縮小ニッポンの衝撃 其の七

2025年は、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる年です。それ以降、日本は、5人に1人(人口の20%)が75歳以上という超高齢社会に突入します。これまで、日本を支えてきた世代が、医療や介護を受ける側になります。消費は著しく減退し、社会保障費は増大します。国家財政は破綻の危機に瀕する状況が、時々刻々と迫ります。私たちは、この残酷な現実をしっかり直視し、問題を先送りせず、これまであたりまえと思っていた行政サービスをあきらめるなど、一人ひとりが痛みを分かち合いながら、「撤退戦」に身を投じなければならない。そこには、地方や都市圏の差は無い。私たちは、次の世代につないでいく責任を負うものとして「縮小ニッポン」の未来図と向き合う覚悟を問われているのです。

私たちは、こうした現実を直視し、それに対する振る舞い方をどれ程深刻に考えているのか極めて疑問です。人口減少は地方からだけ始まると考えていますが、その考え方は間違っていることをここで知りました。日本中、あらゆる場所で縮小ニッポンが始まろうとしています。少しだけ猶予のある今だからこそ、しっかり考えその備えに踏み出す時なのです。選択と集中、官民協働、自治活動、公私の再検討、地域力の醸成等々、様々な課題にもっと目を向け、個人のことだけを考えるのではなく、地域社会としての考え方を示していく議論が今求められています。身の回りの些細なことから、みんなで考える機会を持ち、学びを深めていくことが必要です。肩肘張らず、足下にある小さなことから始め、何より多くの仲間と楽しく語り合いその時に備えましょう。

このシリーズはこれで終わりです。又の機会に、地域社会の有り様を考える為に参考になる書籍を見つけて皆様にご紹介致します。

出典:NHKスペシャル取材班,2017『縮小ニッポンの衝撃』(株)講談社.

皆様からの感想・ご意見などをお待ちしています。

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