全世代型社会保障構築会議 議論の中間整理(令和4年5月17日)其の一
全世代対応型の持続的な社会保障制度を構築する観点から、社会保障全般の総合的な検討を行うため、全世代型社会保障構築会議が開催されています。この会議は、内閣官房全世代型社会保障構築本部事務局が所管し、令和3年11月9日に第一回目が開催され、令和4年12月7日で10回目の会議を重ねています。座長は、増田寛也日本郵政株式会社取締役兼代表執行社長(元総務大臣、前岩手県知事)です。増田寛也氏は、「地方消滅-東京一極集中が招く人口急減」(2014中公新書)で「896の市町村が消える前に何をすべきか」と私たちに問うています。
今年の5月に議論の中間整理が公表されているので、皆さんと読んでみようと掲載するものです。日本の社会保障制度がどの様な方向に行こうとしているかを知る事も必要ではないかとも思いからです(内閣官房のhpから引用しています)。私のコメントは最終掲載時に行います。
1.全世代型社会保障の構築に向けて
○「成長と分配の好循環」を実現するためには、給付と負担のバランスを確保しつつ、若年期、壮中年期及び高齢期の全ての世代で安心できる「全世代型社会保障」を構築する必要がある。
・そのためには、今後、生産年齢人口が急速に減少し、働き方やライフスタイルの多様化が進む中で、少子化を克服し、持続可能な経済及び社会保障制度を将来世代に伝えていくため、社会保障制度の担い手を確保するとともに、男女が希望どおり働ける社会をつくる「未来への投資」が重要となる。その中で、特に「子育て・若者世代」への支援を行うことが喫緊の課題であり、さらに、社会経済の変化に即応した社会保障制度を構築していくことが求められる。
・こうした取組により、社会保険をはじめとする共助について、包摂的で中立的な仕組みとし、制度による分断や格差、就労の歪みが生じないようにすべきである。これにより、我が国の中間層を支え、その厚みを増すことに寄与すると考えられる。
○全世代型社会保障の構築に当たっては、高齢者人口がピークを迎えて減少に転ずる2040年頃を視野に入れつつ、新型コロナ禍で顕在化した課題を含め、2023 年、2024 年を見据えた短期的課題とともに、中期的、長期的な課題に取り組む必要があり、各種の課題について、「時間軸」を持って、計画的に取組を進めていくことが望ましい。また、社会保障ニーズや活用できる資源が地域ごとに大きく異なる状況を踏まえ、「地域軸」も意識しながら対策を講じていくべきである。
○その際には、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっているこれまでの社会保障の構造を見直し、将来世代へ負担を先送りせずに、能力に応じて皆が支え合うことを基本としながら、それぞれの人生のステージに応じて必要な保障をバランスよく確保することが重要である。
○こうした基本的な考え方を、世代間の対立に陥ることなく、全世代にわたって広く共有し、国民的な議論を進めながら対策を進めていくことが重要である。今回の中間整理は、こうした観点を踏まえつつ、まずは、子育て・若者世代に焦点を当て、「未来への投資」を中心に進めてきた議論を中間的に整理したものである。
2.男女が希望どおり働ける社会づくり・子育て支援
○「子育て・若者世代」については、「仕事と子育ての両立」の観点から、種々の対策が講じられてきているが、今なお、子どもを持つことにより所得が低下するか、または、それを避けるために子どもを持つことを断念するか、といった「仕事か、子育てか」の二者択一を迫られる状況が多く見られる。「仕事と子育ての両立」を図るため、早急に是正されるべきである。
・このため、妊娠・出産・育児を通じて切れ目のない支援が包括的に提供される一元的な体制・制度を構築し、男女の働き方や子どもの年齢などに応じて、育児休業、短時間勤務、保育・幼児教育などの多様な両立支援策を誰もが利用でき、それぞれのライフスタイルに応じて選択できる環境を整備していくことが望ましい。
○まずは、既に決定された各種の取組を着実に推進していく。具体的には、
・男性の育児休業について、本年 10 月に施行する「産後パパ育休制度」の十分な周知と検証を行うとともに、本年4月に施行された改正育児・介護休業法による労働者への個別の周知・意向確認、雇用環境整備の措置の履行確保、不利益取扱いの禁止の徹底等により取得日数の男女差の縮小に向けて取得促進に取り組むこと、
・非正規雇用労働者について、育児休業に係る権利を希望に応じて行使できるよう、本年4月に施行された改正育児・介護休業法による労働者への休業の意向確認、雇用環境整備及び有期雇用労働者の取得要件緩和等の着実な実施に取り組むこと、
・短時間勤務制度についても、キャリア形成に配慮しつつ希望に応じて利用できる環境整備を図ること、
・「新子育て安心プラン」等に基づく保育サービスの基盤整備や放課後児童クラブ
の整備等を着実に実施すること、
・本年4月から保険適用された不妊治療について、実態の調査・検証を行いつつ、活用を促進していくこと、である。また、妊娠・出産支援として、出産育児一時金での対応をはじめとして、経済的負担の軽減についても議論を進めることが求められる。加えて、短時間労働者等が保育を利用しづらい状況の改善や男性の家事・育児参加に向けた取組をさらに進めることが求められる。
○そして、子育て・若者世代が子どもを持つことによって収入や生活、キャリア形成に不安を抱くことなく、男女ともに仕事と子育てを両立できる環境を整備するために必要となる更なる対応策について、国民的な議論を進めていくことが望まれる。その際には、就業継続している人だけではなく、一度離職して出産・育児後に再び就労していくケースも含め、検討することが重要である。
○また、今通常国会にこども家庭庁の創設に関する法案及び児童福祉法等の改正法案が提出されているが、これらを含め、子どもが健やかに成長できる社会の実現に向け、様々な事情を抱えた子ども・妊産婦・家庭をはじめ、子ども・子育て支援の強化を検討すべきである。
『日本の社会保障制度がどの様な方向に行こうとしているかを知る事も必要ではないか』とのこと。
そうですね。どのような方向に行こうとしているのか私もかじってみたいと思い、アップしていただいた『議論の中間整理』を読んでみました。が、数回読んだだけではわからないというのが正直な感想です。
早く、先生のコメントを読んでみたいですが、一般人の私でも、少しでも「こういうことか~」とイメージできるようになりたいです。