地域の課題に関心を持つ学生が増えている
東北学院大学で教壇に立っていたとき、地域教育科目「地域の課題Ⅱ」(地域課題版)の授業を担っていました。地域の課題Ⅱが開講した2016(平成28)年度の泉キャンパスは、履修生は1人でした。2017(平成29)年度は3人、2018(平成30)年度は7人、2019(令和元)年度は22人、2020(令和2)年度は119人、そして私が東北学院大学を退職した翌年の2021(令和3)年度は265人になったそうです。
地域に関心を持ってくれる学生が増えてきていることがとても嬉しいです。社会に貢献したいと考えている学生が増えている現れと私は考えています。よく、「近頃の学生は何を考えているんだか」等々といわれ、社会の役に立つ人財になる為の学び等には関心を持っていないように思われがちです。しかし、そんなことはありません。彼らとしっかり向き合うと、彼らの純粋な地域社会に対する愛着や課題意識を知る事ができます。
私が考える教育とは、学生が我が事として地域課題を発見し、解決の為の資源を見いだし、それを大学での学び(専門領域)と、自分自身の興味・関心で加工し、地域に軸足を置いた、学生オリジナルの提案を行う。こうした学生の学びに対して、教員と地域の方々が一緒になって励ます環境がその学びを支える。そうした一連の過程を「教育」と考えています。
このような視点で教育を捉えたとき、それを可能にする「教材としての地域」はそう多くはありません。教員の最も大切な役割は、この教材を見つけ、そこに学生を立たせることにあると考えていました。学生の感性、知的好奇心。それらを地域というリアルとの相互作用の中で引き出す。ここに、教育の醍醐味とやりがいを感じて教壇に立ってきました。
昨日、大学から連絡があり、地域の課題Ⅱ(地域課題版)の履修登録が265人になったと聞き、地域を知りそれを持って地域貢献に役立てたいと考える学生が増えていることに、とても嬉しくなりました。この様な学生がいることは、地域の財産です。彼らをしっかり育て、彼らの想いを形にしてもらいたと願って止みません。