「フェイズフリー」という言葉があります

防災の分野に「フェイズフリー」という言葉があります。平常時と非常時を分けずに、日頃から災害に備えている状態にしていこうという取り組みを指します。

例えば、電気自動車(EV)は、普段は移動の足として使われますが、停電時は非常電源として使えます。スマホや携帯の充電や照明など、その用途は幅広いです。電気自動車(EV)やプラグインハイブリット自動車(PHV)を持っている住民に協力を呼びかけていると、被災時には心強い防災設備になります。普通自動車でも備えられているラジオは、大切な情報を得る機材として機能します。

東日本大震災の時、ガソリンが補充できなくて大変困った記憶があります。そんな経験から、あの時以来、私はガソリンメータが半分を切ったら補充するように心がけています。自家用車に常に毛布や少しばかりのあめ玉を積んでいることも、非常時の備えとして心がけています。

食事の面では、ローリングストックという考え方があります。大災害発生時、公的な支援物資はすぐに届きません。コンビニなどのお店にも人が殺到し、すぐに商品が無くなる様子は良くテレビで見ます。これまで、食料備蓄は3日分あれば十分と言われていましたが、最近の災害は、非常に広い地域に甚大な被害が及ぶ可能性のあるのでは、「1週間以上」の備蓄が望ましいとの指摘もあります。

1週間分の備蓄と言われると急にハードルが上がるように思いがちですが、非常食だけに捉われるのではなく、普段の生活の中で冷蔵庫をはじめ台所まわりに目を移せば、1週間分の備蓄となる可能性を持つ食材はあります。例えば、普段からちょっと多めに食材を買い置きしておけば、最初の3日間は冷蔵庫の中のものを食べてしのげそうです。次の3日間は、いつもローリングストックしている食材でまかないます。非常食というと「気が付いたら消費期限が大幅に過ぎていて全て廃棄した」といった失敗が起こりがちです。

ローリングストック法は、日常的に食べきらない前に買い足すという行為を繰り返し、常に家庭に新しい食材を備蓄する方法です。非常食を備えておくというとなかなか難しい事ですが、日常の食材を少しだけ多めに買い足して置くだけで対応は可能です。

近所付き合いでも言えることです。平時は住みよい街づくりとして機能し、災害時には共助の要となります。阪神淡路大震災の時、倒壊した家屋から助け出した80%は、自衛隊でもなく消防隊員でもなく、近隣住民だといいます。普段からのほんのわずかな気遣いや心がけがは、災害時には非常に大きな支え合いの力を発揮する基盤となります。

地域づくりは、ほんのわずかな「面倒くささ」や「わずらわしさ」を共有することです。「災害への備えを日々の生活の中に組み込む」。無理せず誰にでもできることを生活の一部として日常化する。これが最大の防災になるのかも知れません。お互い様を災害ユートピアにしないためにも、普段からのチョットした関わり、心遣いが必要です。地域防災は、身近な所から始められそうです(参考:河北新報社説2021/05/12)。

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