SDGs 目標5「ジェンダー(社会的性差)平等を実現しよう」

現代社会においては特に、ジェンダーの平等は、すべての人が自分自身の能力を最大限発揮するための機会を得るために必要不可欠です。またこれが持続可能な社会を築くために必要な基盤にもなります。

しかし、教育や経済的資源へのアクセスなど、女性や女児であることを理由に平等な機会を与えられていない状況が世界各地で見られるのです。最近では、アフガンの状況を伝える中で、女性の教育問題が取り上げられることが有り、改めてジェンダーフィリーに関する関心が高まっています。

日本でも政治的な場や経済的な意思決定のプロセスにおいて、女性の参画が著しく遅れているといった課題が見られます。そのため「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」ことを目指し、9項目のターゲットを掲げて、目標達成をすべく世界中で取り組んでいます。(出典:国際開発センター「ジェンダー平等を実現しよう」,2018)

(註)ジェンダー(社会的性差)

ジェンダー(gender)とは、生物学的な性別(sex)に対して、社会的・文化的につくられる性別のことを指します。世の中の男性と女性の役割の違いによって生まれる性別のことです(JICA)。

また、別の説明では、ジェンダーとは、男性・女性であることに基づき定められた社会的属性や機会、女性と男性、女児と男児の間における関係性、さらに女性間、男性間における相互関係を意味します。こういった社会的属性や機会、関係性は社会的に構築され、社会化される過程(socialization process)において学習されるものです。これらは時代や背景に特有であり、変化しうるものです(UN Women:国連機関)。

5.1   あらゆる場所におけるすべての女性および女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。

5.2  人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性および女子に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。

5.3  未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚、及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。

5.4  公共のサービス、インフラ、および社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。

5.5  政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参加および平等なリーダーシップの機会を確保する。

5.6   国際人口開発会議(ICPD)の行動計画および北京行動綱領、ならびにこれらの検討会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康および権利への普遍的アクセスを確保する。

5.a    女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ、および土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。

5.b   女性のエンパワーメント促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。

5.c   ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性および女子のあらゆるレベルでのエンパワーメントのための適正な政策および拘束力のある法規を導入・強化する。

ターゲットを読むと難しく感じますが、全ての国で女性と女児が差別されることなく教育を受け社会に参加できるようになること、途上国を中心に見られる人権を無視した行ないの排除に重点を置いています。世界人口の約半分である女性がジェンダー格差なく社会へ参加することは、多くの国の貧困や教育課題の解決に繋がります。特定の技能の取得、職種や地位へ着くことを、ジェンダーを理由に阻むことは経済発展へ悪影響を与える恐れがあります。

一方で、女性や女児にとってよい環境を整えることへ意識が高い国では、子どもの健全な発育や生活の質が向上しています。また、多くの国の課題である人権を無視した痛ましい差別をなくすためには、ジェンダー平等の実現が必要不可欠です。

日本も昔は、女性は結婚したら家に入るものという考えが強く、女子生徒が家庭科の授業を受けているときに、男子生徒は技術や体育の授業を受けるような時代もありました。

現代の教育現場では「女の子らしさ、男の子らしさ」という考え方はせず、ジェンダーに関係なく個人の能力を伸ばす教育指導が行なわれています。平等な教育を受けることはもちろん、生徒の役割分担も男女同じにする、男女混合のクラス名簿を作るなどの工夫もされています。平等の教育はジェンダーにとらわれない勇気や決断、思いやりが身につき、将来の経済的な自立にも繋がると考えられています。

ジェンダー(社会的性差)は、これから訪れる超高齢社会の対策においても重要です。⑤にあるこの様な指摘もなされています。心して考えたいものです。我が町の存亡にも関わる課題なのです。

出典:樋口恵子・若林靖永編,2015『2050年超高齢社会のコミュニティ構想』岩波書店.

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

SDGs 目標5「ジェンダー(社会的性差)平等を実現しよう」” に対して4件のコメントがあります。

  1. m(_ _)m より:

    「種をまいて一日で咲く花などありません。」塩沼亮潤大阿闍梨の言葉

    私は、思うような結果につながらない時、何度もこの言葉にハッとさせられている。
    なんども何度も。
    修行が積まれていないということか。

    どうもありがとうございました。

  2. welfare0622 より:

    沈黙や傍観は、現状「肯定」につながってしまいます。

    勇気を出して言葉を発することは、なかなか出来ることではありません。そこまで行かなくとも、疑問を持ち自分なりの考えを整理することは出来ます。この様なことの積み重ねが、自分の意志を築くことにつながり、何らかの機会にしっかり言葉にすることが出来るように思います。

    必ずしも、手を挙げ声を出すばかりではなくとも、機会は巡ってくると思います。大げさな言い方をすると、「歴史が人を選ぶ」と言います。誰かは分かりませんが、志を同じくする人が声を掛けてくれるのではないかと思います。

    常に、学びの歩みを止めず、学べることに感謝し、学びを生かす機会を待ちましょう。

  3. ー ー; より:

    傍観者であってはいけないのではないか、参加しなければと、つぶやいてみても、、、
    誰にも届かず埋没する発言ならしないも同然か。
    重い口から発せられる言葉を辛抱強く待てる人はそう多くは無いのだろう。しかし、現代のスピードに乗れずに周回遅れであったとしても、一歩ずつ進むことを止めてはいけない。

    ⑤男女共同参画においては、この様な経験を重ねる事で人は沈黙し姿を消していくのかもしれない。

  4. ^_^ より:

    世の中にある不平等は、あげればキリが無いほど。
    それらは当たり前のように有り、そんな物かと受け入れてしまっている事も多い気がする。
    自分の行動を少しずつ改めることで世の中が良い方向に動くなら、やってみよう。
    例えば、話し合いの場でひとつ自分の考えを述べる、小さな問題提起をしてみるなど、きちんと参加する姿勢を見せること。

    ただの傍観者にならないことから始めてみよう!

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