100㎞先から朗報届く

日本音楽健康協会「音健アワード 2021」で南三陸町社会福祉協議会が入賞の栄を受けました。「音健アワード」は、「うたと音楽のチカラで、社会課題の解決と豊かな未来の想像を目指します!日本音楽健康協会は、これからの未来のために「うたと音楽」を用いる活動を応援しています。全国の様々なシーンでは素晴らしい音楽活動が行われております。当協会は、これらの活動に光を当て、秀逸な作品を表彰することで、この素晴らしい音楽活動を広く発信していきます。」という趣旨で行われています。

2021年度のテーマは、『豊かな未来に向けた、都のしく笑顔あふれる音楽レクリエーション』で、「うたを歌う新しい様式が求められている中、様々なシーンで取り組んでいる音楽レクリエーションを募集します」と、ありました。

南三陸町社会福祉協議会は、「笑顔満開!南三陸町:東日本大震災直後の住民の「居場所づくり」と「健康維持」のために制作した曲。その坂の向こうにあるカフェで体操したり、誰かと会えたりを繰り返すことで長生きに。人はこの坂の名前を「長生き坂」と呼ぶようになった。震災から10年経っても、ちいさな子どもから高齢者まで、楽しみながら体操ができる曲になっています。」と、応募時の説明に記載しています。結い里は頑張っている!とっても良いです。肩肘張らずに楽しさを忘れず町民を巻き込んでやっているのが、最も大きな特徴です。高橋吏佳さんの感性が光ります。そして彼女を支えて一緒に歩んでいる生活支援員(LSA)の方々がまたいい。何と素晴らしいチームワーク。今回の受賞もこうした人々の努力と一緒に楽しんでくれる町民の笑顔が受賞に導いてくれたものと思います。

プロモーションビデオは、きっと「結い里」の中心的役割を担っている高橋吏佳さんの息子が関わってつくっているのでしょう。素敵な連携です。受賞に関する詳細は、新聞記事を参照して下さい。

受賞を伝える三陸新報

音健アワード2021 受賞作品|一般社団法人日本音楽健康協会 (onkenkyo.or.jp)

この歌の下になっている「長生き坂」は、被災からまもなくから始めた仮設住宅住民の健康づくりと気分転換を目的に、毎朝行っているラジオ体操を行っている場所の過ぎ近くにあった、ショートカット用の小さな「坂道」に目を付けたところから誕生しました。

南三陸町歌津に整備された「平成の森仮設住宅団地」(246戸)で毎朝行われている朝のラジオ体操を行っているときのことです。一般的なラジオ体操(方言版「おらほのラジオ体操」)や演歌に合わせた創作体操が行われています。それが終わると、みなさん連れだって一段上にある仮設の居場所「カフェあづま~れ」に手押し車(「お達者カー」)を押しながら小さな坂を登って行くのです。そこで、ゆっくりお茶してひとしきりおしゃべりをしてから三々五々自宅となっている仮設住宅にお帰ります。その様子を見て「使える!」って思ったのです。

ラジオ体操が終わってから生活支援員さんを集め「この坂に名前を付けよう」と提案しました。一般的には、「坂」はバリアです。特に高齢者には都合の悪いできれば避けたい場所です。しかし、この坂を楽しく上り下りする機会を増やせば、生活行為に中に健康増進の機会を設けることができる。介護予防は、楽しく生活行為の一部として習慣化してこそ持続可能性を持つ効果的な行為になると考えていましたので、「これだ!」と思ったのです。生活支援員さんから様々な迷案・名案が出されました。その中に「長生き坂」がありました。それを選んで直ぐさま、今度はこの坂の「由来」を考えるように提案し、生活支援員さんの文案に加除修正を加え「由来」をつくり、更には「効能」まで付け加え、その看板を立て、「開通式典」までやったのです。

あるとき、南三陸町の被災状況を視察に来た方に「長生き坂」のお話をしました。その方は、いたく感激し、その現場を見て帰り、後日、一遍の詩を送ってくれました。これまた「使える!」って思ったのです。直ぐさま、生活支援員に被災前は音楽教室を開いていた方がいたので、頂いた詩に曲を付けるようお願いしました。それも楽しく体操の振りが付けられるように「音頭調」の作曲をお願いしました。歌は、様々な人が歌ってくれました。中には、この「長生き坂」の誕生エピソードに共感し、プロの演歌歌手が自らCD化して寄付してくれました。動画で使われているのがこのCDです。「長生き坂」をバックにした体操の振り付けは、当時生活支援員さんがつくっています。こうして「長生き坂音頭」と「振り付け」という南三陸町オリジナルのご当地ソングができたのです。

下記は、こうした事業を仕事を超えて進めた方です。記憶に留めておきたいお二人です。

こうしてできた「長生き坂音頭」と「振り付け」が元気な生活を営む機会として生かされ続けているというのはとても嬉しいことです。これを生み出したのは、当時の被災者支援の真っ只中にあった「被災者生活支援センター」で中心的役割を担っていた南三陸町社会福祉協議会の須藤美代子さん、そしてこれを広め生活の一部にしたのが南三陸町社会福祉協議会が設置運営する「結い里」の中心高橋吏佳さんです。こうした若い力が新たな南三陸町を築く力となっています。私は、こうした人及びそれに共感して仕事を超えて頑張っている生活支援員(LSA)の方々と関われたことを生涯の誇りと思っています。これからも元気で活気のある「街づくり」を楽しみにしています。

https://www.onkenkyo.or.jp/award_result_2021.html

由来・効能を付した看板
毎朝のラジオ体操
生活の一部になっている
「長生き坂」テープカット
「長生き坂」のぼり始め
常連さんがいっぱい参加してくれました
カフェあづま~れ
南三陸町生活支援員の皆さん、左端は須藤美代子さん

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

100㎞先から朗報届く” に対して1件のコメントがあります。

  1. 鈴虫 より:

    震災後仮設住宅から始まった活動が、10年のときを経てこの様に地域に根付いているとは素晴らしいと感心しています!

    坂というバリアに意味づけし長生きの希望につなげた発想と、何段階にも及ぶ意味づけと実践の繰り返しが、ここまでみなさんに愛着のある活動になったのではと思います。
    でも、地域のみなさんにとっては毎日の体操が賞をとるなんて、「へぇ〜」っていう感じかもしれませんね。
    ここが先生の狙いどころ、目尻が下がっておられるでしょう。笑笑

    継続は力なりといいますがただの続けるではなく、地域のみなさん一人ひとりの創意工夫があればこそです。
    受賞おめでとうございます🎉

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