東京電力福島第1原子力発電所事故被災者を支える人々

福島県には、原発事故被災者を支える支援団体が多く有り、現在進行形で今なお支援活動が行われています。その中で、縁あって関わっている団体が「NPO法人みんぷく」です。

津波被災地は、復興が完了したわけではありませんが、概ね先が見えており、そこに向けてコツコツ復興関連事業やコミュニティ形成を進めていく状況にあります。この為、東日本大震災から10年を経た時点で様々な支援事業が打ち切られています。私が関わっていた「宮城県サポートセンター支援事務所」も10年経過で閉鎖となってしまいました。

一方、福島県の原発事故被災地は、まだまだ続く廃炉までの長い道のりの中で、わずかな地域で帰還困難区域の指定解除が、パラパラと行われている状況で、まだまだ故郷に戻れない住民が沢山います。そして、避難期間が長期化するにつれて、やむなく避難先に定住を余儀なくされたり、家族の中でも戻る人と新天地に残る人に別れ、世帯分離が進んでいる状況などもあります。これらは、二次被害とも言えるのではないかと思っています。

こんな状況を支える為に活動しているのが「NPO法人みんぷく」です。みんぷくは、2013(平成25)年7月4日、福島県いわき市に本部を設置し、活動拠点は、いわき市、福島市、郡山市、会津若松市(2019年に郡山拠点に統合)、南相馬市に置いて活動しています。この団体は、福島県から事業委託を受け、災害公営住宅(復興住宅)居住者のコミュニティ再構築支援等を行っています。定款には「この法人は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の被災者を支援することにより、被災者が人としての尊厳が守られた生活を取り戻し、以って、市民社会の形成と地域福祉の向上に寄与することを目的とする。」と、その設置目的を記しています。

その支援団体が、福島県及び復興庁に対して今後の支援の在り方について「提言」を行うと言うことで、そのお手伝いをしています。研究会は4月に始まり、毎月2回の頻度で意見交換を重ねています。コロナ禍にあって遠隔会議を余儀なくされているのですが、毎回熱い議論を重ねています。

其の議論の中で、避難者と直接会って支援を続けている支援員の声を下にして「提言」を考える必要があるとし、各支援拠点を回って全ての支援員のみなさんの声を拾っています。其の場面に私も加わっているという所です。古典的な手法ですが、KJ法で大切な言葉を集め、それを下にして「提言」にしようとしているのです。

支援員のみなさんからは、①被災者の声で気になった言葉、②被災者の変化、③今後必要と考える支援内容の三項目をCardに書いてもらい、それをカテゴリー分けして、更に其のカテゴリーに上位の視点を書き出すということを三箇所繰り返し行っています。

みなさんから出されるカードからは、被災者の悲痛な心情が読み取れます。また、支援員さんは、しっかり被害者と向き合っていると感じると共に、正に「被災が現在進行形」の最前線で向き合っているのだと感じさせられます。堰を切ったように書き出す人、じっくり考えながら一枚一枚書いている人、それぞれがそれぞれの向き合い方で、Cardに言葉を書き出しています。彼ら彼女らの姿には、胸を打つものがあります。

この様にして、現場の生の声を言葉にした「提言」は、きっと行政を動かし、被災者への寄り添いの必要性が理解していただけるものと信じています。まだ、提言書づくりの第一段階に過ぎません。8月の提言書提出まで、まだまだ「みんぷく」のみなさんの苦悩の時間が続きそうです。私は、そんなみなさんの復興への想いが綴られた「提言」の完成までしっかり寄り添い、見守っていきたいと思っています。

頑張れ「みんぷく」!頑張れ「交流員のみなさん」!

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皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

東京電力福島第1原子力発電所事故被災者を支える人々” に対して3件のコメントがあります。

  1. ハチドリ より:

    昨日も今日もまだ明るいうちに職場を出て、道草をしながら解体されたお家の跡地に元気に実をつけているクワゴ(桑の実)を採って来ました。空間線量もとても低く、楽しみを持って私は住んでいるのに、どうしてここはこんなに空き地にばかりなってしまったんだろうと考えこんでしまいます。

    帰り際に同僚が「福島イノベーションコースト(※よければネットで検索してみてください)の研修受けて来たんだけどさ~、すっげー構想なのはわかるけど、対外的なPRとかばっかりで住民のことは出てこないんだよ。どうなってるんだ、あんな住民抜きじゃだめだよな~」と、顔を赤くしながら話してくれました。

    壮大な計画もあっていいと思います。
    でも、やはり今住んでいる人たち、今尚、帰るに帰れずに避難生活をしている人たち、家族バラバラの苦渋の選択を迫られている人たちのことをまずは考えていかなくてはならないと思うんです。
    そんな被災者の皆さんを支えてくださっている「みんぷく」さんの活動はとても大切だと思います。ぜひ、皆さんの言葉=心の叫びをしっかり聴いていただき、行政を動かす提言にまとまることを応援したいと思います。

    あっ、顔を赤くして「住民を大切にしなきゃ」と言っていた同僚は、OOCに賛同している浪平さんでした(^-^)/

  2. Da Cruz より:

    本間先生

    記事にしてくださりありがとうございます。
    先生、そして真壁さんが多くの時間と思いを投入して福島のために労してくださっていることに、本当に「感謝」という言葉だけでは伝えきれない思いがあります。

    先生方がいつも福島への思いを語ってくださり、「わたくしごと」として関わってくださっていること、そしてこうして見える場面だけではなく、このひとつひとつのワークの陰でたくさんのご準備や討議を重ねてくださっていること、そうして福島の原発避難者の皆さんのみならず支援者の皆さんにも寄り添い励ましてくださり、さらに多くを学ばせてくださっていること…本当にその多くの労力と思いにいつも我が身の姿勢を正される思いがします。

    先生方のお働きからいつも、私たち自身の働きが「誰のため・何のため」であるかということを振り返らされます。私たちがいつも自己を吟味し、そして目の前にいる方々の内にある力を引き出すための働きができるよう、これからもひとつひとつの意味をしっかりと居ながら取り組んでゆきたいと思います。

    ますます先生をお忙しくさせてしまい大変恐縮です!
    引き続きなにとぞよろしくお願いいたします!

  3. s.m より:

    今日の記事を読んで、自分の町が津波被害から復興に向けて歩み始めたばかりの頃を思い出しました。そして、今現在の福島は、災害が現在進行形で、自分の町の歩み始めと同様な様子がうかがわれ、まだまだそんな状況にあるのかと愕然とし心を痛めています。どうかここから少しでも復興へのスピードが増して、長い避難生活を強いられている福島のみなさんに、心の安寧が戻ります様にと祈らずにはいられません。

    そして、今日もまた復興とは何だろうと考えました。福島のほんの一部で住める様になった土地に賑わいの場を作るため、有名建築家が素晴らしい施設を作ることになったそうです。その住民説明会で「それは誰のための復興ですか」と発言した人がいたとのことでした。私も全く同感です。

    自分の町の復興にも、都会のようなお洒落さや有名建築家の素敵な建物など望んでいません。出来ることなら、不便でも古臭くても、真っ暗闇でも歩ける様な元通りの町並みに戻して欲しい。いつもの景色、いつもの顔ぶれ、それに逢えるからこそ故郷はいいんです。そういうのが故郷なのではないか、復興とはそういうことなのではないかと思っています。

    福島の復興が、福島の人達の懐かしい故郷を取り戻すものになります様にと祈り、応援しています。なんだか、自分の町とダブり涙が出ます。

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