には、最高裁判所の異例とも思われる真摯な反省が語られています。最高裁判所が自ら確立した「時の壁」を新たな判断大幅に改正し、原告以外の被害者も含めた全面救済への道を拓いています。時の壁は、法律で明記されたものではなく、他ならぬ最高裁判所が1989(平成元)年に民法を解釈して確立したものです。
2018(平成30)年に国家賠償請求訴訟が起こされ、問題が明るみに出ると、被害者に一律320万円支払う一時金支給法を議員立法で成立させていますが、国は、国に賠償を命ずる判決に上告を続けていました。これまで、国が支払おうとしたのは、あくまで国の非を認めない「お見舞い金」という姿勢で補償ではありませんでした。今回の最高裁判所判決では1,650万円の「賠償金」となっています。金額それにお見舞いではなく賠償金という大きな差があります。
旧優生保護法は違憲とする判断は、大法廷裁判官15人全員一致の意見と言います。旧法が、当時の社会状況を考慮しても、自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由を保障した13条、法の下の平等を定めた14条1項に反すると断じています。更に、旧優生保護法の立法自体が違憲とも指摘しているのです。
これほど踏み込み真摯に反省している最高裁判所の判決は、私の知る限りでは極めて希です。そして、この判決を引き出したのは宮城県仙台弁護士会です。旧優生保護法による人権侵害にいち早く取り組み(2013(平成25)年)、違憲判決を引き出すまで長い歳月をかけて2024(令和6)年7月3日に違憲判決を勝ち取ったのです。
お時間が有れば河北新報7月4日を読んでみて下さい。
前代未聞の人権障害!!
旧優生保護法による優生手術などを受けた人に対して、国から賠償金として、一時金(一律320万円)が支給されることが、広報8月号に載っていました。
請求期限は令和11年4月23日までとのことです。
1950年代から1990年代に同意なく不妊手術が行われていた方々は、今は50歳以上〜90歳前後になっていらっしゃると思います。
請求する際には、手術を受けた際の手術痕が残っているかどうかの医師の診断書が必要になるとのこと(心理的ストレスが大きい場合は添付を省略することも可)です。当事者の方々のことを考えるとなんともやるせない、悲しい気持ちになりますが、国に対して賠償命令が下されたことは、正義のための戦いに終止符が打たれということですね。
宮城県仙台弁護士会の皆さんの活躍は素晴らしい!ありがとうございました。
どうか、この情報が、当事者のみなさんにちゃんと届きますように!
旧優生保護法における強制不妊手術に違憲の判断が下されました。
最高裁の15人の裁判官が全員一致で判断したと知って、国に対して反省と謝罪の機会を与えたことに敬意を表したいと思います。たとえ国を相手にしても「正義は勝つ」ことを示してくれた判決にスカッとした思いです。
旧優生保護法は国という絶対的権力が強者の理論を振りかざして、自分達と違う人々を劣性と決めつけた。なんと非人道的な法律だったのでしょう。
そもそも誰を基準に優生、劣性と判断されたのでしょう。それは誰が線引きをしたのでしょう。
あなたは優れた上等な人間を知っていますか、私には皆同じ人間に見えます。
2022年10月、仙台高裁の証言台に立った元宮城県知事浅野史郎氏がこの様に発言しています。最高裁が違憲と判断するより以前の発言です。
「なぜ(この問題に)気付けなかったのか忸怩たるものがある」
忸怩たるものとは(自分の言った事、やったことがとても恥ずかしい、深く恥じ入る)という意味だそうです。
これこそが心の奥からの反省の言葉と受け取りました。
かつて浅野元知事が宮城県政の舵取りをして下さったことを、あらためて私は誇りに思います。
強制不妊手術の犠牲になり人権侵害されて来た方々の、人権回復と心の安寧が取り戻されることを心よりお祈り申し上げます。