仏壇のカーネーション

5月の第2日曜日は「母の日」。毎年母親に感謝の気持ちを表す日として、しっかり定着しています。ちなみに、5月5日は子供の日。「国民の祝日に関する法律」によると、子供の日は「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ことが趣旨となっています。実は1週間に2回もお母さんの為の日があります。

母の日の由来は1860年代の南北戦争時代に遡ります。南北戦争は1861年から1865年まで、アメリカ国内で行われた内戦です。当時、ウェストヴァージニア州は北軍と南軍が駐屯する場所で、ケガ人が多く、衛生環境が悪いこと等の理由から、病人も多い状態でした。そこで立ち上がったのがアン・ジャービスという女性でした。

アン・ジャービスは「母の仕事の日」(Mother’s Work Days)というボランティア団体を結成し、衛生環境を整え、敵味方関係なく、病気やケガをしている人々に手を差し伸べ、救いました。アン・ジャービスは南北戦争終結後も医療補助活動や平和活動、そして子どもたちへの教育活動等、多くの貢献を続けました。そして、1905年の5月9日、アン・ジャービスはアンナ・ジャービスという娘を残し、亡くなったのです。

アン・ジャービスの娘、アンナ・ジャービスは、1907年5月12日、亡き母をしのんで母が教師をしていた教会に、母が好きだった白いカーネーションを祭壇に飾りました。これに感動した人々が、その翌年の1908年5月10日、同じ教会で、470人の生徒と母親達が「母の日」として祝いました。アンナはこのときの参加者全員に同じく白いカーネーションを手渡しました。これにより、白いカーネーションが母の日のシンボルとなりました。

そんな偉大な母を想うアンナの「母親のための祝日を設ける運動」は少しずつアメリカ全土に広がっていき、1914年にアメリカが5月の第2日曜日を「母の日」として記念日に定めました。1915年には5月第2日曜日を「母親のための祝日」とする法案が施行され、アン・ジャービスが結成した団体名を元に「母の日」(Mother’s Day)が生まれたのです。

日本に広まるようになったのは明治末期から大正にかけてです。当時、青山学院教授のアレクサンダー女史がアメリカの母の日を紹介し、それがキリスト教関係者によって広められました。(1913年、アンナ本人が青山学院にメッセージを送ったという説もあります。)その後、教会で行われていたイベントが少しずつ一般の人々の間に広まったと伝えられています。

母の日が日本で本格的に認知されたのは、1937(昭和12)年に大手製菓会社が、母親に今一度感謝しようという趣旨で「森永母の日大会」で母の日を全国的にキャンペーンしたことに始まります。その後、戦争に突入したことで母の日のお祝いは一度途切れますが、戦後の1947(昭和22)年、5月第2日曜日が母の日としてようやく制定されることになりました。アメリカ発祥の母の日は、30数年を経て日本に定着したのです。

我が家でも、東京の息子夫婦からお花が届きました。普段は、緑の葉だけの植物があるだけなので、たった一鉢だけでも家の中が華やかになります。母の日ということで、日課の読経はいつもよりもゆっくりめに行いました。お経を読み終わって、母親の写真に手を合わせたときに、ここにも欲しいかもと思いたち、小さなカーネーションの鉢を置きました。写真の母は、孫の藍がうまれたた時に植えた、白い花が満開の姫リンゴの前で笑みを浮かべているので、カーネーションは本来は違うのでしょうが、コントラスト上「赤」のカーネーションにしました。

今更ではありますが、親不孝息子の「母の日」はこの程度です。母の代わりに先日頂いたばかりの岩谷堂羊羹を食べながら、しばし仏壇を介して母とお話をしました。

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

仏壇のカーネーション” に対して6件のコメントがあります。

  1. やまぼうし より:

    素敵な掛軸ですね。
    私の母は紫色のテッセンが大好きでした。いつか庭に植えてあげたいと思っていましたが、思うだけで終わってしまったのが残念です。でも、今からでもいいかな。空から見てもらえるように!

    1. 鈴虫 より:

      やまぼうしさん
      私もこのテッセンの掛軸に惹かれていました。仏間を大切にされていることが伝わってきますよね。
      うちの庭にも紫色の花が咲き始めています、多年草なので毎年楽しめます。この涼やかで日本画のような蔦と花の姿が大好きなんです。
      そして先生が「仏壇を介して母とお話しをしました」とのこと、私も同じように仏壇の前に座って語りかける時、真っ直ぐにすーっと母に繋がるような感覚になります。特に信心深いわけではないのですが、仏間に座る時間は心が鎮まるので大事にしています。

      1. やまぼうし より:

        鈴虫さん、ありがとうございます。やっぱりテッセン植えよ~😉
        鈴虫さんとこのお庭を想像したら、決めちゃいました。私は毎日お線香をあげながら、両親の写真に向かって毎日お願いばかりしています!なんだかそれを喜んでくれているような気がするんですよ。

        1. 鈴虫 より:

          やまぼうしさんのお母さんが、空から大好きなテッセンを眺めてくれるのが楽しみですね!
          仏壇に向かってお願いばかりって、それは子供にかえって甘えているのかな?(笑)
          私はこの後に及んで親に心配かけちゃ可哀想だと思って、毎日いい報告ばかりしていましたけど、親子なんだもの、たまには甘えてみるのもいいかもしれませんね。なんせ甘え下手なものですから、、😅

          1. ハチドリ より:

            鈴虫さん、今日紫色のテッセンを買い、とうとう植えましたよ🤗
            私のお願いごとは「子供たちも孫もみんな幸せに暮らしていけるよう、今日も見守っていてね🙏

          2. 鈴虫 より:

            私は仏壇には「家族みんなチカラを合わせて頑張っているから安心してね」って手を合わせています。お願い事は、もっぱら神棚に向かってムニャムニャと並べているのですが、神様は「そんなに有るの」って笑っているかもしれません😅

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