いい子症候群
聞き慣れない言葉「いい子症候群」。リスク回避、平等重視の「いい子症候群」は、社会現象となっているといいます。若者の間では、リスク回避志向が強く、横並び意識が強い。人前で褒められることも「浮く、目立つ」と嫌がるといいます。
ある調査で、大学生211人に対して行った、「平等」「必要性」「実績」「努力」という四つの選択肢から、どれが最も公平な配分方法と思うかの問いには、過半数が「平等」を支持し、「努力」は25%に過ぎなかった。今の若者の半数は、努力や実績に関係なく「皆同じで構わない」と考えていると、その調査では分析しています。
ではなぜ「いい子」の傾向が強まったのか。理由の一つは、競争を緩和し、その代わりに主体性と協調性両方を育もうとした近年の教育があると分析しています。最近の授業では、話し合いをさせ「個性の重視」と「チームの協力」を二大ミッションとして進めるといいます。
先生は、皆に発言を促し、自分の意見を言わなかったり、他者の意見を遮ったりする生徒は注意をします。授業を成立させるために、自由な議論より協調性を優先する傾向にあります。この繰り返しで、子どもたちは「和を乱さない範囲での個性発揮」という、一種の「型」を身に付けてしまうようです。
こうした傾向は、一見素直で協調性があるが、その実は競争や挑戦が嫌いで、受け身になりがちだといいます。「いい子」は年配者に対する自衛策にもなっている。この為、大人は、自ら様々な課題に果敢に挑戦する姿を若者に見せる必要があるといいます。「予定調和」(人や物事が予想どおり順調に動き、結果もその通りになることを指す)や「寄らば大樹の陰」(同じ頼るならば、勢力のある人のほうがよいというたとえ)的な振る舞いは、本来の子どもたちの能力を生かすことができない(参考:河北新報2022/11/15)。
この記事を読んで、東北学院大学のフィールドワークでNaritaマルシェのおむすびの会に参加したときのことを思い出します。彼らは、居合わせた大人の話を聴き、これまでの「どうせ・・・」という枕詞は一変し本物の大人に魅了された様でした。多くの学生は、その後のレポートで、その時の意識変化を取り上げています。
佐藤くんは、タイトルに「学生は見た!地域と人間の底力」と書き、「地域の未来につい悲観的な見方をしていた自分にとって、『自分の暮らしている地域のために精力的に活動し様としている人の存在』は、とても新鮮で眩しく映りました」と、その衝撃の大きさに触れています(2019地域の課題Ⅱ.93頁)。
私は、こうした学生の学びに触れ、はじめに(まえがき)に「学生は、地域の方々と関わりの中に、信頼に足る大人の振る舞いを見、地域の底力を感じ取っている。大人に対する何処か冷めた感覚や不信感を持っていた学生にとって、このことはとても大きな発見で、これから社会に出て行く学生には、他者との関わりの有り様を変える貴重な機会にあるであろう。」と、書きました(2019地域の課題Ⅱフィールド調査報告書.3頁)。
私たち大人は、子どもたちの未来に責任があります。その責任をどの様な場で、どの様に果たすのかは、人様々だと思います。しかし、その何れにも共通しているのは、子どもたちの未来への限りない愛情とそれを注ぐための大人の本気だと思っています。
そして、そのような場に関われている自分は、何て幸せなのだろうと改めて思うのです。多くの皆さんに感謝しています。
(参考)報告書の題字は、早坂雄峯氏の筆によります。早坂氏は、Naritaマルシェ専属のVaristor及びOriginal Blend 珈琲開発者です。更には習字の師範としてご活躍です。
先生のおかげで学生さんとの交流が出来て楽しい時間でした。
同世代の子どもを持つ母でも、母の立場で話すことはあっても、こうして一人の人間として話すことはなかなかありません、とても新鮮で楽しく感じていました。
真剣なまなざし、少し緊張している様子の真面目な態度、向き合っているだけでこちらが元気になるようで、写真のおじ様方も楽しそうにそして何か彼らのために役立つ話をしたいと一生懸命でした。
みなさん元気で過ごされているかなぁ、陰ながら祈るというおせっかいしてます。
先生、映像編集でお忙しいことこ思いますが、美味しいコーヒーを飲みに(写真を撮りに)来てください、お待ちしています。
Naritaマルシェに学生さんたちが来てくださって、だんだんと瞳に真剣な光が宿り、同時にとても楽しそうになっていく様子をどれほど嬉しく思ったことでしょう!それはこのような地域活動がもつ可能性を何より確かに教えてくれるものですから。
Naritaマルシェの良さは、みんな自分にできることをできる範囲でやっていること、得意分野に関しては率先してやっていること、得意分野の方が不在の時はみんなで「困るよねえ」なんて言いながらなんとか力を合わせること。後から「いなくて大変だったんだから」と伝えることも忘れません。「ごめん、ごめん、今度は行くからね」と言い合えるような信頼関係があること。そういう雰囲気だと思うのです。
ある若者がこの活動に参加して「みんな、私にできることはこれくらいだけど・・・という気持ちでやっている。特別良いことをしているなんてちっとも思っていない」と言っていました。だから「素晴らしい活動ですね」と言われると、みんな一瞬戸惑い、ちょっとしてから「うん、確かにいいよね」という気持ちになる。たぶん「活動」とさえ思っていないからなのではないかと。そう、私も「活動」とは思っていないのです。あえて言うなら「地域の縁側」でしょうか・・・
私はこれからの時代は「競争が嫌い」でかまわない気がするのです。大切なのは、それぞれの持ち味を存分に発揮できるようになること。「主体性と協調性を育む」という方針が悪いわけではないような気もします。でも「主体性と協調性を育む」ということが本当はどういうことなのかがわかっていない、そこに問題があるような気がします。
でも、難しいことは抜きでいい。私たちは、自分たちが「こういうのがいいよね」と思うことを楽しみながらやっていきたいと思います。それが若者の希望になるなら、これ以上の喜びはありません。
OOCの報告記事を読んでくださっているみなさま、評判だったマスターの美味しいコーヒーは月に一度開催している「マルシェかふぇ」で味わうことができます。今月は19日(土)、そう今週の土曜日に開催です。会場はOOC世界大会と同じ成田5丁目会館、時間は1時~4時です。参加費200円ですが、おいしいコーヒーと私たちが仕込んだお味噌で作った「味噌おむすび」と「味噌汁」もご用意いたします。
本間先生、この場をお借りして宣伝しちゃいました。話題提供ありがとうございます。ぜひぜひ先生もお待ちしていますね!
あらためまして、毎年学生さんたちの実習の場に選んでいただけたことに心から感謝申し上げます。