干し柿を世に出せない(福島の現実)
河北新報の記事に以下のような内容が掲載されていました(2022/12/05)。「東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県内の農産物の出荷制限や自粛が始まって11年が過ぎた。大半の農産物の出荷制限や自粛は解除されたが、干し柿は放射性物質が国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えるため、今も福島市周辺で加工自粛が続く。「悔しくて涙が出る」。生産者は自慢の産品を販売できないもどかしさを募らせながら、今年も柿を土に埋めた。」と。
私たちは、この「悔しくて涙が出る」をどう受け止め、どの様にこの現実を生かせば良いのでしょうか。先ずは、どうしてこの様に事態になっているのかを正確に知ることが必要ではないかと思います。
解説はハチドリさんにお願いしましょう。ハチドリさん無茶ぶりで申し訳ありません。社会学特講「リスクコミュニケーション」として受け持って下さい。どなたか「大変なことが起きてるよ」ってハチドリさんに教えて下さい。きっと、リアルタイムで読んでいないと思うので。
ハチドリさん
放射能について詳しく噛み砕いて教えて頂きまして、ありがとうございます。
これはノートに書き写してよくよく理解しておかなければと思います。
これまでもハチドリさんは、これだけの知識と情報を機会ある毎に粘り強く、たくさんのひとに伝え続けてこられたのですね。
きっと毎回身を乗り出してお話を聴く人ばかりでは無いでしょうに、その地道な活動に頭が下がります。
「大切なことは、正確な情報で物事を見聞きし判断することの大切さです。そして、それを多くの人と語り合い、互いの不安や誤解を皆で解き判断していくことです。」
とお話してくださり、私もその様な姿勢で物事の本質を理解するように努めたいと思いました。
今回の『干し柿を世の中に出せない』の記事と写真から直ぐに頭をよぎったことがあります。
震災前より三陸海岸から外国に高値で輸出されていたホヤが、販路を断たれ全て焼却処分されたという事実です。
漁民達が生業として3年掛けて育てたホヤを処分するために収穫することは、どれほどの悔しさややり切れなさだったことでしょう。
そのホヤは原発事故にまつわる風評被害の犠牲になりました。
福島の大地に埋められた柿も同じですね。
私達に正確な情報を共有するシステムさえあれば、誰もこの様な理不尽なめにあわなくて済んだはずですが、本当に残念なことです。
きっと様々な場面で多くの人が、正確な情報の共有を必要としているに違いないのに、未だ実現しないのはいったい何故なのでしょうか。
私達に今直ぐから出来ることは、これらの話から目を背けずに多くの人と話すことです。そして難しい問題にも関心を寄せ続けることによって皆が正確な情報を得るように努め、さらには正しく判断することに繋がっていくのですね。
今回も、とても大事なことを考えさせていただきました。ありがとうございました。
鈴虫さん、私、ホヤが大好きでたまりません。以前、宮城にいたときに大きな袋にたくさん入った南三陸産のホヤを志津川方面から売りに来ていたおじさんがいました。私は必ず二袋は買い、外の水道で裁くのですが、子どもたちが寄って来てはペロッと食べて行くのです。ついでに私もペロッ😋。なので夕飯用のザルに残るホヤはわずかでした。
そのホヤが原発の風評被害の犠牲になり、処分されたのですか?何と言うことでしょう😥実際にどれくらいの放射能があったかわかりませんが、たぶん、ただ福島県の隣の海というだけてシャットアウトだったのでしょう。悔しくて震えが止まらなかったことと思います。
原発事故があってから数年は、確かに訳がわからず避難生活に翻弄され、私たちも普段考えたこともなかったことだったから「正しいとは一体どういうことなのか」もわからなかったのだと思います。それにしても正しい情報を知らないがための無知による風評被害で起きた被害も大変な損失でした。
私が福島に行った8年前は「国の言うことなんか信用できない!」と言う住民の声はとても大きかったんです。住民も聞く耳を持たなくなっていた感じで、その間、大切な時間がどんどん、ただ流れていったような気がします。
福島県には、美味しい農作物が沢山あります。米、野菜をはじめ、桃、さくらんぼ、りんごといった果物など、生産量も日本で有数ですし、その品質も大変優れています。しかし残念なことに、福島県産というだけで、放射能への不安から、たとえ安全な農作物であっても買い控えるという方が、今も2割いらっしゃるそうです。そのお話を講演してくださった先生は「でも、その2割の人に考えを何とか変えてもらおうとするより、8割の人に福島の物はこんなに美味しいんだよともっともっとPRし、知ってもらう取り組みを頑張った方がいい」とお話をしてくださいました。それを聴いて、ちょっと目が覚めた感じがしました。
鈴虫さんのコメントにあった『私達に正確な情報を共有するシステムさいあれば』と言うこと、本当にそうだと思います。私たちって興味関心があればその話題のことを調べたり知ろうとしますが、そうでないと食わず嫌いで頭に何にも入ってこないことも多々ありますよね。放射線のことも、私は福島に来なければ全然わからないとだったと思うんです。
でも、福島で起きた原発事故は実に様々な影響をもたらしました。先生が先日書かれていたように、女川原発で同様なことが起きたら、まず、何からしなければならない?きっと自治体では測定器は貸してくれるはずだから、どのくらいなら安心なのかなど、日頃から考えたりすることもとても必要な気がします。
私はまずは頑丈な建物に入り、むやみに逃げず、どっちに逃げたらいいか情報を待つ、車のガソリンは常に満タンに!ですかね。
また、長くなってしまいました。ごめんなさいね、鈴虫さん😅。でも、読んでくれてありがとうございます。
ハチドリさんの現地からの報告と先生からの問題提起のおかげで、私は福島県のみなさんがおかれている現状を知ったり、私ならどうするかと考えたりする機会になっています。
もし女川原発で何か起きたら、私達はしっかりと福島からの学びをいかすことが出来るのだろうか。その様な事を考えるきっかけをこの場で頂いていることが有り難いです。
ハチドリさんがコメントの中で時々つぶやかれる独り言が、私自身の疑問や気づきと度々リンクしたりすることも、私が福島県の出来事をより身近に感じながら興味深く読ませていただく所以です。
是非、これからも喜怒哀楽を織り交ぜながらの現地レポートをお願いしたいと思います。私もそれらの話題に絡めながら自分の地域の話題をお届けしていきますね。そんなコメントのやり取りに対して、みなさんから「へぇーそうなんだ」とか「知ってるしってる」と交ざって頂けたら、さらに生きた情報交換になるのではないでしょうか。
ハチドリさん、今日もありがとうございました。
この動画は、今年のものでしょうか?
記事の最初にあった『干し柿は放射性物質が国の基準値(1キロあたり100ベクレルを)を超えるため、今も福島市周辺で加工自粛が続き、今年も柿を土に埋めた。』という内容。それは悔しくて涙が出るでしょう!原発から遠く離れた福島市周辺で??ただただ、悲しさと残念さで、唖然としてしまいました。
このプラットホームには様々な考え、意見をお持ちの方が集っていらっしゃると思います。なので、何か結論を出すと言うことではありませんが、「干し柿の放射能が高いってどういうこと?」を皆さんで考えるきっかけとなればという想いで、ちょっと長くなるかもしれませんが、情報を書きたいと思います。どうか、お時間のあるときにゆっくり読んでいただけたら幸いです。
ほんとは、これらの情報をもとにいろんな意見を出し合って、みんなで「あっ、そっか」とストンと腑に落ちるようになることができれば、それがリスクコミュニュケーションの目指すところです。ですが、ここではそれが難しいので、ここで起きたことをお話しします。
まずは、言葉の意味からです。
・放射性物質とは、放射線を出す能力(放射能)を持つ物質のことです。本来格納されている放射性物質が、福島第一原発の爆発事故で空中に出てしまいました。そして、目には見えない、臭いもない粉のような放射性物質は、風に乗ってあちらこちらを浮遊し、地上に降り注ぎました。宮城県にも岩手県の方にまでにもです。
・放射能の単位は「ベクレル(㏃)」と言います。
・そこから出る放射線を人が浴びた時の単位は「シーベルト(㏜)」と言います。
・長さの単位はメートルmで、1m=1000mmですよね。線量も1ミリシーベルト(m㏜)=1000マイクロシーベルト(μ㏜)となります。つまり、同じ1でも単位で大きさは全然違ってきます。
・1キロあたり100ベクレルあったとは、例えば仮の例に数字を当てはめて表現すると「干し柿を1kg準備して、放射能を測る検査に出したら100ベクレルありました」ということです。
・事故後、日本は世界一厳しい基準をたて、1キロあたり100ベクレル(最初は500でした)を超える食品は、販売してはだめということにしました。記事にあった『今年も柿を土に埋めた』とはそのためです。自家消費する物に関してはそのような基準はありません。
・国が安全基準を100ベクレルにした理由・想定は、「1日三食、全ての食品に放射能があると仮定し、それを1年間食べ続けたとして、人体に浴びる放射線の被ばく量を1ミリシーベルト以下にしようと考えた結果」なのだそうです。(そんな、毎食、365日、放射能がある物を食べ続けるってことありますかね? と独り言)
・東電の爆発事故が起きる前、もともと日本人は、平均で年間1人当たり2.1ミリシーベルトの自然放射線を浴びていました。それ以外に医療が進んでいる日本では、人工放射線を平均で1人当たり3.8ミリシーベルト浴びているそうです。
・CT検査では、撮る部位によって1回で2.4~12.9ミリシーベルト、胃のバリウム検査では3ミリシーベルト、の放射線量になります。胸のレントゲンは1回あたり0.06ミリシーベルト=60マイクロシーベルトになります。
・ちなみに、100ベクレルある干し柿を一人で1kg全部食べたとします。それを計算すると、100×1kg×0.013(係数)=1.3マイクロシーベルトとなり、胸のレントゲン1回の放射線量の46分の1の線量になります。(実際は、干し柿を1回で何個食べるでしょうね?そう考えると、問題にならないほど全然低い線量になることがおわかりだと思います。と独り言)
・身体に影響が出てくるかもしれないと言われているのは、一度に大量の放射能を浴びた時で、100ミリシーベルト=100,000マイクロシーベルト以上と言われています。
さて、本題の「干し柿の放射能が高いってどういうこと?」についてです。宮城県では、丸森町の方で「ころ柿」という干し柿が有名ですよね。福島でも、あんぽ柿と言って、オレンジ色の、中がトロッとした干し柿が有名です。硬い干し柿が好みの方もいらっしゃるでしょうが、私はこのトロッとした柔らかい干し柿が大好きです。
ここに基準値以下の放射能のある生の柿があるとします。その生柿1kgを干した時に、生柿の状態1kgと比べて、干した柿の放射能は濃くなるのでしょうか?答えは「YES」で、濃くなります。では、なぜ濃くなるのでしょうか?
食品の放射能検査と言うのは、その食品1kgを単位として放射能を測ります。実際は1kgなくても、あったと仮定して計算します。想像してみてください。生の柿1kgあたりの個数と、干し柿にした1kgの個数は同じでしょうか?大きな柿でも、干すと小さな干し柿になり、干し柿が3個くらいで生の柿1個の重さくらいかと思います。
濃くなる理由ですが、何となくわかった方もいるのではないでしょうか?干すと水分が減って、柿の重さが軽くなるため、同じ1kgでも生の柿に比べて干し柿の方が個数が多くなります。柿1個の放射能の量は変わりないので、個数が増えると1kg全体の放射能の量も多くなり、100ベクレルを越すこともあるのです。つまり、干し柿にしたから濃くなるのではなく、1kgあたりの個数が増えるから濃くなるというカラクリです。また、食べたものは排泄されていくので、放射性物資も体内から出ていき、減っていきます。
福島は、販売する物はもちろん、行政でも放射能検査をしている所もあります。なので、日本一、安全・安心な食べ物を販売していると言えるでしょう。(しかし、いつまでこんなことを続けるのか?爆発当初はもちろん、心配、不安な声が絶えなかったと思います、10年以上経ち、現状は見えてきたはずです。旬のものを旬の時期に美味しくいただくことのほうが大切なような気がします。と独り言)
(独り言)は本来、読み手にバイアスがかかるので言わないほうがほうがいいのですが、つい書いてしまいました。すみません、無視してください😅ここで私が言いたい大切な事は、正確な情報で物事を見聞きし判断することの大切さです。そして、それを多くの人と語り合い、互いの不安や誤解を皆で解き、判断できるようにしていくことです。これは、きっと原発事故に限らず、地域で生じる様々な課題解決にも必要な事のように思っています。長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
ハチドリさん
ありがとうございます、一生懸命読みました。
考えることを人任せにして右往左往していてはいけない、今を頑張っている人に幸せになってほしい、あとから来る人の幸せのために出来ることをしていきたいという強い思いを感じました。
ハチドリさんがおっしゃるように放射能については様々な意見があると思います、疲れて思考停止気味でしたが、10年が過ぎてみて振り返りつつ考えを深めてみたいと思いました。
いくこさん、長文を読んでくれたのですね。感謝感激、ありがとうございます。
まったくの無茶ぶりでしたが、私も「宮城県白石市に近い福島県伊達市の干し柿になる柿でまだこんなことが起きてるのか~」とびっくりしたのです。
基準値を少しくらい越した干し柿1キロ食べるのは、胸のレントゲン一回撮るのと比較すると、もう、干し柿の方が断然、圧倒的に被爆線量は低いのです。
私たちは、熱があるかどうかを知るのに「体温計」を使います。血糖値やコレステロールが心配な時は採血をすればわかりますよね。放射線も同様に、心配な量なのかどうかは測定すればわかることなのです。でも「放射線は怖い」と言うイメージだけを残してしまった国の責任は大きいと思います。
けど、いつまでも誰が悪いなど、そんなことばかりも言ってられないので、私たち自身が正しい知識を身に付け、どうしていけばいいのか考え行動していくことも大切なんですよね。
ハチドリさん、詳しい情報をありがとうございます。
①1キロあたり100ベクレルという基準を緩和するには、どのような手順・方法が必要なのか?
②クラウドファンディングで寄付→返礼品として出荷できないのか?
③生柿は基準内だとしたら、生を買ってきて干してから食べたらいいのか?
などの疑問が湧きましたので調べてみようと思います。個人的には現地に食べに行きたいです。
阿部さん、ありがとうございます。
「食品の放射性物質の基準値」と検索していただくと、次の文章が出てくると思います。
『国際基準であるCODEXでは、一般食品の放射性セシウムの基準値は、1,000ベクレル/kg。 日本は、国際的な考え方に準拠した基準値(100ベクレル/kg:一般食品)を設定し、食品の安全性を確保』とあるのですが、この100ベクレルに至った経過は、前述もいたしましたが、毎日放射能のある食べ物を三食(2キロ)、365日食べた時に人体に被爆する線量から求めたと専門の先生から伺いました。
毎食365日はあり得ないから、だったら「たまに放射能が少しくらいあるのを食べて何の影響があるの?」と独り言を言いたくなるのです。
ぜひ、阿部さん自身でお調べになっていただきたいのですが、私が思うところも書かせてくださいね。
①1キロあたり100ベクレルという基準を緩和するには、どのような手順・方法が必要なのか?
例えば、生の山菜やタケノコはあく抜きや茹でればをそれだけでもさがります。焼けば、干し柿と同じで濃くなってしまいます。
また、畑にカリウムと言う肥料を混ぜると、植物は放射状物質のセシウムを吸わないで似た性質のカリウムを吸うそうです。
でも、阿部さんの求めている答えはこういうことではないですよね。
東日本大震災直後の基準値は 、日本は 500ベクレルでした。せめてこれに戻してもらえたら今は野生のキノコ以外はほぼ出荷できると思います。つまり、基準の緩和をするのは国です。実情をよく見ていただきたいなあと思います。
②クラウドファンディングで寄付→返礼品として出荷できないのか?
出荷の基準が100ではありますが、自己責任のもと(こうは書きましたが、胃のバリウム検査やCT検査等と比べたらほんと全然低い数値なんです) に自己消費することにおいては、よほど高い数値でなければ制限はありません。ただし、他人にあげるとなると、やはり国の基準値が引っ掛かってくるかと思われます。
③生柿は基準内だとしたら、生を買ってきて干してから食べたらいいのか?
阿部さん、さすがです。そうなんです。その通りなんです。
柿を作っているあるおばあさんから相談があって、生柿と干し柿の放射能のカラクリを話していたとき、そのおばあさんはご自身で気づかれました。「生だったら問題ないのに干し柿にすると売りもんにならね。だったら、干し柿用として、このまま出せばいいんでねの?」と!
思わず、拍手をしちゃいました。
なんか、変なのと感じてしまうのですが、いつになったら国は基準を緩和してくれるのか。でもトリチウム水を薄めて薄めて海に排出するのを反対しているのは地元漁業の方々です。風評被害があまりに酷かったのでそれを恐れてのようですが、あまりにも話し合いがなされて来なかった結果かと感じています。
ハチドリさん、返信ありがとうございます。
こういう議論をする(リスクコミュニケーション)ことが必要だと、本間先生も言っています。しかし、僕たちで議論していても基準も緩和も、なかなか実現できないのが悔しいところ。
福島県選挙区の国会議員は、衆院9名・参院2名います。9回・10回のベテラン議員もいますが、彼らは国に何か働きかけはしているのでしょうか?全員が自民か立憲所属で、発言力もあるはずです。何のための選挙区なのかと感じます。地域の皆さんから選ばれているのに。
市民による地道なボトムアップを続けていきつつ、議員・官僚にも働きかけていきましょう。食べられるものを埋めるなんて、あってはならない。
阿部さん、なる程、国会議員ですね~🤗
我々市民もリスコミ等で正しい情報をもとにどうしていけばいいのか考えられるようにして、阿部さんが書いてくださったように『市民による地道なボトムアップを続けていきつつ、議員・官僚にも働きかけていくようにしていきましょう』と言う言葉にとても励まされました。次にしたいことが見えました。力強いコメントをありがとうございました。