春の陽気に誘われて

仙台では、4月8日に桜の開花が宣言され、11日には満開となりました。ここ一週間程は穏やかな天候が続き、一気に満開になったようです。最近は、孫チャンのお世話で、温泉に行ったり福島県に行ったりと、少々忙しい時間を過ごしていたので、少しのんびりしたいと思っていました。

そんな時、以前勤めていたことのある管内の桜の名所、蔵王連峰を背景に白石川堤に咲き乱れる、ソメイヨシノを中心とした桜並木「一目千本桜」（大河原町）が満開だとの記事を目にしました。これは気分転換に丁度良いと思い、出かけることにしました。

事前の天気予報では、雨も降りそうな様子だったのですが、当日は何となんと清々しい青空の晴れ！私には珍しい好天に恵まれました。愛車レヴォーグで2級国道286号線を南西方向走らせました。気温も高く穏やかな日和で「春」のイメージ通り、道々眺める山々は萌黄色に変わりつつ有りました。先人は、「春の山は笑うが如し」といったとか。まさにそんな感じです。

川崎町に入って国営杜の湖畔公園にさしかかった時、まだ雪を残している蔵王山を背景に湖面の周りにある桜の木を見つけました。なかなか良い感じなので、車を停めしばし桜と残雪のある蔵王山を眺めました。人通りもあまりなくゆっくりと愛でるように眺めることができました。そのような時間中にどっぷり浸っていたら、以前、蔵王山麓に良い感じの喫茶店を見つけ、行って見たらお休みだったことを、なんの脈絡もない中で思い出しました。

せっかくだからそこに行ってみようと「一目千本桜」を変更し、持っていた雑誌から住所を拾い出しナビに入れました。微かな記憶では、ペンション村か別荘地の様な場所にあったように思います。到着時間はお昼少し前のようだったので、丁度良い時間になりそうでした。道々に淡いピンクの桜が随所で咲いており、以外と桜の木が多いのだと気づきました。萌黄色の中に咲く桜は、今の時期だけなのかも知れないと、とても得した気持ちになりながら車を走らせました。

しだいに住宅街から外れ、山裾が近くなると、様々なデザインの家が木々に囲まれて建っている地域に入ってきました。ナビによればもうすぐのようです。でも、記憶とナビの案内に違いがあり、別荘地内を少しグルグルしてしまいました。別荘地にお住まいの方には迷惑なことですが、場所を探すのと特徴的な建物、ログハウスや奇抜なデザイン等々興味本位で走り回ってしまいました。別荘地の奥まで入ってしまったので、益々分からなくなり、これは一度戻ってやり直そうと県道に戻ったとたん見つけました。記憶と一致した建物です。何台か車もあり、人の姿も見えました。今日は開いているようです。

お店は、ご夫婦らしい若いお二人がやっていました。メニューはいたってシンプル。店の作りは、よく喫茶店に見られるような、店主の趣味のものが置かれている様子はありません。そんなシップルさが私には心地よく感じました。そのような中で、焙煎用の機械だけが「ドーン」と置かれ、圧倒的な存在感に、じろじろ見入ってしまいました。

珈琲は深入りを頂きました。食事はフランスパンを縦割りにした中に、レタスと辛子マヨネーズ？のようなものが挟んであるのを食べました。これまたシンプル。ペンションのブレックファーストを頂く様な感じで、久しぶりの非日常を楽しみました。シンプルなので自分でもできるのではないかと思ったので、家に戻ってから挑戦して見ようと思いました。きっと、そう簡単では無いと思うのですが、これまただいぶ前のことですが、岩手山麓でキャンプしたときのことや秋田県トコトン山でキャンプしたときに持ち込んだフランスパンの朝食を思い出し、何とかなるのではないかと高をくくっています。

今日はとても穏やかな春を満喫した一日でした。昨年の今頃は、何もしていないことに罪悪感を持ち、オロオロしていました。花を愛でる余裕もなかったのではないかと。それから1年経ってようやく落ち着きを取り戻しているのかも知れません。それが、今日のように、これまでの私にはなかった行為につながっているのでしょう。この様な時間も大切なのだとようやく分かったような今日一日でした。