簡単レシピ(アルコール依存対策)
前回(11月07日)は、混沌とした時間を少し超えたところで、2011(平成23)年11月9日、今一度私たちがやるべき事を確認するために行った、南三陸町生活支援員及び支援団体合同の研修会について書きました。今回は、生活支援員の直接的見守り支援とは一味異なる支援について書きます。
毎日の訪問から上がってくる様々な課題の中には、常習的飲酒に関する課題が多く出て来ます。依存的傾向を危惧する内容も多々ありました。その方々の生活状況をよく観察すると、食事を取るのが少々億劫になっている様子や食事が十分取れていない様子もあったのです。
生活支援員さんたちは、何とか食事をしっかり取れるようになれば、アルコールに手を出す機会も少なくなるのではないかと考えていました。この為、男の料理教室なども企画したりしたのですが、なかなか定着しませんでした。
そこで考えたのが、簡単に食事を作れるレシピを開発して、普段食事をつくることが余りない男性でも、低価格で簡単につくれるようにすれば、アルコールへの依存的傾向も防げるのではないかと考えたのです。
簡単レシピづくりは、地元の特別養護老人ホームに協力を仰ぎ、その施設の栄養士さんにレシピ開発をお願いしました。仲を取り持ってくれた職員は、私たちの考えを理解してくれて、栄養士さんの協力や施設管理者の説得に奔走して下さいました。
自分たちの考えを形にするために、他の社会資源に協力を仰ぎ、共に被災者の生活を支える協働の在りかたを学ぶ機会にもなりました。開発した簡単レシピは、数種類にもなり、その全てを応急仮設住宅で暮らす皆さんに、お渡し致しました。また、簡単レビで食事をつくる実践なども行ってもらいました。これによって、劇的にアルコール依存状態が改善された、というエビデンスは持ててはいません。
しかし、見守り訪問だけではなく、被災者の生活スキルを高めると言う支援の方法を見いだしたという気付きはとても大きいように思います。
生活支援員による見守り訪問という支援の仕方は、被災者を受け身にしてしまいます。この為、これだけを充実させても、自律を促す支援には不十分です。この簡単レシピの取り組みは、被災者、特に男性や一人暮らしの方々に対して、生活力を高める支援も平行して行うことの大切さを改めて学んだ事例でした。
懐かしい企画です。先生が地域の資源を上手く活用して、人と人とを繋いでいくという手法を私達に教えてくれ、この様な関わりが広がっていきました。
仮設住宅での交流は女性達は環境の変化に順応しやすく、すんなりと茶話会にも参加できたのですが、問題は男性達でした。何度誘っても茶話会は女の行くところとして出て来てくれません。それならばと色々な企画を提案しても全て失敗。そのうち仮設住宅に自治会が出来て、ようやく俺たちの出番と出て来てくれるようになりました。
この時です、男性の行動には意味付け(大義名分)が必要なことを初めて知りました。環境整備や力仕事などの役割や仕事という場面では、実に生き生きと一生懸命に汗を流す姿がありました。
あとは趣味活動。引きこもりがちだったおじいさんが、将棋の相手を見つけたことでお互いの家を行ったり来たりするようになりました。
脚が悪く、一人暮らしを家族に心配されていたおじいさんが、片道30分もかかるコンビニまで買い物に出かけていました。それは大変な負担だろうとお話しを伺うと、その目的はなんと『お色気たっぷりの雑誌』の購入だったようです。その後私達は、このお宅には、訪問しても家には上がらないことを申し合わせた(笑)、というオチがありました😅
この様に、本人がやりたいという気持ちがあれば、誰が何と言おうと出来るのです。私達が何とかしなければというのは、思い違いでした。
周りに出来ることはほんの少しのお手伝いだけです。
この学びは、その後の仕事においても、常に心に留めて大事にしていることです。
様々な生きた学びがあったこと、先生の記事と鈴虫さんのコメントからとてもよくわかりました。
そう、男性は「意味づけ」「役割」がとっても大事なんです。それは私も地域活動でよーくわかりました。今では私たちの活動は男性が大きな支えとなってくれるところまで辿りつきました。そして本間先生が、この11年間の活動を「男性中心」にしたスライドショーにしたててくださったものがつい最近できたばかり。ぜひ、今度鈴虫さんにも見ていただきたいです。私たちスタッフで試写した時、自分たちの活動なのに涙ぐむ人もいたほど素晴らしいものとなっています。
うまくいかなかったことは、より良い道を見つけるための過程でしかない、と私はいつも思っています。「それなら、どうすればいいのかな?」と考えるような思考になっています。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に「なにがしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでも、それがただしいみちを進む中でのできごとなら、峠の上りも下りもみんなほんとうの幸福に近づく一足ずつですから」という言葉があります。
目指しているものがあるのなら、どの一歩にもちゃんと意味があって、後に俯瞰で見たらすべてが愛しく思えるようになっていると信じています。ですから目指すところは見失わないようにしながら、この一歩ずつを楽しんでいきましょう!
スマイルさん
ご自身の経験からも、地域活動に男性の役割の必要性を実感されているのですね。
先日のOOC世界大会に参加して、成田地区の男性陣がその場に溶け込んでおもてなしを楽しんでくださっている様子に、普段からそこに役割のある活動が熟しているからこそと感じて来ました👏
11年の活動を男性中心にまとめた素敵なスライドショーを私も見せて頂きたいですね、楽しみにチャンスを待ちます。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に「なにがしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでも、それがただしいみちを進む中でのできごとなら、峠の上りも下りもみんなほんとうの幸福に近づく一歩ずつですから」とは、なんて勇気を与えられるありがたい言葉でしょうか。
「どの一歩にもちゃんと意味がある」本当にその通りですね。
今日も目指しているところへ繋がる一歩を刻んできましょう。
ありがとうございました!
宮城にいた頃、健康寿命に関してある大学の先生のお話を聴いたことがありました。
『女性は人の集まりに出かけたり、気の合う人と楽しんだりして張りを持つことが多いが、男性はなかなかそうはいかない。男性の場合は、何らかの役割があることが大切である』と言うようなことを話されていました。鈴虫さんやスマイルさんのコメントを読んで、そのことを思い出していました。
そして、その役割をしたこと、仕事を承認してもらうことが大切で、それが自己実現につながり、そして心身の張りにつながっていくのでしょうね。
ハチドリさんもやはり男性の役割の大切さを実感されているのですね。女性のように、とりあえず参加するということが出来ないという性差を理解していないと、地域活動に男性を引っ張り出すことは難しいのですね。
参加して頂いた後には、しっかりとその事を認めて少し大袈裟な位に感謝をつたえる。その承認欲求が満たされる経験を積み重ねることが、参加する喜びになっていく。もちろんこうした配慮は、男性でも女性でも嬉しいことですね。
地域活動に限らず何事も、お互いを認め合って楽しむことが秘訣ということでしょうか✨
鈴虫さんの最初のコメントに『趣味活動』のことも書かれていました。先日、ねっぱす隊で活動をしようと、ある地域の区長さんのお宅に相談をしに訪問したときのことです。最初のうちは何となく表情が固かった区長さんでしたが、「あなたはどこから来たの?」と聞かれ、「宮城です」と答えると、「宮城?私はクラッシック音楽が大好きで宮城の中新田にあるバッハホールによく出かけていましたよ😃」と、それまでの表情とは違い、とても柔和な笑顔に変身し、雄弁に語り出したのです。
えー、浪江から中新田までって簡単に言うけど、私が宮城に帰る時と同じコースなんだろうな~と思うと、とてもとても遠いのですよ。でも、本当に好きで没頭できるものがあると心も身体もどんどん動いて行くのですね。この区長さん、必ず奥さまを連れて一緒に行かれて(いたようですが、奥さまは「私はクラッシックは趣味じゃないから大変だったのよ(笑)」と。なんて幸せそうなご夫婦なんだろうと思いました💞
ハチドリさん、『宮城』というキーワードをきっかけに素敵なエピソードを聞かせてくれたご夫婦のお話、良かったですね!有り難うございました。この訪問はお互いの距離を縮めるいい時間だったことでしょう。いいお仕事をなさったのですね😊
『バッハホール』と聞いて思い出したことがあります。仮設住宅で避難生活を続けている90歳代の女性が、ハーモニカが好きでいつも吹いているというのを生活支援員が聞きつけました。高齢になっているので何とか、今のうちに仮設住宅団地の皆さんに披露する場を設けようと企画したのが、仮設住宅の縁側をステージに見立てて開催した「縁側コンサート」でした。
そのステージの名は、なんと『バッパホール』👵(笑)きっと先生が写真をお持ちだと思いますよ♫