かじってみよう“社会学”8講目 社会学理論「相互作用論の世界」
年末年始を挟みましたので、少し間が空きました。前回までは、社会学理論の基本のキである「行為論の世界」をかじってきました。今回からは、同じように社会学理論の基本であり、私が重要視している「相互作用論の世界」をかじってみようと思います。
復習をかねて、社会学研究の全体像を概観しましょう。社会学は、始めに「理論社会学」と「具体的な社会学」の二つに分けられます。全体を俯瞰する役割を担っている理論社会学には、これまで学んできた「行為論」やこれから学ぶ「相互作用論」「集団論」等があります。片方の各フィールド対象とした具体的な社会学には、社会学がメインの家族社会学や社会病理学などがあります。また、他に専門分野のある宗教社会学、医療社会学、都市社会学や私が専攻した福祉社会学等があります。
これから学ぶのは、理論社会学の中でも重要なテーマとして扱われている相互作用論です。
では相互作用論の世界を概観してみましょう。AさんとBさん二人の社会での場面を想定して説明します。AさんがBさんに何かの行為で働きかけ、それに応じてBさんはAさんに何らかの行為で応じる。この時、AさんとBさん二人の間には、ひとつの「関わり」が生じています。この関わりは、相互に行為を働きかける関係なので、「相互行為」とか「相互作用」と呼ばれます。また、人が何らかの形で他者に働きかける行為を「社会的行為」と呼びます。
私たちは、日々、意識してまたは無意識で無数の社会的行為と相互作用を行いながら暮らしています。こうした社会的行為や相互作用の研究を「相互作用論」と呼びます。こうした中で、最も重要な概念が「地位と役割」です。その他「象徴的相互作用」「ラベリング」「社会的交換」等があり、それらを順次かじって行きます。今回からは、これまでよりもイメージしやすい内容になるのではないかと思っています。昨年の理解度50%からどのくらい上げられるか、新たな勝負の幕開けです。
今回は、正月で頭を余り使わないできたので、少々リハビリが必要です。なので、具体的な内容については、次週からと致します。リハビリのために、お正月に読んだ「どうせしゃかいは変えられないなんて誰がいった?」について少しだけ触れてみます。この本は、「ベーシックサービス」について書かれた本です。
一時「ベーシックインカム」という言葉がはやったことがあります。一般的には、最低所得保障と訳されます。つまり、生きていくのに必要なお金を「無条件」に「みんなに配る」という考え方のことです。今回のコロナ危機で、多くの国がベーシックインカム的な現金給付を行っていますが、最も本来のベーシックインカムに近いのは日本と言われています。お金持ちも、お金がなくて困っている人も、大人も子供も、生まれたばかりの赤ちゃんにも、一律10万円給付されましたから。これまで日本国民全てに7万円の現金を配るという考え方が出されたことがあります。ひとり7万円を、日本にいる1億2000万人全員に、ベーシックインカムで支出すると、約100兆円かかります。ほぼ日本の国家予算1年分です。
これに対して「べーシックサービス」とは、国民生活の中で基本的かつ必須のサービスの無償化、つまり医療、介護、教育、障害者福祉の自己負担をなくすというものです。そして、その財源は消費税を16%にアップして賄おうという考え方です。私は、目的税化した増税と考えています。別添で、少し整理したパワポを添付しました。何か考える切っ掛けになれば幸いです。
2周目の8講目
社会学
① 理論社会学(全体を俯瞰する)→行為論・相互作用論・集団論
② 具体的な社会学→家族社会学・社会病理学・宗教社会学・医療社会学・都市社会学・福祉社会学
『相互作用論』
【地位と役割】←最も重要な概念
【象徴的相互作用】【ラベリング】【社会的交換】などがある。
お題)ベーシックサービス
医療・介護・教育・障害者福祉の無償化。財源は消費税を16%にアップすれば」可能。
ベーシックインカムもベーシックサービスも大賛成です。そもそも目的税は全て賛成。税金は、一体何に使われているのか分からないことが多すぎます。以前、野中広務が口を滑らせていましたが、官房機密費が月に5000万円とか。領収書なしで年間6億。
こうしたムダ金をなくしてから増税議論したいものです。みんな選挙に行こう!
社会学”8講目 社会学理論「相互作用論の世界」へ11件ものコメントを寄せて頂きまして有り難うございました。返事が遅れまして申し訳ありません。週末、込み入っており書く時間が足りなくて今日の投稿になりました。
スマイルさん。「どうせ」に責任放棄をしている感がある。何もしないで白旗を揚げている語感がある。私も同感です。この「どうせ」からは何も興らず何も生まない。「どうせ」は禁句ですね。
「オーバーショートデイ」については、原発事故と関連づけて考えると、付和雷同(自分にしっかりとした考えがなくて他人の言動にすぐ同調すること)や利便を手放したくない自分を見直すことに通じ、これから先を生きる若者達や子ども達へのつけ回しをしている自分を含めた大人の責任だという問題提起として読んでいますね。とても重要な考察です。
この問題的の大切さに気づき、それをみんなで共有し「小さな連帯がさざ波」となり、未来に希望を灯す道となる。こうした考え方にはとても共感するものがあり、私も願っています。
やまぼうしさん。「ベーシックインカム」と「ベーシックサービス」について、とてもわかりやすく自分の感覚、自分の言葉で説明して頂きました。この自分に置き換えて考えたり、自分の体験を通した感覚で読み直すということは、とても大切だと思います。実は、「たとえ話し」ってとても難しいのです。それをすんなりとより説得力を増す言い方をしているのはさすがだと思います。
ハチドリさん。スウェーデンの消費税率は25%なのに対して日本は16%で大丈夫なのでしょうかという心配はごもっともなことだと思います。16%は、ベーシックサービスのベース中のベースで設定している中での税率です。この段階から始めて、国民の議論や合意を重ねながらサービスの内容や範囲を考えていくというスタート台の数字です。
私たちは、議論を重ねて負担額を変えていく経験を既にしています。それは、公的介護保険料です。介護保険料は、市町村の介護サービス料に応じて金額が定められています。この為、我が町では、介護サービスがそこそこ良いから介護保険料を低く抑えたい。反対に介護サービスを充実させたいから多少介護保険料が高くても受け入れる。この様な議論が、保険者である市町村単位で行われているのです。
例えば、1号被保険者(65歳以上高齢者の年額:基準額)は、仙台市72,000円、富谷市69,000円、南三陸町72,000円、加美町75,600円です。宮城県内市町村平均は72,168円です。県内では、それぞれの市町村が、自分の町だけ突出しない様に周りを見ながら行っているので大きな差は出ていませんが、全国的には大きな差があります。ちなみに、全国で一番高いのは福島県葛尾村の117,600円。反対に安いのは北海道音威子府村36,000円です。全国平均は70,428円です。高齢者人口など様々な要件の違いで、この様に3倍もの開きがあります。
多くの人は、保険料の高い安いしか話題にしませんが、その金額は介護サービス料とリンクし介護サービス水準を選択している自覚がありません。私たちは、出来るだけこうした経験を積み重ね、近い将来に来るかも知れないベーシックサービス・ベーシンインカムの議論に備えたいものです。
鈴虫さん。「暮らしの会費」という考え方に食いつきましたね、イイセンスです。確かに、この様に考えると、ベーシックサービスの原資となる消費税は、もっと身近で我が事として受け入れやすくなります。この様な例は結構あります。ネーミングや説明の仕方はとても大切です。知恵を出す必要がありそうですね。
また、挨拶の場面での相互作用論。返事をしないのも一つの「無視」という行為反応でしょう。それをどの様に受け止めるかで、他者との関わり方が異なってきます。挨拶は贈与交換なので、もらっても返さないという行為になりますので、少々「ムカつく」という気持ちを抱かせてしまう行為となり、負の相互作用になってしまいそうでうですね。
阿部さん。「国民の為にしっかりとお金を使ってくれるのであればいくらでも出します」。この信頼のある国づくりに課題があるとのご指摘は、その通りだと思います。ここがとても我が国は弱いです。投票率が50%では話になりません。特に若者の投票率が低いのは、スマイルさんが問題にしている「どうせ」がはびこっていることが大きな要因かも知れません。現在の投票率が10%アップしたら国政は大きく変わるでしょう。この為にも、若者そして子ども達に夢を持てる社会を大人の私たちが頑張って示していく責任感を持つ必要がありますね。
いくこさん。怒りの拳!たまにはショック療法で必要かも知れませんね。ディズニーランドで早速発声練習をしたとか。鈴虫さんも一緒に腕を組んでくれそうですね。
みなさん、今回も有り難うございました。次回も楽しみにしています。
先生、丁寧にコメントありがとうございます。
みなさんのコメントで噛み砕いて頂き、その後に先生のコメントでさらに詳しく解説して頂いて、講義の初読みからだいぶ膨らみのある理解に繋がっていると思います。
立場の違うみなさんと一緒に学ぶことが、ひとりでWeb講義を受ける何倍もの学びになっていると実感して有り難く思います。
続きも頑張ります。
先生、リハビリとおっしゃりながら、常々感じてきたところに直球で入ってきましたよ。
特に付録、へんてこりんなことが直されもせず粛々と進んで行ってしまう。
怒りがこみ上げこぶしを振り上げ#*$%&!!!(自粛)
次回はもう少し知的なコメントします。
わかりますいくこさん、一緒にシャウトしましょうか👊
はい!!
ディズニーシーに行って絶叫系で憂さ晴らし...しばらくご無沙汰なので。
憂さ晴らしさえも正統派ですね!😆さすが!
本間先生、皆さん
本年もよろしくお願いいたします。
相互作用論、楽しみにしています。
自分の行為は、些細なことでも必ず誰かに作用していると自覚しています。
ベーシックインカム大賛成です。
以前、先生にお話ししたかもしれませんが、僕は共産主義に近い考えをもっています。もちろん過激なものではなく、日本的共産主義です。
お上が民のためにきちんと使ってくれるなら、いくらでも喜んで支払います。いつかそんな国になれたらいいですね。大改革をしてくれる未来の大統領が育つような、そんな貢献がしたいです。
いよいよ楽しみにしていた今年の講義が始まりました。今年も宜しくお願いいたします。
相互作用論とは、Aさんからの何かの行為に対してBさんが何かしらで応じることと。
では、Aさんが挨拶をしてもBさんが応じなかった時は一方的作用と言うのでしょうか?
それとも、Bさんは応じないという態度で応えていると考えればいいのでしょうか?
次回からの講義に答えが見つかるといいなと思います。
コロナ禍の経済支援としての現金給付は、ゆっくりと議論している時間がなくての事だったとしても、何かと言えばお金を配って国民の不安をいっとき紛らわせる傾向があるように思います。
この先、次の危機に直面した時には一体どうするのでしょうか。
私達の家計でも、お金の足りない時には何かを我慢して必要なところを賄うのがあたりまえです。無い袖は振れない。
その様な時こそ、よく考え、知恵を絞ることが最善策だと思うのです。
消費税をアップしてベーシックサービスを賄うという考え方は、『税金は取られるものではなく暮らしの会費』と考えるなら、確かに受け入れやすいなと思いました。
では、この国がよい方向に向かう為に私達には何が出来るのかと考えると、直ぐに思いつかないのですが、この様な事をしっかりと議論してくれる場があるならば、私達は協力しますという姿勢でいることが求められているのだろうと思います。
鈴虫さん
『税金は取られるものではなく暮らしの会費』って名言ですね。なるほど~と思いました。
そうですよね✨
私も先生のパワポ資料にこの一行を見た時、なるほどその様に考えればいいのねと納得がいきましたもの。
おはようございます。
今年のかじってみよう”社会学”が始まりました。先生、皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。
「相互作用論の世界」と言うタイトルを見てワクワクした気持ちになりましたが、最後まで読んで思い浮かんだのは、スウェーデンのことでした。スウェーデンは幸福度が高く、それは世界トップクラスの福祉制度の充実があるからで、教育費は大学まで無料、医療費は18歳以下まで無料で、それ以上の成人も自己負担の上限が決まっており、もちろん安心して介護サービスを受けられる体制になっているそうです。そのために、日本が消費税8%の時にスウェーデンでは25%だったと思いますが、先生のパワポを見たら今も同じ25%なんですね。
それで、面白いと言うか、いいなと思ったのは、「もっとこんなふうにして欲しい」と言う要望が国民から挙がったら「税率がアップしますがいいですか?もしくはこれまでのサービスのどれかを無くしますか?」と言うことを説明し、合意のもとに制度を進めていくということでした。
どういう方法で国と国民は合意を諮るのでしょうね。日本でも都道府県ごと、市町村ごとに行政と住民とで話し合いをし、合意のもとで施策を進めているところもあるかもしれませんが、日本全体で考えてみると無いような気がします。
しかし、先生が読まれた本のべーシックサービス⇒『国民生活の中で基本的かつ必須のサービスの無償化、つまり医療、介護、教育、障害者福祉の自己負担をなくすというもの。そして、その財源は消費税を16%にアップして賄おうという考え方』⇐日本ではこうしたら?と、このように考えている方がいらっしゃるのですね。スウェーデンは消費税25%なのに16%で大丈夫なんだろうかと余計な心配をしていますが、高齢社会で人口が減っていく将来、孫たちのためにもどうやって教育費や社会保障制度をを安心したものにしていけるか考えてみることも必要なのかもしれませんね。
ベーシックインカム、なんとなく聞いたことがありましたが、『生きていくのに必要なお金を「無条件」に「みんなに配る」という考え方のこと』なんですね。
でも、この無条件に配る時の判断って、国民が納得するのかどうか、すごく難しいように思います。確かに今回のコロナ危機で日本は、富裕層にもお金がなくて困っている人にも、大人も子供も、生まれたばかりの赤ちゃんにも一律10万円給付され、「わぁ、10万もらえる・・」と単純に喜んでしまったけど、なんか変だよねと感じた人も多かったのではないでしょうか。これらの財源はいったいどこから?我々の様々な税収によるところが大きい国のお金は、本当に困っている人に手当てして欲しいのに、必要のない人にまでバラまかれたのですよね。でも、本当に困っている人や必要な人に届くまでに、申請してもらったり確認したりとかなりの時間がかかるからそうするしかなかったのか?新政権になり、今また国の議論はずいぶん時間がかかっていますが、今回は非課税世帯に配布するようですね。
これに対してべーシックサービスとは、消費税をしっかり払って、国民生活の中で基本的かつ必須のサービスの無償化を図るというものなんですね。現在、日本は所得に応じて医療と介護は保険料を払っている他に一部自己負担もありますが、これらが消費税で賄われるということなのでしょうか?消費税が一気にアップしても、いざと言うときに安心して無償でサービスが受けられる方がいいような気もします。
こんな単純な話ではないとは思いますが、久しぶりに社会学かじってみました。
ありがとうございました。
2022年初の「かじってみよう社会学」ですね。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
今回の講義を読んで心に浮かんだことを・・・『どうせ社会は変えられないなんて誰が言った?』という本を読んだことはないのですが、そのタイトルを見て思ったことは「どうせ、という言葉は使いたくない言葉のひとつだな」ということ。「どうせ」と言ったとたん責任を放棄しているような気がするから。だからといって大きなことができるわけではないけれど、手の届く範囲でできることがあるならやっていこう・・・そう思います。
大切なのはずっと先の未来まで考えて今を選択できるか、ということではないでしょうか。でも、そういう視点で考えると反省することがたくさんあります。1月5日に本間先生が書かれた『7月29日からは未来への借金で生活(「オーバーシュートデイ」)』を読んでもハッとする自分がいるし、何度もこのホームページで話題になった原発事故の話についても同じです。よく考えもせず購入し無駄にしてしまったり大切にできていなかったり、イベントに踊らされてよくよく意味も考えずに付和雷同していたり、便利を手放したくない自分がいたり・・・地球の声、動植物の声に耳を傾けていない人間本位の自分もいます。そのつけは、結局これから先を生きる若者や子どもたちが背負うことになる。
これからは、自分の選択ひとつひとつをこれまで以上によく考えて行いたいと思います。そのためにも、本間先生が日々なげかけてくださるメッセージや問題提起にしっかり向き合っていきたいと思います。
一緒に受講しているみなさんの言葉も何よりの励みです。ここでつながる小さな連帯が、さざ波となって未来に希望を灯す道となりことを祈っています。
本間先生、みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。