制服・体操着おさがり会(Naritaマルシェ:富谷市成田)
富谷市成田地区を拠点とする「Naritaマルシェ」の活動を参与観察してきました。コロナ禍で様々な事業が中止にせざるを得ない中、規模を縮小し工夫を凝らし「制服・体操着おさがり会」が8月20日(金)16時から17時迄の1時間に限って成田公民館で開催されました。時間が短いことあり、今回は翌日の21日にも開催されています。二日間で25名の方が参加しています。
宮城県では過去最大の罹患者数292人を出し、富谷市でも14人を数え、コロナ禍のただ中での開催となってしまいました。この為、開催時間を1時間に限り飲食は控えるなど、これまでNaritaマルシェが大切にしてきた触れ合いの機会を大幅に制限したものになっていました。こんな制約下にあってもNaritaマルシェらしさを、ふんだんに盛り込んだ活動になっています。制服・体操着おさがりを下にしながらも、小さな子どもたちへの眼差しやコロナ禍でオンライン授業になってしまい、気持ちが疲弊している大学生への支援などが加えられていました。
子どもたちには、一緒に遊んであげられないので、せめて来てくれた子どもに家に帰ってからのお楽しみにしてもらいたいと、地元のお菓子屋さんに特注したお菓子の詰め合わせを配っていました。子どもたちは大はしゃぎで持ち帰っていました。また、大学生には、「大学生応援プロジェクト(お弁当贈ります)」が行われていました。お弁当には、サミュエル・ウエルマンの「青年とは」の詩が添えられていました。コロナ禍で大変な想いを強いられている若者へのエールを感じます。
若者へのなかなか周知が難しく、参加者か少なかったのですが、三人参加してくれました。東北大学、東北学院大学及び仙台大学からそれぞれ一名ずつの参加です。東北学院大生は、昨年、地域の課題Ⅱ(地域課題版)を履修してくれた学生でした。担当した私としては、とても嬉しい再会でした。直接会うのは初めてですが、遠隔授業で1年前にあっており、授業の話などリアルに会話が弾み、初めて会ったとは感じられない時間でした。
この東北学院大生の参加には、特別なストーリーがありました。Naritaマルシェのメンバーの方には、2020年版の地域の課題Ⅱ(地域課題版)の報告書をお見せしています。その方が、今回、東北学院大生を「おさがり会」に引き寄せるキューピット役を担いました。
その方には、子どもの幼児健診の時からの知り合いがおり、その子どもが東北学院大学に通っているので手にした2020年版の地域の課題Ⅱ(地域課題版)報告書をめくったところその知り合いの息子の名前を見つけ、直ぐに連絡を取り感想を伝えたというのです。併せて、今回の制服・体操着おさがり会に誘ってみたところ、この学生は、「Web授業で知っていたので実際の場面を見てみたい」と、応えてくれて、今日(8月20日)の参加となりました。
彼は、2020年版の地域の課題Ⅱ(地域課題版)報告書でこの様なことを書いています。
『魅力的な住みよい町づくり』
講義の中で、Naritaマルシェの様な地域で交流の場を作っている団体がいることを理解した。グローバル化が進む現代では、外国の方々が増えており子育てをする際に日本人の知り合いの存在は大きいだろう。そんな時この様な場があることで気軽に頼れる存在が作れると考えた為、やはりこういった場が少なくなっていることは現代の課題だと考える。そんな中、私が住んでいる宮城県大和町を調べていく中で課題としている点について理解した。本文では、その課題とその解決に向けて何ができるかを考察していきたい。 大和町では町民から得た課題が三つ存在する。(中略)
以上のように,本文では大和町の課題とその解決策について述べてきた。その中で,町の将来を担う子供たちが大人になっても大和町に住み続けたいと思えるように,これからのまちづくりにおいてこの不満なところや様々な問題について若い筆者の様なものが解決へと動かなくてはいけないと考える。
この様に、自分の暮らす町に愛着を持ち、将来の発展を願って様々な課題解決に目を向けている姿には、限りのない期待と将来に向けた希望を感じます。また、若者の心を振るわせ、そうした考え方をする切っ掛けをつくってくれるNaritaマルシェの活動の素晴らしさを改めて感じています。
この東北学院大生の親御さんは、息子から参加した話を聴き、Naritaマルシェに次のようなメールを寄せています。「今日は息子がお世話になりありがとうございました。貴重なコミュニティの場に参加させていただき、良い経験が出来たと話していました。大学の先生ともお話出来て良かったとも話していました。代表の方をはじめスタッフの皆様にもどうぞよろしくお伝え下さい。沢山のお菓子とお弁当もいただきありがとうございました。喜んで食べてました。ありがとうございました。」この様な親御さんあってだからこその息子なのだろうと思いました。
Naritaマルシェのこうした、細やかな配慮と限りない子どもたちへの愛情と地域挙げて関わろうとする姿勢に、今、求められている地域共生社会の具体的な姿を見ることができると考えています。今回も、参与観察して「ほっこり」した気持ちで帰ってきました。