市井の人となった1年を終えて(第一四半期)

2021(令和3)年3月末をもって東北学院大学特任教授、宮城県社会福祉協議会復興支援アドバイザー及び宮城県サポートセンター支援事務所福祉アドバイザーでの役割全て終え、市井の人になりました。その時から丸1年が経とうとしています。東北学院大学を卒業したら、ほとんど講義の依頼などは来なくなってしまいました。なので、東北学院大学の特任教授という役職に講師依頼が来たのであって「本間照雄」に来たのではなかったのだと痛感しました。私の能力はこの程度なのだとめげてしまいました。この様な状況下で全く未知の世界に入り、右往左往して過ごしたそんな自分の1年を振り返ります。

1年を四半期に分け、その時々に行ったことなどを取り上げながら、それまでいかに仕事や役割に依存して時を過ごしてきたかを振り返ります。こんな女々しい姿を知って頂き、近々退職して地域デビューする方々の「反面教師」として生かして頂ければ幸いです。

また、世の奥様方、男とはこれほどまでに女々しくか弱き存在です。どうぞ、温かい目で見守って下さい。

2021(令和3)年の漢字一字「転」と1年の記録

・HP「地域福祉研究所」を開設 4月1日 人と会う機会が著しく減ると思うので、生存確認の意味とこれまで学んできたことや問題意識を広く共有したいと思って、これも長年の夢だったHome Pageを開設しました。途中で挫折しないように、Web会社とは3年契約で固有のaddressを取得しました。今日まで、何とか挫折することなく続けられています。

・国道6号線沿い桜ウオーク(福島県広野町) 4月10日 東京電力福島第1原子力発電所の事故による被災は現在進行形です。第1原発から20km圏内は例外をのぞき立ち入りを禁止とする“警戒区域”に指定され、富岡町、大熊町、双葉町のそれぞれ全域、田村市、南相馬市、楢葉町、川内村、浪江町、葛尾村のそれぞれ一部の住民は、長期間に渡って他市町村での避難生活を強いられて、その一部地域では現在も避難生活が続いています。そのような中にあって、当時の中学生が提案した「活気のある街づくり」を地元の大人達が形にした浜街道に桜の木を植える事業があります。その桜並木をきれいに保つために毎年この時期にゴミ拾いなどをしながら、その意志を継承しようという事業です。私も、その趣旨に賛同し参加しました。

・四国八十八ヶ寺お遍路(乗り合いタクシー) 4月18日~4月29日(11泊12日) 退職したら絶対にしたいと思っていたのが四国八十八ヶ寺お遍路です。体力的に難があるので、今回は乗り合いタクシーを使っての巡礼でした。何もかも初めての忙しない中で、6人程の方々と長い時間共にするので、気疲れする巡礼でした。戻ると直ぐに、今度は歩きお遍路でもう一度、じっくりと四国八十八ヶ寺を巡礼したいと思い、それに向けて少しでも長く歩けるようにとトレーニングしています。今では、今後の人生最大の目標になっています。

・名刺「地域福祉研究所」作成 5月19日 全く必要も無い名刺を作りました。4月以降、手帳は真っ白で予定は殆ど入っていません。そのような中にあって、使う機会は殆どなく、ただ持っているだけの名刺です。長い間、何らかの機関に所属して生きてきたので、それがなくなると、むき身の状態で世の中に放り出される感じで、なんとも身の置き所がない、心細い感じがしたのです。何かにすがっていたい、それでこのような名刺作ってしまいました。笑って下さい、これも私です。

・福島CSW開講式・基調講演(福島県郡山市)6月26日 福島の被災は現在進行形と書きました。そのような状況下にあることから、地元の方が何とかして自分たちのスキルを磨き、復興に寄与したいとして、市民の学びの場を開設しています。それに少しでも役立ちたいと講師を引き受けています。

市井の人になって最も感じたのは、時間の使い方が分からない自分でした。退職前は、退職したら毎朝の慌ただしさや迫る資料の〆切から解放され、のんびりした一日になるかと想像していたのです。でも、現実は想像と大きく違い、手持ちぶさたに、家の中を用事も無くウロウロする状態でした。何かやらなければいけないことを忘れているような感じで落ち着かないのです。

これまでは、あえて「目標」等を設けなくとも、何らかの仕事や用事が常に頭に有り、それをこなすことで一日が過ぎていきました。退職という形でこうした状況が無くなると、「余裕ができた」ではなく「何か忘れてはいないか」という不安を感じてしまうのでした。平日に、私服で家に居ることに罪悪感を持っていました。日に三度の食事さえ、「ただ飯を食らう」といった感じで、なんとも「いずい」のです。

こうした状況を打開するために、最初に取り組んだのが、10年越しの四国八十八ヶ寺お遍路でした。東日本大震災がなければ、10年前にやっていたと思います。これを手始めに、些細なことでもいいので「予定」をつくることを始めました。何とかして手帳に用事を書き込もうとしたのです。なんとも滑稽な話です(笑)。

こんな感じで、身の置き所のない罪悪感を持って毎日を過ごしていました。約20年は親に育てられ、第一次社会化過程の中で言われるままに過ごし、その後の公務員及び被災地支援や大学教員という職を持って過ごした50年の生活は、仕事という役割を持って生きてきたので、追われるように過ごし、時間を自由に使うことは難しかった。

でも、今その状況を振り返って見ると、仕事に依存し時間に使われていたように思います。不自由という拘束に、好き好んで身を任せていた感じがするのです。なので、退職という形でそれを解かれたとたん、自分で「時間と向き合う」力が無かったので、右往左往してしまいまた。これが、一気に露呈したのだと思います。何とも情けない(涙)。

第二四半期では、今年の漢字一字「転」として、何とか進めるようになったのか、その答えは明日に続くズッコケの日々でご紹介します!

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

市井の人となった1年を終えて(第一四半期)” に対して7件のコメントがあります。

  1. 鈴虫 より:

    『東北学院大学の特任教授という役職に講師依頼が来たのであって「本間照雄」に来たのではなかったということを痛感しました』と書いておられます。
    ちょっと待ってください、そもそも「本間照雄」さんだからこそ東北学院大学の特任教授という大役を任されたのですから、ブランド力としての「本間照雄」さんは、東北学院大学の特任教授と同等であると思います。
    本間先生が特任教授となられると聞いた誰もが納得できたお役目であったと思っています。
    市井の人となられたはじめの数ヶ月は、全てのお役目を手放された先生の意志を汲んだ周りの方々が、ほんの一時、お休みの時間を作ってくれたのではないかと私には思えましたよ。

  2. ハチドリ より:

    『東北学院大学の特任教授という役職に講師依頼が来たのであって「本間照雄」に来たのではなかったのだと痛感しました』と書いてありますが、果たしてそうなのでしょうか?

    例えば、どこか有名な大学の教授と言う肩書きがあったとしても、その方を講師にお願いするとは限りません。一度お話を聴いたときに感激して、また聴いてみたい、他の人たちにも聴いてもらいたい、そう思わせてくださったのが本間先生でした。
    だから肩書きと言うよりは『本間照雄』さんのお話を聴きたいと言うことだったと思います。
    公務員生活のいつの頃からか、発表とか講演とか講義とか、あちらこちらから依頼がかかるようになり、たくさんの人々に大切なことを教えていただきました。そしてそれは今もしっかり息づいているのではないでしょうか?
    ですから、『私の能力はこの程度なのだとめげてしまいました』は、違うのではないかと思います。

    そのような役割が減って、なんだか落ち着かないと言う気持ち、なんとなくわかるような、いや、わからないような・・😅

    『明日に続くズッコケの日々でご紹介』、楽しみにお待ちしております!

  3. いくこ より:

    先生、こんにちは。
    何十年も当たり前と思って続けてきた生活が劇的に変わる、先生それは被災者のようですね。
    白い余白の手帳には、今日一日一生懸命暮らしたと思う日に、花丸をつけてみませんか?
    家事に追われて毎日に充実感を持てなかったある日、思いついてやってみたら、しばらくして手帳が花丸で埋まっていて、これで良いんだとほっとしたことがありました。
    もしよかったら先生もお試しください。

    1. 鈴虫 より:

      ほんとにもう いくこさんったら✨
      はなまるのアイディア最高です🍥
      (あっ、これはナルトか😅)
      この行為ひとつで自己肯定感急上昇は間違いなしですね。
      私も早速今日から始めます!

      1. いくこ より:

        鈴虫さん、いつも共感の言葉を添えて返信をありがとうございます。
        HYさん、ハチドリさんもOOCへのコメントありがとうございました。
        みなさん優しいなぁ。

        ただ今、今年度の活動報告をまとめてまして助成金の報告書に奮闘中です。
        難しいものではないのですが、長考の私は時間がかかります(笑)
        そんなわけでマルシェ代表からのOOC企画会議への誘いに待ったをかけておりました。先生にも参加して頂きたい企画会議ですがしばらくお待ち願います。

        1. 鈴虫 より:

          いくこさん
          今年度の活動報告書をまとめているところとのこと、ご苦労さまです。
          みなさんの活動は、自分達が住みたいと思う地域の実現のために、自ら企画し、ひとつ一つ実践しているところが素晴らしいです。それぞれの企画も、決して背伸びではない身の丈に合った活動であるようにお見受けしています。
          そうだからこそ、私のところでも出来そう!と思わせてくれるのだと思います。
          とっても素敵、はなまる🍥です!

          どうぞ自信を持って報告なさって下さい。

        2. ハチドリ より:

          いくこさん,助成金の報告書づくり,お疲れ様です。
          美味しいコーヒーでも飲みながら,じっくり考えて,いくこさんらしい報告書にしてくださいね。

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